Otology Japan
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19 巻 , 5 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
原著論文
  • 菊地 俊晶, 小林 俊光, 大島 猛史, 川瀬 哲明
    2009 年 19 巻 5 号 p. 643-648
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/02/01
    ジャーナル フリー
    1)取り込みを可及的に排除した厳格な診断基準の作成を目的として、耳管開放症診断基準(案)を提唱した。以下の(1)(2)(3)全項目を満たすものを「耳管開放症確実例」、(2)(3)を満たすものを「耳管開放症疑い例」とした。(1)鼓膜の呼吸性動揺を認める。(2)自声強聴、呼吸音聴取、耳閉感を認める。(3)上記(2)の症状が耳管閉塞処置により改善する。註1)鼓膜の呼吸性動揺の検査時、鼻すすり癖を有する患者の場合には、鼻すすりによる耳管閉鎖があればこれを解除してから検査を行うと診断率が向上する。註2)「耳管開放症疑い例」の診断に際しては、上半規管裂隙症候群を除外する必要がある。
    2)当科耳管開放症外来を受診した421名523耳にretrospectiveに本診断基準(案)を適用した結果、「耳管開放症確実例」は332耳(63.5%)、「耳管開放症疑い例」は99耳(18.9%)で両者の合計は431耳(82.4%)で、他疾患と診断した例は92 耳(17.6%)であった。他疾患では、耳管狭窄、嚥下時の耳の違和感など耳管開放症以外の耳管機能障害と判断された症例が64耳、内耳障害と考えられた例が26耳あった。
    3)本診断基準(案)は「鼓膜の呼吸性動揺」を「耳管開放症確実例」の要件としているため、耳管開放症でありながら、諸種の要因でこれが検出できないために、「耳管開放症疑い例」にとどまる症例が少数ながら存在した。しかし、他疾患の混入を可及的に避けるという目的からすると、おおむね妥当な診断基準(案)と考えられた。また、上半規管裂隙症候群の症例が「耳管開放症疑い例」となり、鑑別診断上重要であるので注釈を設けた。
  • 仲野 敦子, 有本 友季子, 工藤 典代
    2009 年 19 巻 5 号 p. 649-653
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/02/01
    ジャーナル フリー
    2006年4月から2007年10月までに千葉県こども病院でチューブを留置し6か月以上経過観察を行えた3歳以下の94 症例、179耳を対象としてチューブ留置後の経過を検討した。経過観察期間は平均17か月であった。チューブは2種類を症例によって選択し、短期型チューブを63耳に、長期型チューブを116耳に使用した。
    急性中耳炎を反復していた10例中4例、滲出性中耳炎83例中25例では経過観察中に耳漏を認めた。滲出性中耳炎症例のみでは、短期型チューブ57例中15例、長期型チューブ99例中36例で耳漏を認めた。
    4耳にチューブ脱落後穿孔の残存を認め、いずれも感染時にチューブが脱落した例であった。
    鼓膜に白色の病変が確認できたものを石灰化病変ありとすると、94例中20例、179耳中30耳に石灰化病変を認めた。石灰化病変を認めた半数の10例では、一側にのみ病変を認めていた。チューブの種類では短期型の8%に、長期型の22%に石灰化病変を認めた。
  • 柴崎 修, 中嶋 正人, 高橋 壽彦, 善浪 弘善, 加瀬 康弘
    2009 年 19 巻 5 号 p. 654-659
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/02/01
    ジャーナル フリー
    慢性中耳炎に対する治療法の一つとして、フィブリン糊を用いた接着法が広く定着されてきている。しかし、フィブリン糊はあくまで血液製剤であり、ウイルス感染、アレルギー反応の問題が完全には除外できていない。他科では、術前の自己血からクリオプレシピテートを精製する自己フィブリン糊が広く用いられ、市販製剤と同様の高い効果が報告されている。今回われわれは、患者自己血から精製した自己フィブリン糊を用いて接着法を行った。症例数はわずかであるが、鼓膜穿孔閉鎖成功率92.9%、聴力改善成功率71.4%と過去の市販製剤を用いた報告と同様に高い成績が得られた。他科での報告と同様に、接着法においても自己フィブリン糊は市販製剤と同様の効果があると考えられる。
  • 長谷川 賢作, 國本 泰臣, 片岡 英幸, 矢間 敬章, 福原 隆宏, 北野 博也
    2009 年 19 巻 5 号 p. 660-665
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/02/01
    ジャーナル フリー
    外耳道癌の手術適応を検討する際には、一般的にHRCTやMRI等の画像検査所見を用いる。MRIはCTに比べて軟部組織への浸潤範囲を判定するのに有利であり、骨組織ではCTが有利である。この特徴を生かして外耳道癌症例9例に対して、CTとMRI画像を合成することにより、側頭骨領域手術の術前シミュレーションを実施してきた。この術前シミュレーションで作成した画像を術中ナビゲーションシステムに移行し、これを参照しつつ手術操作を展開するため、planned navigation surgeryと位置づけたい。現在までの経験から、外耳道癌の治療選択に際してこの術前シミュレーションは有用であり、腫瘍の進展範囲を比較的容易に把握することができる。
    外耳道癌は発生頻度も少なく、基本となる治療が手術であるにもかかわらず、手術手技を効率的に習熟することが困難な疾患である。2006 年にplanned navigation surgeryを開始して8症例を経験し、手術の精度や安全性に関してはおおむね良好な印象を持っているので報告する。
  • ─42症例の短期間予後─
    富山 俊一
    2009 年 19 巻 5 号 p. 666-671
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/02/01
    ジャーナル フリー
    2005 年から2008 年までの期間に原因不明の感音難聴やめまい併発例で再発後難治性となり、変動性進行性左右非対称性感音難聴と68kDa内耳自己抗体発現陽性を認めた症例を内耳自己免疫病と診断した42症例(62耳)の短期間予後を報告した。聴力は250Hz、500Hz、1khz、2kHz、4kHzの平均値で表した。治療はシクロフォスファミドとプレドニゾンにて行った。観察終了時点で、聴力予後は62耳中33耳(53.2%)が良好であった。治癒群の治療前聴力は回復群、不変群、悪化群と比較して有意に低かった。また発症からCPMPSL治療までの罹患期間は治癒群が回復群や不変群に比較して有意に短かかった。めまいは14例(33.3%)で、めまい重症度は治療後有意に低下した。めまいのない症例はめまいのある症例に比較して、予後聴力は有意に良好であった。この結果、早期診断と早期の免疫抑制剤治療はAIEDの予後改善に繋がると考えられた。
  • 芦澤 圭, 田渕 経司, 中山 雅博, 原 晃
    2009 年 19 巻 5 号 p. 672-675
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/02/01
    ジャーナル フリー
    Duane症候群(眼球後退症候群)は外転障害と内転時の眼球後退、瞼裂狭小を特徴とする先天性眼球運動障害で、外転神経核の欠損が原因と考えられている。本症候群は通常は孤発例であり、難聴や脊椎異常などの種々の合併症を伴うことが知られている。Duane症候群と一側性難聴を合併した41歳男性例を報告した。先天性の眼球運動異常、左難聴を認め、眼球運動所見、CT所見から蝸牛低形成を伴うDuane症候群と診断された。眼球運動障害をきたす疾患として、Duane症候群を念頭に置き、本疾患において難聴の合併の可能性を考慮する必要があると考えられた。
特別講演3
  • Colletti V, Shannon RV, Mandalà M, Carner M, Veronese S, Collet ...
