耳鼻咽喉科展望
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59 巻 , 2 号
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カラーアトラス
綜説
臨床
  • 内尾 紀彦, 森脇 優子, 月舘 利治, 石井 正則
    2016 年 59 巻 2 号 p. 73-79
    発行日: 2016/04/15
    公開日: 2017/04/15
    ジャーナル フリー

     症例は74歳, 男性。 当院を受診する3ヵ月前にカッターナイフを用いて左頸部を切り, 自殺を図るも未遂に終わった。 他院救急部を受診したが, とくに画像検索は行われず, 創部の縫合処置のみを受けた。 その後左を向いて嚥下をするたびに左頸部の痛みが出現するようになったため, 当院を受診した。 頸部単純 X 線写真を撮影したところ, 細長い金属片の残存を認め, 頸部 CT でも金属性の異物を認めた。 早急に手術による摘出をするようすすめたが, 経済的な問題があったため, 当初は患者本人が手術を拒否していた。 その1ヵ月後に手術を決意し, 自殺未遂の5ヵ月後に手術を施行した。 左甲状軟骨外側の肉芽を切開し, カッターナイフと考えられる金属片を摘出して閉創した。 術後に出血や神経麻痺などの合併症は認められなかった。
     初診時に頸部外傷後の異物残存を的確に診断するためには, 詳細に問診を取った上で適切な画像検査を行うべきであると考える。

  • 苦瓜 夏希, 小森 学, 鴻 信義, 小島 博己
    2016 年 59 巻 2 号 p. 80-84
    発行日: 2016/04/15
    公開日: 2017/04/15
    ジャーナル フリー

     症例は5歳6ヵ月の男児。 右側の伝音難聴と, 鼓膜前下象限に白色病変を認めた。 側頭骨 CT では耳小骨奇形も認めたため, 耳小骨奇形を合併した先天性真珠腫の疑いで, 鼓室形成術を施行した。 術中所見ではキヌタ骨長脚遠位端からアブミ骨上部構造の消失を認めた。 また, 顔面神経水平部の下垂を認め, その下方に黄色の腫瘤を認めた。 そのため顔面神経鞘腫を疑い, 腫瘤生検と術中迅速病理を施行した上で腫瘤を摘出した。 卵円窓は顔面神経走行異常のため確認できなかったため, 伝音再建は行わずに手術を終了した。 病理組織検査の結果は漿液腺・粘液腺の混合腺からなる唾液腺組織であり中耳唾液腺分離腫と確定診断に至った。 術後1年の時点で再発を認めず経過良好である。

  • 三浦 正寛, 有坂 岳大, 西谷 友樹雄, 千葉 伸太郎, 渡邊 統星, 外木 守雄, 太田 史一
    2016 年 59 巻 2 号 p. 85-92
    発行日: 2016/04/15
    公開日: 2017/04/15
    ジャーナル フリー

     【はじめに】 閉塞性睡眠時無呼吸 (OSA) に対する睡眠外科治療として, Stanford 大学の提唱する Two Phase Surgery が本邦でも行われるようになってきた。 Phase1 では, 鼻腔や咽頭など軟組織に対する手術を主に行い, 次いで手術効果が得られなかった場合に Phase2 である上下顎前方移動術を行う。 今回われわれは Phase1 に加えて, 小下顎でかつオトガイ劣成長を伴う OSA に対してオトガイ舌筋前方移動術 (genioglossal advancement: GA) を行い, 効果を得たので報告する。
     【症例】 症例は36歳の女性。 いびき・無呼吸を主訴として当科を紹介受診した。 Polysomnography (PSG) 検査では, 無呼吸低呼吸指数 (AHI) が29.7/h と中等症の OSA であった。 治療として経鼻的持続陽圧呼吸装置を行うが使用困難であったため, Two Phase Surgery による治療計画を立案した。 小下顎もあり Phase2 まで行うことを提案したが, 患者の希望により Phase1 までの手術希望となった。 そこでオトガイ劣成長もあることから GA をあわせて行った。
     【結果】 術後 PSG 検査で AHI は4.9/h と減少し, CT による形態的な評価より咽頭の左右径の拡大も認めた。
     【まとめ】 本症例では骨格形態を正常へ近づけることが結果的に OSA の改善につながった。 今後はさらに症例を重ね, 形態的, 機能的な適応基準の決定と効果的な術式の工夫が必要であると考えた。

  • 藤田 佳吾, 平野 隆, 森山 宗仁, 児玉 悟, 鈴木 正志
    2016 年 59 巻 2 号 p. 93-98
    発行日: 2016/04/15
    公開日: 2017/04/15
    ジャーナル フリー

     甲状舌管は通常胎生8週までに退化消失すると言われているが, 一部残存した甲状舌管遺残組織または甲状舌管嚢胞に癌が発生すると言われている。 今回, リンパ節転移を契機に術前に診断に至った甲状舌管遺残組織から発生した乳頭癌症例を経験したので報告する。 症例は49歳男性, 前頸部腫瘤を主訴として近医耳鼻咽喉科を受診し, 腫瘤摘出したところ甲状腺癌による転移性リンパ節と診断され, 当科紹介受診となった。 画像診断により前頸部正中に甲状舌管嚢胞様所見を認め, これを原発巣と同定し Sistrunk 法による摘出と右頸部郭清術を行った。 病理所見にて頸部正中の小結節性病変は, 正常甲状腺組織と共に腫瘍細胞の乳頭状増殖を認めたため甲状舌管癌と診断され, 摘出したリンパ節も同様の腫瘍細胞増殖を認めた。 諸家の甲状舌管癌の報告例では, 甲状舌管嚢胞として摘出手術を受けた際の永久病理診断で確定診断される症例が多く, 本症例のように甲状腺癌転移性リンパ節を契機に診断に至った甲状舌管癌は稀である。 病理組織学的に甲状腺癌による頸部リンパ節転移と診断された場合は, 甲状腺不顕性癌のみならず, 甲状舌管遺残組織から発生した乳頭癌も念頭に精査加療を行うことが肝要である。

境界領域
  • 肥田野 求実
    2016 年 59 巻 2 号 p. 99-103
    発行日: 2016/04/15
    公開日: 2017/04/15
    ジャーナル フリー

     近年, 手術患者の高齢化および手術適応の拡大に疑う余地はないが, 周術期の安全な患者管理の第一歩が適切な病態評価であることは不変である。 耳鼻咽喉科領域の周術期は, 手術が原因で危機的偶発症を引き起こす頻度は低いが, 術前からの併発症コントロールと麻酔導入時の気道確保操作の成否がアウトカムに大きく影響を及ぼす。 今回は, 併発する疾患のうち, 重症になる可能性の高い循環器疾患患者と, 脳血管障害を持つ患者を取り上げ, とくに注意を要する点について述べる。 また両者において内服している頻度の高い抗凝固・抗血栓療法の取り扱いについてもふれる。 複雑な病態を持つ患者の周術期安全管理には, 重症症例カンファレンス等の機会を利用した関係部署とのコミュニケーションおよび情報の共有化が重要である。

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