Otology Japan
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20 巻 , 5 号
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原著論文
  • 小島 博己, 吉田 隆一, 志和 成紀, 田中 康広, 森山 寛
    2010 年 20 巻 5 号 p. 677-683
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/08/31
    ジャーナル フリー
    「真珠腫の進展度分類案2008年」に基づいて弛緩部型真珠腫の初回手術例の病態を分類し、stageごとにおける手術成績についての検討を行った。
    対象は1998年から2003年3月までの間に、東京慈恵会医科大学耳鼻咽喉科で弛緩部型中耳真珠腫の診断で手術を行った443耳である、年齢は8歳から77歳(平均43.9歳)、男女比は約3:2であった。
    stageごとの内訳はstage Iが120耳(27.1%)、stage IIが267耳(60.3%)、stage IIIが56耳(12.6%)であった。術式の選択ではstage Iでは乳突洞非削開型鼓室形成術(transcanal attico antrotomy)が最も多く、stage II、stage IIIでは外耳道後壁保存型鼓室形成術(canal wall up tympanoplasty)が最も多く選択されていた。伝音再建法はstage Iでは I型と IIIc型がほぼ同数であったが、stage II、stage IIIでは IIIc型による再建が最多であった。聴力改善成績はstage Iでは76.7%、stage IIでは67.9%、stage IIIでは61.8%であった。再発率はstage Iが2%、stage IIが8.3%、stage IIIが4.4%であった。
    以上より今回の進展度分類案では聴力成績、再発率などの点において、妥当な分類であると考えられた。
    一方で術後聴力改善成績に影響を与える乳突洞の気相の有無やアブミ骨周囲の病変の評価についてはこの分類案の項目に含まれておらず、今後亜分類などにこの項目を追加することが望まれる。
  • ─主に術後聴力成績について─
    和田 忠彦, 岩永 迪孝, 白馬 伸洋, 平塚 康之, 隈部 洋平, 小西 将矢, 岡上 雄介, 樋渡 直
    2010 年 20 巻 5 号 p. 684-691
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/08/31
    ジャーナル フリー
    今回我々はアブミ骨周囲に硬化性病変(石灰化および骨新生 以下硬化性病変)を伴う鼓室硬化症に対する鼓室形成術について検討した。対象は、2004年~2008年の5年間でアブミ骨周囲に硬化性病変を認めた鼓室硬化症に対して鼓室形成術をした85耳である。手術時年齢は26歳~78歳(平均年齢:61.3歳)であり、術前聴力の平均気導値は73.7dB、平均骨導値は38.0dBでA-B gapは35.7dBであった。術後、全体の聴力成績(日本耳科学会聴力判定案2000)は、85耳中56耳(65.9%)であり、術後の平均気導値は55.0dB、A-B gapは17.0dBであった。
    伝音再建別の成功率では、I型が3耳中2耳(66.7%)、III-i型が26耳中16耳(61.5%)、IIIc型が49耳中33耳(63.7%)、IV-i型が3耳中2耳(66.7%)、IVc型が4耳中3耳(75%)であった。また、IIIc型再建の再建材料別検討において、自家キヌタ骨を使用したIIIc再建では、24耳中11耳(45.8%)、Apaceram P®を使用したIIIc再建では、25耳中22耳(88%)が成功例であった。
  • 山田 弘之, 福家 智仁, 福喜多 晃平, 荒木 真美佳
    2010 年 20 巻 5 号 p. 692-696
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/08/31
    ジャーナル フリー
    外傷性耳小骨離断の報告は多いが、耳小骨連鎖が正常で、かつアブミ骨底板の卵円窓陥入を認めたとする報告は稀である。今回、直達外傷によって、耳小骨連鎖の離断なく、アブミ骨の卵円窓陥入を認めた症例の手術を経験した。初診時から徐々に難聴は進行し、1週間後には聾となったため試験的鼓室開放を行うことで、病態が確認された。アブミ骨の整復のためにキヌタ骨を摘出せざるを得なかった。さらに、アブミ骨の整復は困難で、結果的にアブミ骨摘出を余儀なくされた。キヌタ骨を用いたアブミ手術を行い、幸い聴力改善は認められたが、手術時期と、アブミ骨摘出の是非については検討の余地があると思われる。進行する難聴、めまいの残存がある場合には早期の手術が求められ、アブミ骨はできれば摘出せずに整復することが望ましいが、固着の強い場合には摘出はやむをえないと考える。
  • 中江 進, 松井 雅裕, 神谷 透
    2010 年 20 巻 5 号 p. 697-703
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/08/31
    ジャーナル フリー
    1996年から2008年まで乳突腔充填術を併用して鼓室形成術を行ったのは207耳(充填材に骨パテを用いたものは97耳、耳介軟骨片を用いたものは110耳)であった。予後不良にて再手術を行ったのは12耳で、頭蓋内合併症例が2耳、炎症再燃例が4耳、真珠腫再発が6耳であった。頭蓋内合併症例は骨パテ充填と軟骨片充填が各1耳、炎症再燃例は骨パテ充填が1耳で軟骨片充填が3耳、真珠腫再発例は骨パテ充填と軟骨片充填が各3耳であった。再手術までの期間は炎症再燃例は短く数日~数か月程度であり、真珠腫再発例は長く、1年~10年であった。頭蓋内合併症例2耳はいずれも初回手術時に中頭蓋窩硬膜の露出があり、制御されていない感染が充填材を通じて硬膜露出部へ波及したものと思われた。炎症再燃例では充填材の流出や、病的肉芽との混在が見られた。真珠腫再発をきたした骨パテ充填例では骨パテは皮質骨様に骨化し、顔面神経、半規管が同定できないので完全摘出は困難だった。一方軟骨片は摘出が容易だが、遺残蜂巣削開が不可欠であった。以上の所見から感染の制御されてない耳には乳突腔充填術を行うべきでなく、感染と硬膜露出が併存した場合は禁忌であること、骨パテ充填耳は再手術しにくいこと、重症症例には乳突腔充填術を併用しない外耳道削除型鼓室形成術が望ましいこと、を述べた。
