耳鼻咽喉科展望
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57 巻 , 1 号
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カラーアトラス
臨床
  • 谷口 雄一郎, 小森 学, 茂木 雅臣, 山本 和央, 中条 恭子, 鴻 信義, 小島 博己
    2014 年 57 巻 1 号 p. 8-14
    発行日: 2014/02/15
    公開日: 2015/02/15
    ジャーナル フリー
     今回我々は, 日本耳科学会用語委員会報告の「中耳真珠腫進展度分類2010改訂案」に基づき緊張部型真珠腫の初回手術例の病態を分類し, 進展度, 選択術式, 聴力成績, 再発率について検討を行った。対象は2008年1月から2012年4月までの間に当院にて手術を施行した緊張部型中耳真珠腫34耳である。初回手術症例のみを対象とし, 観察期間は術後1年以上とした。 Stage ごとの内訳は Stage I が14耳 (41.2%), Stage II が16耳 (47.1%), Stage III が4耳 (11.8%) であった。伝音再建別の聴力改善成績は I 型が50%, III 型が65.0%, IV 型が25.0%, 全体の成功率は50% (34耳中17耳) であった。術後真珠腫再発率は5.9% (34耳中2耳) で再発の内訳は再形成が1耳, 遺残性1耳であり, 従来の報告と比較して比較的良好な結果であった。これらの結果より, 進展度分類におけるアブミ骨病変の程度, 乳突部の蜂巣発育程度が術後成績の指標に有効であり, 当科で行っている Cartilage tympnoplasty と内視鏡の併用が術後成績の改善に役立つと考えられた。
  • 高石 慎也, 穴澤 卯太郎, 結束 寿, 蓮 琢也, 吉村 剛, 田中 康広
    2014 年 57 巻 1 号 p. 15-22
    発行日: 2014/02/15
    公開日: 2015/02/15
    ジャーナル フリー
     2011年4月から2013年3月までの2年間に獨協医科大学越谷病院耳鼻咽喉科において, 視力障害をきたし手術加療した副鼻腔疾患5例を経験したので, 文献的考察を加え報告する。5例を原因別に分類すると, 副鼻腔嚢胞への感染を契機とした鼻性眼窩内合併症2例, 副鼻腔の炎症が骨壁の間隙を介して視神経へ波及したと考えられる鼻性視神経炎2例, 後部副鼻腔嚢胞による鼻性視神経症1例であった。5例中4例は, 手術により発症以前の視力まで回復したが, 後部副鼻腔嚢胞の1例では視力の改善を認めなかった。視力障害が重度の場合, 緊急に副鼻腔手術を施行したとしても, 視力の改善なく不可逆性の障害をきたすことがある。そのため, 仮に後部副鼻腔嚢胞が健診や他科の画像検査で偶然発見された場合, 病変進展の程度によっては無症状であっても積極的な治療を検討すべきと考える。また, 鼻性視神経炎の術後経過をみるうちに, 1度は回復した視力が再度低下をきたし, 2度目の視力低下の機序が癌の転移であった症例も経験した。副鼻腔疾患の手術既往があり, 視力低下をきたした症例でも, 既往歴や合併症を考慮に入れ, 画像検査もあわせて鑑別を行い, 他疾患が原因である可能性も常に考えて診療に臨むべきである。
  • 吉浜 圭祐, 関根 麻美子, 武井 聡
    2014 年 57 巻 1 号 p. 23-27
    発行日: 2014/02/15
    公開日: 2015/02/15
    ジャーナル フリー
     症例は40歳男性。発熱, 右頸部腫脹, 意識障害を主訴に当院に搬送され, 広範にわたる深頸部膿瘍と診断した。また血液検査で CK, BUN, クレアチニンが高値であり, 横紋筋融解症と急性腎不全の合併と診断した。同日, 緊急切開排膿ドレナージ術を施行し, 術後は連日洗浄と抗菌薬投与を行った。しかし第3病日には CK 242,900IU/l, 第4病日にはクレアチニン4.04mg/dl となり, 横紋筋融解症と急性腎不全の増悪を認めた。第4・5病日に緊急血液透析を施行し, 補液管理を上記の加療に加えて行った結果, 感染徴候と CK 値は改善傾向となり, その後に腎機能も改善し正常範囲となった。特記すべき後遺症はなく, 第34病日に無事退院した。
