Otology Japan
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19 巻, 2 号
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シンポジウム
第27回聴覚生理研究会
ランチョンセミナー4
原著論文
  • 竹田 将一郎, 白馬 伸洋, 兵頭 純, 羽藤 直人, 暁 清文
    2009 年 19 巻 2 号 p. 123-130
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/08/04
    ジャーナル フリー
    一過性内耳虚血の動物モデルを用い、虚血後に様々なタイミングで低体温(32 ℃)を負荷することにより内耳障害が防御される限界点を探索するとともに、低体温の作用メカニズムを解明する目的で外リンパ中の窒素酸化物濃度を測定した。実験にはスナネズミを用いた。その結果、虚血から3時間以内に低体温を負荷した群は常温群に比べ、有毛細胞脱落やABR 閾値上昇は有意に軽減された。しかし6時間後に低体温を負荷した場合にはこのような効果はみられず、虚血による内耳障害は防御されなかった。また、同様のプロトコールによってスナネズミの外リンパ中の窒素酸化物濃度を測定したところ、低温処置により虚血1日後のNO2-及びNO3-の濃度上昇は有意に抑制され、その効果は低体温の開始時期が早いほど大きかった。
  • 福角 隆仁, 土井 勝美, 西村 洋, 久保 武
    2009 年 19 巻 2 号 p. 131-136
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/08/04
    ジャーナル フリー
    外傷性顔面神経麻痺に関して、手術療法はその意義、時期、形式に関して様々な意見がある。また近年、手術療法や検査技術の発展によって、外傷性顔面神経麻痺の治療法は変化した。
    側頭骨骨折による外傷性顔面神経麻痺に対して、聴覚・平衡機能を温存しながら、錐体尖部から鼓室部・乳突部に至る顔面神経の神経管開放を確実に行うためには、中頭蓋窩法単独あるいは経乳突法に中頭蓋窩法を併用する方法を選択・導入していく必要がある。
    今回は当科で経験した外傷性顔面神経麻痺全8例中、中頭蓋窩法併用により迷路部・膝神経節までの開放を行った4例中の2症例を中心に、手術治療の時期・適応について説明する。
  • 冨山 道夫
    2009 年 19 巻 2 号 p. 137-145
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/08/04
    ジャーナル フリー
    2007 年に当院を受診した3歳以上の重症急性中耳炎のうち、上咽頭よりS. pneumoniae、S. pyogenes、M. catarrhalis、H. influenzaeのいずれかが検出された症例107 名を対象として、AMPC(60mg/kg/day)CVA(4. 3mg/kg/day)投与を7日間行った。投与前後の上咽頭検出菌の変化を検討した。投与前の検出菌は、S. pneumoniae57 株(32%)、S. pyogenes11 株(6%)、M. catarrhalis21 株(12%)、H. influenzae87 株(50%)で、菌消失率はS. pneumoniae89%、S. pyogenes100%、M. catarrhalis95%、H. influenzae45%と、S. pneumoniae、S. pyogenes、M. catarrhalisH. influenzaeに比し有意に高い菌消失率を示した。ABPC耐性H. influenzaeの検出率は投与前67%から投与後87%と有意に上昇した。AMPC/CVA(14:1)投与後は、ABPC耐性H. influenzaeの残存に注意する必要がある。
  • 成尾 一彦, 細井 裕司, 宮原 裕
    2009 年 19 巻 2 号 p. 146-150
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/08/04
    ジャーナル フリー
    幼少時に耳手術の既往があり、左耳痛、左顔面神経麻痺が生じた真珠腫性中耳炎を伴う頭蓋底骨髄炎例で、保存的ならびに外科的治療にも関わらず不幸な転帰をとった症例を経験した。本症例の特徴として、(1)ステロイド(プレドニゾロン10mg)を内服中であったこと、(2)カルバペネム系抗菌薬以外には耐性のPseudomonas aeruginosaが原因菌であったこと、(3)骨に炎症が波及し悪性外耳道炎にみられる頭蓋底骨髄炎の病態であったこと、がある。画像検査で診断した時点ですでに炎症が錐体尖まで進行し広範囲に拡大していた。可及的早急に外科的治療を行い、感受性のある抗菌薬をより長期間投与すべきであった。
  • 中西 悠, 河野 浩万, 岩永 英憲, 後藤 隆史, 東野 哲也
    2009 年 19 巻 2 号 p. 151-155
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/08/04
    ジャーナル フリー
    難聴者サーフィン大会参加者のsurfer's ear(SE)検診を行い、外耳道の骨性隆起形成について検討した。対象は84人(男68女16)15~58歳、平均33.3歳。方法は、サーフィンへの関わり方についてのアンケートと、外耳道所見からSE の程度を4段階に分類し検討した。84人中49 人(58%)にSEの形成を認め、1度30 例(35%)、2度11 例(13%)、3度9例(9%)であった。SE形成にいたる相対的な危険度を推測するために、サーフィン暦(年)と頻度(週あたりのサーフィン回数)の積をSurfing index(SI)として検討した。SI: 11以上の群では過半数にいずれかの程度のSE 形成を認めた。SI: 21以上の群では、2度以上の比較的高度なSEを認める率が高かった。日本国内の水温ではSI: 20 以上程度であれば、比較的高度なSEの形成を疑う基準となるものと考えられた。
    近年ではサーフィンが一般的なスポーツとして普及し、長期継続する愛好者も増加しており、今後は治療を要する高度SEも増すものと予想される。
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