節外性 NK/T 細胞リンパ腫, 鼻型 (ENKL) は, 鼻腔, 咽頭を病変の主体とするNK細胞由来のリンパ腫である。 鼻閉感や, 鼻出血などを主訴に耳鼻咽喉科を受診するが, 特徴的な鼻内所見に乏しく, しばしば診断に難渋する。
今回われわれは, ENKL を2症例経験したので報告する。 症例1は45歳男性, 鼻閉を主訴に受診した。 鼻中隔が硬く, 痂皮の付着を認め, 組織診など精査を施行するも明らかな異常は認めず, 経過観察となった。 約8ヵ月後, 鼻閉が増悪し, 近医を受診したところ鼻腔内腫瘍を指摘され, 当科再診となった。 ENKL (Clinical stage IE, NK-IPI group1) と診断され, 化学療法を施行, 寛解した。
症例2は49歳, 女性, 突然, 鼻閉, 鼻出血が増悪し, 近医より手術を勧められ, 当科を受診した。 鼻内は一見すると正常であるが, 鼻粘膜はやや硬く, 易出血性であった。 CT では副鼻腔炎の所見を呈しており, ESS に準じて手術を行い, 術中数か所から組織診を施行し, ENKL (Clinical stage IE, NK-IPI group1) と診断された。 化学療法を施行し, 寛解とされたが, 寛解確認の約5ヵ月後, 突然の全身状態悪化を来たし, 永眠した。 ENKL は限局期の症例では半数以上が治癒可能であるが, 進行すると予後不良の疾患であり, われわれ耳鼻咽喉科医が確実に診断し, 早期に治療を開始する必要があると思われた。
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