耳鼻咽喉科展望
Online ISSN : 1883-6429
Print ISSN : 0386-9687
ISSN-L : 0386-9687
60 巻 , 2 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
カラーアトラス
綜説
  • 伊藤 真人
    2017 年 60 巻 2 号 p. 62-68
    発行日: 2017/04/15
    公開日: 2018/04/15
    ジャーナル フリー

     中耳炎には急性中耳炎, 滲出性中耳炎, 慢性中耳炎がある。 本稿では小児特有の注意点に配慮しながら, それぞれの中耳炎の診断と手術について述べる。

     急性中耳炎の手術適応は, 反復性中耳炎で保存治療が無効なときに行われる鼓膜チューブ留置術と, 急性乳様突起炎などの合併症を来した場合の乳様突起削開術である。 近年わが国では, 急性乳様突起炎は保存的治療で治癒する疾患であると考えられがちだが, 側頭骨内・頭蓋内の重篤な合併症の危険も高く乳様突起削開術の適応を見誤ってはならない。 また2歳を過ぎても急性中耳炎を繰り返す場合には, 安易に反復性中耳炎と考えずに, 先天性真珠腫などの他の中耳疾患や先天性免疫異常症が隠れていないか注意が必要である。

     滲出性中耳炎に関しては, わが国の「小児滲出性中耳炎診療ガイドライン2015」による診断と治療のポイントを解説する。

     小児の慢性中耳炎では中耳が発育途上にあることと, 耳管機能の未熟さが問題となる。 また小児真珠腫性中耳炎は再発率の高い疾患であり, 初回手術で完全に取りきらないと再発を繰り返す。 したがって, 熟練した術者が良好な視野と術野を確保したうえで安全・確実な手術を行うべきである。

臨床
  • 高林 宏輔, 長峯 正泰, 藤田 豪紀
    2017 年 60 巻 2 号 p. 69-75
    発行日: 2017/04/15
    公開日: 2018/04/15
    ジャーナル フリー

     近年眼窩吹き抜け骨折において緊急手術を要する病態が存在することが知られてきた。 骨折片が trapdoor となり, 逸脱した眼窩内容物が嵌頓している病態である。 画像所見では眼窩内容物の逸脱は軽度であるが, 高度な症状を呈す。 若年者の眼窩下壁においてこの病態は知られている。 非常に稀であるが眼窩内側壁にも同様の病態は存在する。

     当科では2000年4月から2016年10月までに100症例を眼窩吹き抜け骨折と診断し, 手術を施行した。 眼窩内側壁の骨折は17症例であり, そのうち2症例が線状型骨折であった。 内側壁線状型骨折2症例のうち, 緊急手術症例は1症例で, もう1症例は待機手術となった。 いずれも眼球運動障害は改善し, 複視の自覚は認めていない。

     眼窩内側壁骨折にも, 緊急手術もしくは手術可能な施設への緊急の紹介を必要とする病態が存在することを認識する必要がある。

  • 宮下 文織, 森 恵莉, 柳 清
    2017 年 60 巻 2 号 p. 76-82
    発行日: 2017/03/15
    公開日: 2018/04/15
    ジャーナル フリー

     めまいは耳鼻咽喉科外来や救急外来 (Emergency room: ER) でよく遭遇する症状の一つであるが, 原因疾患が多岐にわたるため,診断に苦慮することがある。 めまい症状を訴える患者の中には致命的となりうる脳血管疾患 (Cerebrovascular disease: CVD) や心疾患も含まれており, 迅速な診断が必要とされる。 来院時点での患者背景や臨床症状から病態を予測し, 画像検査を行うタイミングを逃さずに早期発見できれば,早期治療につながる。

     今回われわれは, 聖路加国際大学 ER にめまい症状を訴えて来院した患者について原因疾患の割合を調べ, 特に CVD に注目して患者背景と臨床症状のそれぞれに分けて統計学的検討を行ったので報告する。 2011年1月から12月までの1年間にめまいを主訴に当院 ER を受診し, 頭部 CT または頭部 MRI を撮像した364名を対象とした。

