Otology Japan
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19 巻 , 3 号
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原著論文
  • ─瘻孔部位と術後聴力─
    森 京子, 萩森 伸一, 金沢 敦子, 野中 隆三郎, 竹中 洋
    2009 年 19 巻 3 号 p. 173-178
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    当科にて手術加療を行った中耳真珠腫症例175耳中半規管瘻孔例26 耳(15%)、28箇所において、半規管瘻孔の部位や深達度、聴力改善成績、術前後の骨導聴力の変化、前庭症状についての検討を行った。半規管瘻孔は外側半規管にもっとも多く、全症例に認めた。半規管瘻孔の深達度はMilewskiとDornhofferの分類に従って行い、Iが13 箇所(46%)、IIaが9箇所(32%)、IIbが5箇所(18%)、IIIが1箇所(4%)であった。聴力改善成績は評価可能であった16 耳中13 耳が成功で成功率83%であった。骨導聴力は評価可能であった22 耳全例において術後悪化を認めなかった。術前めまい症状を呈した症例は26 耳中14 耳(54%)であり、瘻孔症状を呈した症例は26耳中4耳(15%)であった。術後全例において前庭症状の改善を認めている。半規管瘻孔の処理は全例一期的に行い、骨片および骨パテ、筋膜片、フィブリン糊を用いて瘻孔部の被覆を行った。術前の詳細な評価ならびに術中適切な瘻孔処理を行うことで、骨導聴力を保つことは可能であると考えられた。
  • 徳永 貴広, 齋藤 武久, 山本 健人, 藤枝 重治
    2009 年 19 巻 3 号 p. 179-184
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    我々は、交通事故による側頭骨骨折後に、鼓膜の外側に偽鼓膜が形成され、偽鼓膜と本来の鼓膜との間に真珠腫を生じた、きわめてまれな症例を経験した。
    症例は11 歳男児。交通事故で頭部を受傷し、左側頭骨骨折と診断された。受傷1ヵ月後に当科を初診。CTにて左側頭骨骨折、外傷性耳小骨離断を認め、左外耳道深部に真珠腫を疑わせる軟部組織陰影を認めた。手術を施行したところ、鼓膜の外側に膜様組織(偽鼓膜)が形成され、偽鼓膜と本来の鼓膜との間に真珠腫を生じていた。
    臨床経過をもとに、真珠腫の成因を検討した。外耳道骨折と鼓膜裂傷によって鼓膜表面に血腫が形成され、その後外耳道皮膚および鼓膜裂傷部の皮膚層が血腫表面に沿って伸びていき、本来の鼓膜よりも外側に偽鼓膜が形成され、血腫が吸収されるにつれて偽鼓膜と本来の鼓膜との間に真珠腫が形成されたと考えられた。過去の報告例のように外耳道の狭窄や閉塞はなく、本症例は特異な例と考えられた。
  • 上田 祥久, 栗田 知幸, 松田 洋一, 伊藤 信輔
    2009 年 19 巻 3 号 p. 185-190
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    外傷性耳小骨連鎖離断は頻回に経験する疾患ではないが連鎖離断状況は症例によって多様であり、臨床像を把握しておくことは重要である。また手術による聴力改善は良好であるため連鎖再建術の良い適応である。1995年から2007 年までに当科で手術加療を施行した外傷性耳小骨連鎖離断症例13例13耳を対象とし、その臨床像ならびに治療成績の検討を行った。伝音再建した全例で聴力改善を得ることができた。外傷後伝音難聴が持続する症例に対し積極的な試験的鼓室開放術を施行することが望ましいと考えた。
  • 内田 真哉
    2009 年 19 巻 3 号 p. 191-195
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    慢性中耳炎の経過中に反復する顔面神経麻痺と舌咽神経麻痺を認めた悪性外耳道炎症例を経験した。本例は82歳の男性で悪性外耳道炎から続発性肥厚性脳硬膜炎を来たした例であった。造影MRI検査にて早期に硬膜の肥厚を診断し、治療を開始することが可能であった。手術治療を含めた3回の入院治療を要したが、脳神経麻痺は回復し、その後2年を経過して再燃を認めていない。本例における顔面神経麻痺の病態および悪性外耳道炎の重症例に対する治療について検討を加えた。
  • 藤田 信哉, 山中 敏彰, 細井 裕司
    2009 年 19 巻 3 号 p. 196-201
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    急性中耳炎は、耳鼻咽喉科日常診療において最も頻度の高い疾患の一つである。最近当科で骨導閾値上昇を伴う急性中耳炎13 例を経験した。難聴の予後は治癒と著明回復したものが13例中10例、残り3例は回復となり良好な改善率を認めた。我々の骨導閾値上昇を伴う中耳炎に対しての治療法は抗生剤とステロイド剤の併用が基本である。予後は良好であったが、要因としては、早期にステロイド剤、抗生剤の投与が開始できたことがあげられた。急性中耳炎による内耳障害の原因は、中耳腔の肉芽を伴う細菌感染や中耳炎による炎症細胞が直接内耳に及んだ可能性が高い。急性中耳炎の病態は中耳の炎症と貯留液であり、鼓膜切開による排膿、排液は病巣の治癒促進に有効である。急性中耳炎には骨導閾値上昇をきたす場合もあることから、難聴、耳鳴、耳閉感などの蝸牛症状を認めた症例は聴力検査をするべきであり、骨導閾値上昇の合併があれば直ちに積極的な治療が必要であると考えられた。
  • 井上 庸夫, 江口 智徳, 山口 晋太郎, 渡邊 建介
    2009 年 19 巻 3 号 p. 202-206
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    突発性難聴の治療において、実際どの程度閾値が上昇した症例に点滴静注療法が必要になるかを確認するため重症度別に治療法の検討を行った。
    平成8年~ 19 年までに突発性難聴と診断され症状固定まで経過観察できた401名404耳を対象とした。
    内服治療のみ施行した55 耳を内服群、PGE1の点滴静注を行なった104 耳をPGE1 群、ステロイドとPGE1を併用して点滴静注を行った245耳をステロイド・PGE1群として、各群を重症度分類Grade2~4に分け予後を検討した。
    各治療群の有効率は、Grade2では3群間に有意差がなく内服治療だけでも可能であると考えられた。しかしGrade3ではPGE1群とステロイド・PGE1群は内服群に比べ有効率が高く点滴静注が必要であると考えられた。またPGE1群とステロイド・PGE1群の間では有意差がなく、Grade3ではPGE1単独でも治療が可能であると考えられた。Grade4 では各群間で有意差は認めなかったが、ステロイド・PGE1群の有効率が最も高く、ステロイドとPGE1を併用した治療が望ましいと考えられた。
総説
  • ─Pcdh15変異マウスの知見を中心に─
    吉川 弥生
    2009 年 19 巻 3 号 p. 207-213
