耳鼻咽喉科展望
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61 巻 , 3 号
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カラーアトラス
綜説
  • 本間 明宏
    2018 年 61 巻 3 号 p. 142-149
    発行日: 2018/06/15
    公開日: 2019/06/15
    ジャーナル フリー

     喉頭癌に対する大量シスプラチンの超選択的動注療法と放射線治療の同時併用療法 (RADPLAT) について述べる。

     北海道大学では2003~2015年に喉頭原発扁平上皮癌新鮮例16例に RADPLAT を行い, 原発巣は全例 RADPLAT で制御されていた。 遠隔転移で死亡が3例, 他病死が1例あった。 晩期合併症は嚥下障害が2例, 喉頭壊死が1例に出現した。 喉頭癌に対する RADPLAT は, 上顎洞癌よりも慎重な interventional radiology (IVR) の技術が必要ではあるが, 適応を厳選して行えば良好な結果が期待できる。 今後は, 多施設共同前向き試験で喉頭壊死, 嚥下障害などの晩期障害の発生頻度も加味して至適スケジュールを検討し, 有効性を検証することが必要である。 そして, RADPLAT の立ち位置は喉頭温存手術, 化学放射線療法の適応を含め, 喉頭癌全体の治療戦略を考えるなかで決まるであろう。

臨床
  • 永井 萌南美, 森 恵莉, 杉田 佑伊子, 鄭 雅誠, 倉島 彩子, 関根 瑠美, 満山 知恵子, 鴻 信義, 小島 博己
    2018 年 61 巻 3 号 p. 150-156
    発行日: 2018/06/15
    公開日: 2019/06/15
    ジャーナル フリー

     感冒後嗅覚障害は上気道感染を契機に生じる嗅覚障害で, 嗅覚障害疾患の約20%を占めるとされている。 その病態生理は, ウイルスによる嗅細胞の障害や中枢経路の障害などが報告されているが未だ詳細は解明されていない。 臨床診療上, 基準嗅力検査や嗅覚同定能検査の嗅素による結果や回復程度の違いをしばしば経験する。 各嗅素の障害程度や回復程度を調査することは病態解明に繋がり, 新たな治療の糸口となる可能性がある。 しかしながら嗅覚障害度の評価や治療効果判定は, 平均認知域値をもってされ, 各嗅素の結果は反映されない。 本研究では両検査の嗅素別変化と, 予後に影響する因子について検討し, 感冒後嗅覚障害の病態や最適な治療について考察した。

     対象は2009年5月から2015年3月に東京慈恵会医科大学附属病院耳鼻咽喉科嗅覚外来を受診した患者のうち感冒後嗅覚障害と診断された109名とし, 初診時および初診から約3ヵ月後, 約9ヵ月後のそれぞれの検査結果を分析し治療効果判定を行った。 全体の改善率は58.3%であり, 治療経過の中で基準嗅力検査のA~Eすべての嗅素で有意な改善を認めた。 予後に影響する因子は病悩期間と E のスカトールの初診時検知域値であった。 すなわち病悩期間が長いことと, 初診時の E (スカトール) のにおいの結果が悪いと予後が悪いという結果であり, においの種類によって障害程度や回復経緯が異なることが示唆された。 本研究の結果から, におい別の評価や, 障害の強いにおいに焦点を当てた治療と生活指導が今後必要であると考える。

  • 山口 航, 露無 松里, 弦本 惟郎, 中島 庸也
    2018 年 61 巻 3 号 p. 157-161
    発行日: 2018/06/15
    公開日: 2019/06/15
    ジャーナル フリー

     粘膜性類天疱瘡は表皮基底膜部抗原に対する自己抗体により, 表皮下水疱やびらん性病変が粘膜優位に生じる自己免疫性水疱症の一つである。 主に口腔, 眼粘膜にびらん性病変を生じ, 鼻腔, 喉頭, 食道, 外陰部などの粘膜障害も起こすことが知られている。 今回, 重度の喉頭狭窄に対して気管切開を要した粘膜性類天疱瘡の1例を経験したので報告する。

     症例は70歳女性で, 主訴は嗄声, 呼吸苦であった。 喉頭蓋の変形, 仮声帯の癒着に伴う喉頭狭窄を認め, 緊急気管切開を行い, 気道管理及び全身精査目的に入院となった。 喉頭以外にも眼球結膜の癒着, 鼻内粘膜, 外陰部粘膜のびらんを認め, 口腔内の病理組織学的検査にて粘膜性類天疱瘡と診断した。 気管切開術後3ヵ月を経過し喉頭狭窄は改善なく, カニューレ管理を続けている。

     粘膜性類天疱瘡による喉頭狭窄は難治性であり, 気管孔閉鎖に難渋することが多く, 今後も長期的な経過観察が必要である。

  • 斎藤 翔太, 光吉 亮人, 倉島 彩子, 高石 慎也, 森 恵莉, 飯村 慈朗, 浅香 大也, 小島 博己, 鴻 信義
    2018 年 61 巻 3 号 p. 162-168
    発行日: 2018/06/15
    公開日: 2019/06/15
    ジャーナル フリー

     神経鞘腫は Schwann 細胞由来の良性腫瘍で, 発生する全領域のうち, 鼻副鼻腔発生は約1%と稀な疾患である。 根治治療は手術療法で, 予後は良好とされており, 再発を繰り返すことは稀である。 今回, 経鼻内視鏡的アプローチにより, 鼻副鼻腔に発生した神経鞘腫を摘出した1例を経験したので報告する。

     症例は37歳男性で, 数年前より右鼻閉を自覚し, 前医にて右鼻腔に腫瘤性病変を指摘され, 精査加療目的に東京慈恵会医科大学附属病院耳鼻咽喉科を受診した。 当院で施行した病理組織学的検査で神経鞘腫の診断となり, 経鼻内視鏡下鼻副鼻腔手術を施行した。 術後明らかな残存病変は認めず, 神経脱落症状も認めなかった。

     神経鞘腫の頭頸部発生の大部分は聴神経由来であるが, 鼻副鼻腔発生の場合, 由来神経が同定困難な場合が多い。 根治治療は手術による摘出で, 鼻副鼻腔原発例は術後再発をほぼ認めず, 神経脱落症状も少ない。 術後再発率が少ない理由としては, 腫瘍の発生部位によりアプローチ法を吟味し, 内視鏡などのデバイスを用い適切な視野を確保することで腫瘍を被膜ごと摘出しうるためと考える。

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