耳鼻咽喉科展望
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60 巻 , 4 号
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カラーアトラス
綜説
臨床
  • 常見 泰弘, 金谷 洋明, 今野 渉, 深美 悟, 平林 秀樹, 春名 眞一
    2017 年 60 巻 4 号 p. 174-180
    発行日: 2017/08/15
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル フリー

     サイトメガロウイルス cytomegalovirus (CMV) は, 通常幼少期に不顕性感染した後に宿主に潜伏感染し, 多くは無症状に経過する。 妊婦に CMV が初感染した場合ないし何らかの原因で CMV が再活性化を起こした時, 経胎盤的に胎児に CMV 感染を惹起する。 この病態が先天性 CMV 感染症であり, 本邦では年間約3,000人の児が出生するといわれる。 今回われわれは, 2歳9ヵ月の先天性 CMV 感染児を経験した。 新生児聴覚スクリーニング検査では異常は認められず, その後の言語発達にも問題はなかったが, 幼稚園入園後に難聴を指摘された。 最終的には乾燥臍帯組織から CMV-DNA が検出されたことにより, 先天性 CMV 感染症による感音難聴と考えた。 典型的な兆候に乏しかったため, 診断に時間を要した。 近年, 妊娠可能年齢の女性における抗 CMV 抗体保有率は減少していることから, 小児期における感音難聴の鑑別疾患の1つとして本疾患を考慮すべきと考えた。

  • 松浦 賢太郎, 志村 英二, 福生 瑛, 大平 真也, 梶原 理子, 和田 弘太
    2017 年 60 巻 4 号 p. 181-188
    発行日: 2017/08/15
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル フリー

     エナメル上皮腫は, 良性の歯原性腫瘍の中で, 最も頻度の高い疾患である。 下顎に発生することが多いとされるが, 今回われわれは, 上顎骨に発生したエナメル上皮腫の1例を経験したため, 若干の文献的考察を加えて報告する。

     症例は61歳, 男性。 右頬部腫脹を主訴に前医を受診した。 画像検査にて右上顎洞に嚢胞性疾患を認め, 上顎洞骨壁を圧排し, 骨の菲薄化を伴って頬部が腫脹していたため, 治療目的に当院当科紹介となった。 診断及び治療を目的に内視鏡下鼻内副鼻腔手術を施行した。 嚢胞壁を大きく摘出し, 病理検査に提出した。 右上顎洞下壁の顕著な菲薄化により, 嚢胞壁の摘出により右上顎洞と口腔が交通する可能性があったため, 下壁のみ嚢胞壁は温存して手術終了とした。 病理検査にてエナメル上皮腫の診断となり, 後日, 追加治療として上顎部分切除術を施行した。 術後経過は良好であり, 現在外来経過観察となっている。

     エナメル上皮腫は病理学的には良性腫瘍とされているが, 骨破壊性に発育し, 遠隔転移をきたす場合がある。 また, 手術加療後の再発率が高いことで知られ, 稀に悪性転化する可能性もある疾患である。 下顎に発生することがほとんどであるが, 上顎に発生した場合, 本疾患のように頬部腫脹などの症状を主訴として, 耳鼻咽喉科を受診することもあるため, 本疾患も念頭において診療を進めるべきと考えた。

  • 井上 なつき, 穐山 直太郎, 柳原 健一, 竹ノ谷 亜希子, 久保田 俊輝, 山口 宗太, 森脇 宏人, 吉川 衛
    2017 年 60 巻 4 号 p. 189-195
    発行日: 2017/08/15
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル フリー

     咽頭異物は耳鼻咽喉科疾患でも日常的に遭遇する疾患であり, 本邦では魚骨異物が多い。 異物の介在部位や大きさにより異物の確認が困難な場合があり, 治療に難渋することも少なくない。 今回, 当科での3年間の咽頭異物60症例のうち, 魚骨異物54例について臨床的特徴を検討した。 年齢は40歳代が最多で, 性別は30歳代と50歳代で女性にやや多い傾向にあった。 検出方法としては, 口腔内からの視診および喉頭内視鏡検査により異物を確認, 同時に摘出可能な症例が多かった。 視診と喉頭内視鏡検査で異物を確認できなかった症例が3例認められ, そのうち1例は初診時の頸部単純 CT 検査でも検出が困難であったが, 後日異物を確認し摘出できた。 その症例の魚骨を用いて CT 検査撮影条件の検討を行ったところ, 通常の CT で行うスクリーニングの撮影条件では検出できない魚骨異物が存在する可能性が示唆された。 したがって, 魚骨異物が疑われた場合は, 一度の CT 検査で異物が検出されなくても注意深く経過を追うことが必要である。 異物の存在が否定されない場合は積極的に CT 再検査を行い, 異物周囲の炎症性変化や膿瘍形成などの随伴する所見も参考に再検出を行うことが重要と思われた。

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