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    We utilized electron and immuno-fluorescent microscopy to examine cytoskeletal structures of cochlear outer hair cells in control and Ames waltzer 3J (av3J) mice, to investigate the mechanism of stereocilia bundle polarity established in mature hair cells. The Ames waltzer mouse harbors a mutation in the protocadherin 15 gene (Pcdh15) and is a model for deafness in Usher syndrome 1F and non-syndromic deafness DFNB23. We examined dynamic ultrastructural changes of the fonticulus, kinocilia and basal body/centriole complex during initiation of bundle organization, between embryonic day 16.5 (E16.5) and postnatal day 10 (P10). In normal controls, maturation of stereocilia bundle started around E18, with the earliest changes in kinocilia lateralized to the side of the cell, prior to cuticular plate formation and stereocilia elongation. In av mice, stereocilia bundle disorganization first appears at E18 and increased after P0, with mislocalization of the kinocilium and the fonticulus. These observations support the hypothesis that organization of stereocilia and cell polarization may be dependent on proper orientation of structural components in the apical portion of the cell during development.
シンポジウム
  • 神谷 和作
    2009 年 19 巻 3 号 p. 214-218
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    Recently, a number of clinical studies for cell therapy have been reported and clinically used for several intractable diseases. Inner ear cell therapy for sensorineural hearing loss also has been studied using some laboratory animals, although the successful reports for the hearing recovery were still few.
    Cochlear fibrocytes play important roles in normal hearing as well as in several types of sensorineural hearing loss due to inner ear homeostasis disorders. Recently, we developed a novel rat model of acute sensorineural hearing loss due to fibrocyte dysfunction induced by a mitochondrial toxin1), 2). In this model, we demonstrate active regeneration of the cochlear fibrocytes after severe focal apoptosis without any changes in the organ of Corti. To rescue the residual hearing loss, we transplanted mesenchymal stem cells into the lateral semicircular canal; a number of these stem cells were then detected in the injured area in the lateral wall. Rats with transplanted mesenchymal stem cells in the lateral wall demonstrated a significantly higher hearing recovery ratio than controls. The mesenchymal stem cells in the lateral wall also showed connexin 26 and connexin 30 immunostaining reminiscent of gap junctions between neighboring cells3). These results indicate that reorganization of the cochlear fibrocytes leads to hearing recovery after acute sensorineural hearing loss in this model and suggest that mesenchymal stem cell transplantation into the inner ear may be a promising therapy for patients with sensorineural hearing loss due to degeneration of cochlear fibrocytes.
ランチョンセミナー6
  • Muaaz Tarabichi
    2009 年 19 巻 3 号 p. 219-233
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    The advantages and limitations of the microscope have defined transmastoid access as the surgical intervention of choice for the treatment of cholesteatoma. The wideangle view provided by the endoscope enables transcanal access to the tympanic cavity and its otherwise difficult-to-reach extensions: the attic, sinus tympani, facial recess, and hypotympanum. These areas are the primary sites of disease and surgical failure to cure. This report is a summary of the author's two 17 years of experience with the use of transcanal operative endoscopy as the primary approach to the management of cholesteatoma.
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