     横紋筋融解症は骨格筋の融解壊死によりミオグロビンなどの筋細胞成分が血中に遊出し, 急性腎不全を続発することが知られている。今回の経験から, 横紋筋融解症への初期対応の知識は耳鼻咽喉科医にも必要であると考えられたので, ここに報告する。
  • 杉本 直基, 森野 常太郎, 森脇 宏人
    2014 年 57 巻 1 号 p. 28-33
    発行日: 2014/02/15
    公開日: 2015/02/15
    ジャーナル フリー
     前下小脳動脈症候群は多彩な神経症状を示すことで知られており, 難聴, 耳鳴, めまいを初発症状とすることがある。今回我々はめまいを伴う急性感音難聴で発症した脳幹梗塞の1例を経験したので報告する。
     症例は65歳女性。主訴は難聴, 耳鳴, めまいであり, 受診時明らかな脳神経症状はなく, 頭部 CT でも異常所見はなかったため, 当初めまいを伴う突発性難聴と診断した。入院後も著明な悪心, 嘔吐症状が続くため, MRI を施行したところ, 橋外側の中小脳脚, 小脳半球に梗塞巣を認め, 前下小脳動脈領域の脳幹梗塞という診断に至った。
     日々の診療において, めまいを伴う急性感音難聴の鑑別疾患として前下小脳動脈症候群があることを念頭において診察することが大切である。とくに脳血管障害の危険因子を持つ患者に対しては眼振所見や起立・歩行障害, 新たな脳神経症状の出現に十分注意を払い, これら臨床症状から中枢性が疑われる場合は早期にMRI検査を施行する必要があると思われた。
  • 内尾 紀彦, 小森 学, 山本 和央, 近澤 仁志, 谷口 雄一郎, 鴻 信義, 小島 博己
    2014 年 57 巻 1 号 p. 34-39
    発行日: 2014/02/15
    公開日: 2015/02/15
    ジャーナル フリー
     今回我々は乳突部から発生したと思われる先天性真珠腫が後頭部皮下へ進展した巨大真珠腫の1例を経験したので報告する。
     症例は68歳男性, 右耳痛を主訴に近医皮膚科を受診し, 炎症性粉瘤の診断のもと局所麻酔下に切除術が施行された。しかし腫瘤が深部まで及んでいたこともあり, 可及的に切除された後に閉創となった。その後症状が悪化したため, 他院耳鼻咽喉科を受診をした。側頭骨 CT 検査を施行したところ, 後頭部と連続する巨大真珠腫を認めたため当院へ紹介となった。側頭骨 CT では右耳の乳突部を中心として膨張性軟部濃度陰影を認め, 後方では後頭蓋窩の骨壁欠損を認めた。後頭部に進展していたこと, 後頭蓋窩硬膜との癒着が疑われたことから, 耳鼻咽喉科, 脳神経外科, 形成外科合同にて手術を施行した。真珠腫母膜を外耳道後壁から剥離し, 内容物を減量しつつ摘出した。硬膜との癒着はあったが剥離可能であり, 頭蓋内への浸潤は認めなかった。手術1年後の頭部 MRI では再発を認めなかった。後頭部の粉瘤様の腫瘤や乳突腔を占拠する骨破壊性の膨張性の病変を認めた場合, 極めて稀ではあるが本症を念頭に置く必要があると考える。
境界領域
  • 袴田 桂, 嘉鳥 信忠
    2014 年 57 巻 1 号 p. 40-45
    発行日: 2014/02/15
    公開日: 2015/02/15
    ジャーナル フリー
     昨今の鼻内内視鏡手術はモニター画像を見ながらマイクロデブリッダーを使用し, 血液を吸引除去し同時に病変を切除する方法が一般的である。術中の利便性, 操作性は目視下の肉眼的手術に比べ格段に向上した一方で, 内視鏡下の手術では二次元的画像下での立体構造の把握がやや難しいため, 気付かぬうちに深部に操作が到達していることがある。さらにはマイクロデブリッダー等のパワーインストルメントにより, 一旦眼窩壁の損傷を来すと重篤な合併症を来す恐れがある。
     当院では医原性眼窩損傷に対し, 眼形成眼窩外科医, 眼科医, 耳鼻咽喉科医のチームで治療を行っており, それぞれ専門性を生かした治療を行うことで良好な結果が得られている。当院に紹介されてきた医原性眼窩損傷の症例と, その具体的な治療を提示し, 手術合併症が生じた場合の対応法について記す。
画像診断
薬剤の特徴と注意点
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