    2009 年 19 巻 5 号 p. 677-685
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/02/01
    ジャーナル フリー
    Modern auditory prostheses range from implants that impart mechanical energy to the cochlea via the ossicular chain or bypassing a damaged ossicular chain via the round window (round window implants) to implants that, bypassing severely damaged inner ear cells, electrically stimulate the auditory nerve within the cochlea (cochlear implants). Other auditory prosthesis are suitable for electrical stimulation of the central auditory pathways: the auditory brainstem implants which, bypassing a damaged cochlea and auditory nerve auditory, stimulate the brainstem nuclei, and the inferior colliculus implant or auditory midbrain implant which, bypassing damaged brainstem nuclei stimulate the inferior colliculus.
    With the refinements in implant technology, patient selection criteria for the various different implant devices need to be periodically reconsidered with a view to obtaining increasingly high levels of speech recognition for the different etiologies. We review the latest outcomes, obtained with various implant devices, and propose guidelines for device selection for different etiologies of deafness.
モーニングセミナー1
  • Helge Rask-Andersen, Wei Liu, Marja Boström, Fred Linthicum
    2009 年 19 巻 5 号 p. 687-697
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/02/01
    ジャーナル フリー
    Cochlear Implantation (CI) remains as one of the greatest medical achievements in modern medicine. New and innovative strategies continue to be developed to optimize and improve the functional results of CI surgery. Preservation of residual hearing through a-traumatic surgical techniques and electrode arrays may alter indications. Conditions with profound SNHL with preserved low tone hearing may have several causes and pathology may vary accordingly. In patients with progressive adult-onset SNHL neurons may be conserved even after long duration of deafness. IHCs and OHCs, supporting cells, ganglion cells and dendrites may be preserved in the apical region while in the lower turn despite atrophic organ of Corti and loss of lamina fibers ganglion cells can be present even after 28 years duration of deafness. These spiral ganglion cells may be excellent targets for electric stimulation using EAS technique that combines electric and acoustic stimulation in the same ear and utilizes both low frequency acoustic hearing and electric stimulation of preserved neurons. At the moment we are trying to elucidate the mechanism responsible for this preservation in humans and to use this knowledge for future therapy. Nano-technology may offer new possibilities for focused release of drugs and possibly genes to the inner ear. European project“NanoEar”is a concerted action to develop 3rd generation of nanoparticles (NP) for treatment of inner ear deafness. One goal is to target drugs and genes to specific inner ear cells through so-called multifunctional NP which are degradable, non-toxic, traceable and can be released in a controlled and biocompatible way. The small size of the NP may give new properties for technical advancement but risks must also be thoroughly evaluated. Uppsala is a Swedish partner to evaluate NP uptake in vitro in both human and animal spiral ganglion neurons. In my presentation I will show the system of culture spiral ganglion cells and demonstrate their locomotive behaviour and NP intracellular uptake using time lapse video recording and combined immunofluorescence and confocal microscopy.
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