耳鼻咽喉科展望
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61 巻, 2 号
選択された号の論文の27件中1~27を表示しています
カラーアトラス
綜説
  • 山田 武千代
    2018 年 61 巻 2 号 p. 78-84
    発行日: 2018/04/15
    公開日: 2019/04/15
    ジャーナル フリー

     Since the management of facial nerve schwannoma (FNS) is extremely rare intratemporal FNS has the potential to be misdiagnosed as Bell's palsy or intraparotid FNS might be often misdiagnosed as pleomorphic adenoma or another parotid tumor which might lead to a delay in diagnosis. In this manuscript, we have reviewed the literature regarding the management of IFNS and reported the authors' experiences in the treatment of IFNS. In patients with FNS, female sex and involvement of the labyrinthine/geniculate and tympanic segments of the facial nerve predict a higher probability of facial paresis or spasm. When isolated to the posterior fossa or parotid gland, establishing a preoperative diagnosis of FNS is challenging. The correct diagnosis for extratemporal FNS depends mainly on intraoperative observation of the gross relation between the tumor and the FN or excision frozen biopsy examination. Treatment should be tailored according to tumor location and size, existing facial nerve function, patient priorities, and age. The integrity of the FN should be preserved for patients with IFNS using tripping method whenever possible. In cases where the facial nerve has been interrupted during surgery, the cable nerve interpositioning technique is a convenient and well-accepted procedure for immediate restitution of the nerve. In order to obtain a better facial outcome, facial nerve is reconstructed also along with facial-hypoglossal nerve anastomosis at the same time. The physical rehabilitation is very important to decrease facial contracture and synkinesis.

臨床
  • 岡田 晋一, 加藤 孝邦, 三浦 正寛, 千葉 伸太郎, 太田 史一
    2018 年 61 巻 2 号 p. 85-91
    発行日: 2018/04/15
    公開日: 2019/04/15
    ジャーナル フリー

     小児の耳下腺腫瘍は比較的稀な疾患であり, 成人に比して悪性の頻度が高いことが知られている。 今回われわれは, 頸部腫脹を契機に耳下腺癌と診断された12歳男児の1例を経験したので報告する。 1ヵ月前からの右頸部腫脹に気付き当科に紹介受診となった。 画像診断にて耳下腺腫瘍と診断した。 穿刺吸引細胞診の結果 class III (腺房細胞癌疑い) であったため手術を施行した。 術式選択に際しては画像診断から腫瘍の被膜は保たれており, 顔面神経との surgical margin も十分確保できると判断し, 耳下腺浅葉部分切除術を選択した。 リンパ節の取り扱いに関しては画像および術中所見にて上内深頸リンパ節が軽度腫大していたため, 頸部郭清術 (Ⅱ, Ⅲ) を施行した。 術後病理結果は腺房細胞癌 (pT2pN0), 断端陰性との結果を得ており, 術後1年3ヵ月の時点で再発を認めず現在経過観察中である。

     乳児期以降の小児の耳下腺腫瘍は悪性の頻度が高く, 良性腫瘍においても多形腺腫が主体となるため, 悪性腫瘍に準じて手術を行うとの報告が少なくない。 今回の症例を通じて小児耳下腺腫瘍の疫学・組織型・術後観察期間などについて文献的考察を行ったので報告する。

  • 間宮 祥子, 井上 なつき, 柳原 健一, 久保田 俊輝, 山口 宗太, 穐山 直太郎, 吉川 衛
    2018 年 61 巻 2 号 p. 92-96
    発行日: 2018/04/15
    公開日: 2019/04/15
    ジャーナル フリー

