耳鼻咽喉科展望
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57 巻 , 3 号
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カラーアトラス
綜説
臨床
  • 松脇 由典, 鴻 信義, 満山 智恵子, 森 恵莉, 宇野 匡祐, 久保木 章仁, 小島 博己
    2014 年 57 巻 3 号 p. 124-132
    発行日: 2014/06/15
    公開日: 2015/06/15
    ジャーナル フリー
      【はじめに】 一般的に罹病期間が長ければ, その病気は進行し予後不良となる。 今回我々は, 慢性鼻副鼻腔炎による嗅覚障害の予後はその罹病期間が長いほど不良であると仮説を立て, その他の考えられる不良因子も含め検討を行った。
      【対象と方法】 術前に嗅覚障害を伴った慢性副鼻腔炎症例で, 内視鏡下鼻内手術と適切な術後治療が行われ, 少なくとも術後3ヵ月以上経過観察している患者 (男性70例, 女性43例, 21~74歳, 50.9±12.7歳) を対象とした。 アンケート調査にて手術前と治療後嗅覚自覚症状を Visual analog scale (VAS) にて評価した。 治療後 VAS1.0以下の重症嗅覚障害者19名の予後不良因子を多重ロジスティック回帰分析にて検討した。 予後不良因子による群間治療前後の VAS を比較検討した。 治療後 VAS と罹病期間についての相関を予後不良因子別に検討した。
      【結果と考察】 重症嗅覚障害者19名の多変量解析の結果, 予後不良因子として, 1) 男性 (OR=18.996), 2) 60歳以上 (OR=9.349), 3) 嗅覚障害罹病期間5年以上 (OR=10.023), 4) 血中好酸球数800/μl以上 (OR=8.234) が有意差をもって挙げられ, これら因子よる的中率は89.4%であった。 慢性鼻副鼻腔炎による嗅覚障害罹病期間と治療後 VAS は有意差をもって負の相関(rs= -.399) していた。 特にこの相関値が高くなる因子として, 60歳以上の男性(rs= -.632), アスピリン喘息を合併 (rs= -.624), 血清総 IgE 値300IU/ml以上 (rs= -.679), 現在喫煙 (rs= -.731) が挙げられた。 これらの予後不良因子をもつ患者においてはなるべく早期に治療を開始する必要性があり, 禁煙などの教育も必要である。
  • 力武 正浩, 加我 君孝
    2014 年 57 巻 3 号 p. 133-137
    発行日: 2014/06/15
    公開日: 2015/06/15
    ジャーナル フリー
      脳性麻痺は母胎内から生後4週までに仮死や高ビリルビン血症等によって引き起こされる中枢性麻痺の総称である。 麻痺の程度や部位により脳性麻痺のタイプが分類され, 痙直型もアテトーゼ型も難聴をきたす症例が多い。 難聴の原因としては, ABR が導入される以前は中枢性難聴と考えられていた。 しかし現在では低酸素や迷路血液関門の未熟性による高ビリルビンが内耳に到達することにより, また仮死による低酸素により蝸牛が障害され難聴が引き起こされると考えられている。 脳性麻痺症例における青年・成人期の聴力像の報告は少なく, 今回我々は青年・成人期を迎えた脳性麻痺症例を対象として, 標準純音聴力検査を行い, 難聴を認めた症例の聴力像を報告する。 難聴は軽度から高度の感音難聴まで様々であった。 中等度以上の難聴にもかかわらず放置され, 成人期になって初めて補聴器を装用し聞こえがよくなり大変喜ばれた症例も認められた。 脳性麻痺の症例は耳鼻咽喉科を受診せずに難聴の評価がされず放置されている例も多く, 聴覚の評価と補聴は非常に重要である。
  • 内水 浩貴, 井坂 奈央, 小泉 博美, 三瓶 紗弥香, 柳 清
    2014 年 57 巻 3 号 p. 138-145
    発行日: 2014/06/15
    公開日: 2015/06/15
    ジャーナル フリー
      2003年8月から2013年3月までの間に当科にて耳下腺良性腫瘍と診断し, 腫瘍摘出術を行った初回手術例63例の検討を行った。 63例中58例が良性腫瘍であり, 5例が悪性腫瘍であった。 多形腺腫が35例 (55.6%) と最多で, 次いでワルチン腫瘍が14例 (22.2例) であった。 また悪性腫瘍5例全例が耳下腺癌 (4例が低悪性度耳下腺癌) であり, 2例で術前に疼痛が認められていた。 多形腺腫およびワルチン腫瘍の平均年齢はそれぞれ46.6歳, 59.7歳であり, ワルチン腫瘍症例で有意に平均年齢が高かった。 腫瘍の局在では浅葉が50例, 深葉が13例であり, 深葉ではワルチン腫瘍の占める割合が浅葉に比べ高い傾向を認めた。 術後の顔面神経麻痺は16例で認め, 浅葉では50例中10例 (20.0%), 深葉では13例中6例 (46.2%) であり, 深葉で術後顔面神経麻痺を来しやすい傾向を認めた。 16例中2例で, 顔面神経を温存したにも関わらず軽度麻痺が残存した。