     その結果, 末梢性めまいが220名 (55%), CVD が23名 (6%), その他50名 (13%), 原因不明が71名 (19%) であった。 23例の CVD の内訳は, 大脳梗塞が7名 (30%), 小脳梗塞は6名 (26%), 一過性脳虚血発作 (Transient ischemic attacks: TIA) は3名 (13%), 脳幹梗塞は3名 (13%), 脳幹及び小脳梗塞は2名 (8%), 脳幹, 小脳, 後頭葉梗塞は1名 (4%), 椎骨脳底動脈狭窄は1名 (4%)であった。 CVD を認めた23例と CVD を認めなかった341例において CVD 発症の予測因子について統計学的検討を行った。 その結果, 患者背景においては高齢, 飲酒歴, 脂質異常症が, 臨床症状においては神経学的異常の存在, 浮動性めまいが CVD によるめまいの独立した予測因子であった。 めまい症状を訴えて来院した高齢患者のうち, 問診で飲酒歴を認める患者は約5倍, 脂質異常症を認める場合は約3.5倍のリスクがあることを念頭に置き, 当然ではあるが神経学的異常を認めた場合は直ちに MRI による精査が必要と考えられた。

  • 後藤 一貴, 金谷 洋明, 今野 渉, 深美 悟, 平林 秀樹, 春名 眞一
    2017 年 60 巻 2 号 p. 83-89
    発行日: 2017/04/15
    公開日: 2018/04/15
    ジャーナル フリー

     ランゲルハンス細胞組織球症 (Langerhans' cell histiocytosis: LCH) は, 骨髄に由来する抗原提示細胞の一つであるランゲルハンス細胞の単クローン性浸潤・増殖を特徴とする疾患である。 病変は, 骨, 皮膚, リンパ節, 軟部組織など様々な臓器におよぶ。 中でも骨病変は最も多く, 特に頭蓋骨, 大腿骨, 脊椎骨などに好発する。

     今回, 左眼球突出を主訴とし MRI にて左後部篩骨洞~眼窩上に病変を認めた8歳男児の症例を経験した。 全身麻酔下に後部篩骨洞より生検を行いランゲルハンス細胞組織球症と診断した。 精査の結果, 第11胸椎にも病変を認めたため単臓器多病変型と診断した。 JAPAN LCH STUDY GROUP のプロトコールに従って多剤併用化学療法を施行し, 寛解した。 治療後10年が経過したが, 再発再燃を認めていない。 耳鼻咽喉科領域では側頭骨病変による LCH の報告が多いが, 鼻副鼻腔にも病変をきたすことがあるので, 鑑別疾患として念頭におく必要がある。

  • 黒田 健斗, 内尾 紀彦, 重田 泰史
    2017 年 60 巻 2 号 p. 90-94
    発行日: 2017/04/15
    公開日: 2018/04/15
    ジャーナル フリー

     正中を外れ, 側頸部に存在する異所性甲状腺は稀である。 今回われわれは側頸部の異所性甲状腺を原発とした異所性甲状腺乳頭癌の1例を経験したので報告する。 症例は40歳男性。 圧痛や皮膚発赤を伴わない左頸部腫瘤の増大を主訴に当院受診となる。 頸部超音波検査, 単純 MRI 検査および超音波ガイド下穿刺吸引細胞診を施行するも診断がつかず, 確定診断のため, 全身麻酔下での左頸部腫瘤摘出術を行った。 術後病理組織所見からは Thyroid Transcription Factor-1 (TTF-1) 陽性の甲状腺乳頭癌が検出されると同時に, その周辺組織には非腫瘍性甲状腺濾胞組織が確認されたため, 左頸部に発生した異所性甲状腺乳頭癌と診断した。

境界領域
  • 林 勝彦
    2017 年 60 巻 2 号 p. 95-103
    発行日: 2017/04/15
    公開日: 2018/04/15
    ジャーナル フリー

     頭頸部がん治療に際する周術期口腔機能管理は, 術後合併症である創部感染や誤嚥性肺炎の予防と, 化学療法や放射線治療に伴う口腔粘膜炎など口腔合併症の緩和を主目的とし, がん治療の質を担保するために不可欠な支持療法である。 医科側の早期依頼に基づいて, がん治療前から口腔機能管理を開始することが, 確実な口腔機能管理実施と患者の心身的負担軽減のために重要となる。 周術期口腔機能管理の効果的な介入と周術期以降の継続的口腔管理のためには, がん治療病院あるいは院内歯科と地域歯科医療機関の密な連携構築が必要であり, 今後の課題となろう。 周術期口腔機能管理は, 医科歯科連携による患者主体のチーム医療である。 多職種間, 多施設間で患者の全身状態, 精神状態, 社会的背景, 原疾患の治療と予後などの情報を共有して計画的かつ効率的に行うことが重要である。

画像診断
薬剤の特徴と注意点
feedback
Top