スギ花粉症患者は年々増加傾向であり, 鼻アレルギー診療ガイドライン (改訂第7版) では, ロイコトリエン受容体拮抗薬によるスギ花粉症の初期療法が推奨されている。 今回我々は2012年スギ花粉飛散期におけるモンテルカストの初期療法の有効性を検討した。
対象は, 2012年1月から4月までに東京医科大学病院耳鼻咽喉科及び立正佼成会附属佼成病院耳鼻咽喉科を受診した59例である。 スギ花粉飛散前にモンテルカスト内服加療を開始した36例を初期療法群, 花粉飛散開始後にモンテルカスト内服加療を開始した23例を飛散後投与群とした。
鼻アレルギー日記から鼻症状, 眼症状, 日中鼻症状 (DNSS), 夜間症状 (NSS) スコアを求め, エプワース眠気尺度日本語版 (JESS) から昼間の眠気スコアを, 日本アレルギー性鼻炎標準 QOL 調査票 (JRQLQ) から患者 QOL スコアを求め, 評価項目として各項目を比較検討した。
飛散開始期の眼のかゆみ, 飛散ピーク期における鼻漏, 入眠困難, 夜間覚醒, Medication score, 飛散終了期におけるくしゃみ, 鼻漏, DNSS において, 初期療法群が飛散後投与群に比べ有意に低スコアであり, モンテルカストを用いた初期療法は, 花粉飛散期の患者の症状や QOL の改善に有用であると思われた。
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