     魚骨異物は耳鼻咽喉科で日常的に遭遇する疾患であり, 本邦では咽頭異物の原因で最多を占める。 今回われわれは, 下咽頭から甲状腺へ迷入した巨大魚骨異物を認め, 頸部外切開による摘出術により摘出した1例を経験したので報告する。 症例は, 49歳男性で, ブリを摂取した後からの嚥下時痛を主訴に受診した。 喉頭内視鏡検査では, 左側の喉頭披裂部から下咽頭梨状陥凹にかけて粘膜の腫脹を認めたが, 魚骨異物を確認できなかった。 しかし, 頸部造影 CT 検査で, 左側下咽頭梨状陥凹外側から甲状腺左葉内に約 40mm の線状の石灰化病変を認めたため, 咽頭腔外へ迷入した魚骨異物と考えた。 頸部外切開を行い, 甲状腺左葉より 42mm の巨大魚骨異物を摘出したが, 甲状腺内に膿瘍形成はなく, 術後の抗菌薬と副腎皮質ステロイド薬の投与により喉頭浮腫も速やかに改善した。 この症例のように魚骨異物が管腔外へ迷入すると, 内視鏡検査だけでは確認できないこともあるため, 異物の残存を強く疑う場合には画像検査が重要であると考えた。

  • 内尾 紀彦, 黒田 健斗, 重田 泰史, 小林 俊樹
    2018 年 61 巻 2 号 p. 97-100
    発行日: 2018/04/15
    公開日: 2019/04/15
    ジャーナル フリー

     今回われわれは喉頭蓋に血腫を伴い, 重症化する危険性のあった急性喉頭蓋炎の1症例を経験したので報告する。 51歳男性。 前日からの咽喉頭違和感と嚥下困難感があり, 当院耳鼻咽喉科を受診した。 当院の心臓外科にて大動脈弁狭窄症に対し人工弁置換を行った既往があり, ワルファリンカリウム 5mg 及びアスピリン 100mg を内服していた。 内視鏡検査では喉頭蓋舌根面の著明な腫脹を認め,喉頭蓋に血腫を伴っていた。 凝固能の精査のため同日 PT-INR を測定したところ, 12以上と異常高値であったため心臓外科に相談した。 緊急でメナテトレノンを計 60mg 静注したところ, 翌日には PT-INR は1.4と正常化した。 その後抗生剤, ステロイドの点滴を連日行い保存的に経過観察したところ徐々に軽快し退院となった。 抗凝固薬を内服している症例が急性喉頭蓋炎を発症した場合, 血腫を伴い重症化する危険性があるため注意が必要である。 また気管切開も出血コントロールが困難であるため, 主科とよく相談しながら治療方針を慎重に検討していく必要がある。

  • 井上 大介, 飯村 慈朗, 源馬 亜紀, 岡田 晋一, 三浦 正寛, 千葉 伸太郎, 太田 史一
    2018 年 61 巻 2 号 p. 101-106
    発行日: 2018/04/15
    公開日: 2019/04/15
    ジャーナル フリー

     先天性後鼻孔閉鎖症は, 多発奇形の部分症として発症することが多い鼻腔構造異常疾患であり, 呼吸困難や哺乳障害,誤嚥が問題となる。 外科的治療が行われるが高頻度に再狭窄をきたすため, 術式は慎重に検討する必要がある。 従来は経口蓋法や経鼻法の報告が多かったが, 近年の内視鏡技術の進歩に伴い徐々に内視鏡下経鼻法の報告が散見されるようになった。

     今回, われわれは先天性片側性の後鼻孔閉鎖症の1症例を経験した。 症例は15歳, 女子で, 出生後より左膿性鼻汁を繰り返していた。 近医での鼻腔内視鏡検査にて左後鼻孔閉鎖症を指摘されたが, 深刻な呼吸障害は認めなかったため, 成長を待って外科的治療を受ける方針で, 8歳時より経過観察を行っていた。 15歳時に本人からの希望があり, 当科にて左鼻内内視鏡手術を施行した。 閉鎖壁粘膜を用いて4方向からの粘膜弁を挙上し, 創部を被覆した。 術後1年において, 左後鼻孔の開放は良好である。

     今回, 内視鏡下経鼻法にて後鼻孔を開放し, 閉鎖壁粘膜弁を用いることにより, 開放部の再狭窄を予防することができた。 先天性後鼻孔閉鎖症に対する低侵襲性手術として有用と考える。

境界領域
画像診断
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