      良性腫瘍に関する傾向や顔面神経麻痺の発生率などは, これまでの報告と類似した結果であった。 低悪性度耳下腺癌の場合には術前に良性腫瘍と鑑別することが難しいこともあるが, 疼痛は悪性を示唆する兆候として重要であると考えた。
  • 今野 渉, 金谷 洋明, 後藤 一貴, 山川 秀致, 中島 逸男, 平林 秀樹, 春名 眞一
    2014 年 57 巻 3 号 p. 146-150
    発行日: 2014/06/15
    公開日: 2015/06/15
    ジャーナル フリー
      下咽頭扁平上皮癌は, 肺や骨に転移することが知られているが, 腎に転移することはまれである。 今回我々は腎転移を来した下咽頭癌の1例を経験したので報告する。
    症例は46歳女性。 下咽頭輪状後部癌 T4aN2cM0 に対して導入化学療法を2コース後に咽頭喉頭食道全摘・両側頸部郭清術・遊離空腸再建を施行した。 病理組織学的検査で, 転移陽性リンパ節が6個であったため術後補助治療として化学放射線療法を施行した。 術後約6ヵ月後に右腰部痛が出現したために PET を施行したところ集積が認められた。 針生検で下咽頭癌からの転移と診断した。 Performance status が不良のために腎摘の適応はないものと判断し, 他院で陽子線治療を施行した。 治療後, PET での異常集積が一時消失したが再発を来たし永眠した。
      下咽頭癌からの腎転移はまれではあるが, 初期には血尿や腎機能障害が出現することが少ないので, 下咽頭癌の初診時ならび治療後の転移巣検索を行う場合は, 腎への転移する可能性も考慮して検査を選択する必要があると考えられた。
  • 倉島 彩子, 浅香 大也, 大櫛 哲史, 飯田 誠, 鴻 信義
    2014 年 57 巻 3 号 p. 151-156
    発行日: 2014/06/15
    公開日: 2015/06/15
    ジャーナル フリー
      眼窩および鼻副鼻腔に発生した IgG4 関連疾患の1例を報告する。 症例は54歳男性で, 慢性副鼻腔炎の診断にて近医耳鼻咽喉科で内視鏡下鼻内手術を4回施行された。 しかし, 鼻症状が改善せず, さらに左眼球突出を認めるようになり, 慢性副鼻腔炎の再発および眼窩蜂窩織炎の診断にて手術目的で当院を紹介受診となった。 副鼻腔造影 CT 検査において両側篩骨洞に軟部濃度陰影と眼窩紙様板の骨欠損, 眼窩内直筋近傍の軟部濃度陰影, さらに涙腺腫大, 眼窩下神経溝の拡大を認めた。 血液検査所見では IgG 値は3,062mg/dl, IgG4 値は1,060mg/dlと高値であった。
      以上により IgG4 関連疾患が疑われ, 確定診断目的にてナビゲーションガイド下に内視鏡下鼻内手術を行った。 術中採取した罹患副鼻腔粘膜および眼窩内組織の病理組織検査所見では IgG4 陽性形質細胞の浸潤を多く認め, IgG4 関連疾患と診断した。 術後リウマチ膠原病内科でステロイドの全身投与が行われ, 左眼球突出や鼻症状が著明に改善した。 術後12ヵ月現在経過良好である。
      副鼻腔病変を伴う眼窩腫脹症例においては, 鼻性眼窩内合併症や悪性リンパ腫などの腫瘍性病変のほかに, IgG4 関連疾患の可能性を考慮する必要があると考えた。
境界領域
  • 後藤 聡
    2014 年 57 巻 3 号 p. 157-159
    発行日: 2014/06/15
    公開日: 2015/06/15
    ジャーナル フリー
     涙道閉塞は比較的高頻度な疾患であるが, 眼科と鼻科の境界領域であることが, 眼科医・鼻科医ともに逆に接しがたい状況になっている。 すべての流涙が涙道閉塞によるものではないこと, 涙道閉塞や流涙の起こる機序が未だあまりわかっていないこと, 多くの眼科医がこの分野に苦手意識を持っていること, が問題点である。 本稿では流涙の原因, 東京慈恵会医科大学附属病院涙器外来での涙道閉塞に対する考え方, 診療の手順,術式の選択方法を中心に述べていきたい。
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