  • 齋藤 武久, 山田 武千代, 岡本 昌之, 呉 明美, 鈴木 弟, 木村 幸弘, 徳永 貴広, 真鍋 恭弘
    2010 年 20 巻 5 号 p. 704-710
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/08/31
    ジャーナル フリー
    2001年7月から2009年1月までに顔面神経減荷術の対象となった高度顔面神経麻痺20例、21耳全例に対して、キヌタ骨をはずさずに行う減荷術(経乳突法)を行った。その中の18例、19耳の術後聴力について、キヌタ骨を一旦はずす従来法との間で比較を行った。術後の平均気導聴力(3分法)は、1耳で10dBの域値上昇を認めたが、その他の症例では変動がなかった。4kHzあるいは8kHzのいずれか一つの周波数において、10~15dBの域値上昇が9/19耳(47%)に認められた。術後、一過性の耳鳴が2耳に認められた。以上の結果から、本手術法は従来法よりも術後の聴力変化は軽度であることが明らかとなった。しかし、顔面神経水平部から膝神経節までの減荷には、キヌタ骨にバーが触れないようにする工夫や内耳損傷を回避する技術が必要となる。したがって、キヌタ骨をはずして行う従来の減荷術を習熟してから慎重に行うべき手術法であろうと考えられた。
  • ─多変量解析による検討─
    森 貴稔, 鈴木 秀明, 小泉 弘樹, 平木 信明, 橋田 光一
    2010 年 20 巻 5 号 p. 711-716
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/08/31
    ジャーナル フリー
    突発性難聴の聴力予後予測におけるDPOAEの有用性について検討するため、同疾患患者78名に対し治療前にDPOAE測定を行った(f2/f1=1.2、L1=80dB SPL、L2=70dB SPL、f2=593~6031Hz、1/3オクターブ毎11周波数)。初診時DPOAE出力レベル、年齢、発症から初診までの日数、めまいの有無、初診時聴力の5つの予後因子と聴力予後とについて、単回帰分析および多重ロジスティック回帰分析を用いて解析した。多重ロジスティック回帰分析の結果、高周波数域(f2=3031、4812Hz)における初診時DPOAE出力レベルは聴力改善率と有意に相関していたが、年齢、発症から初診までの日数、めまいの有無、初診時聴力とは相関が見られなかった。さらに相関が見られなかった4因子について交絡因子補正した多重ロジスティック回帰分析においてもDPOAE出力は聴力予後と有意に関連していた。以上より、高周波数域の初診時DPOAE出力レベルは突発性難聴の予後予測において有用な指標となり得ることが示唆された。
  • 牧野 寛之, 佐野 肇, 上條 貴裕, 岡本 牧人
    2010 年 20 巻 5 号 p. 717-720
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/08/31
    ジャーナル フリー
    突発性難聴は未だ原因不明の疾患であるが、推測される病因の一つにヘルペスウィルスの再活性化が挙げられている。そのため治療に抗ウィルス薬を用いる試みがなされてきたが、これまでその効果を検討した報告の多くは聴力の改善において有意差を認めていない。今回我々はヘルペスウィルスの抗体価が高いものは再活性化と関連している可能性が高いと考え、2007年以降当院を初診した突発性難聴患者に血液検査を施行した。そして単純ヘルペスウィルスIgGの分布を検討し、抗体価が100EIA価以上の症例の一部に抗ウィルス薬を追加投与した。それ以外の治療は全て同じ条件で、聴力改善率を比較検討した。その結果投与群と非投与群の間で発症からの病日、初診時の聴力、めまいの有無、年齢について有意差を認めなかった。そして聴力改善率についても、有意差を認めなかった。
  • 岩崎 聡, 工 穣, 茂木 英明, 中西 啓, 峯田 周幸, 宇佐美 真一
    2010 年 20 巻 5 号 p. 721-726
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/08/31
    ジャーナル フリー
    2003年9月から2005年8月までの期間に信州大学耳鼻咽喉科と浜松医科大学耳鼻咽喉科にてBAHA手術を施行した15名(信州大学6名、浜松医大9名)を対象とし、3年9ヶ月から5年8ヶ月(平均4年4ヶ月)経過した時点までの期間内で生じたトラブルについて検討した。トラブルの部位は、皮弁、インプラント、サウンドプロセッサー(SP)に分けられ、それぞれ7名(47%)、2名(13%)、10名(67%)にみられた。皮弁のトラブルの内訳は57%が炎症で、外来の局所処置にてコントロール可能であった。ケロイド体質の1症例は皮弁の皮膚がインプラントを覆ってしまい(overgrowth)、インプラントの自然脱落も伴った。皮膚のOvergrowthがみとめられた他の2症例は皮弁再建術で改善した。最も頻度の多かったSPのトラブルの発症時期は装着開始後6ヶ月から5年(平均1年9ヶ月)で見られた。
  • 高橋 正紘
    2010 年 20 巻 5 号 p. 727-734
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/08/31
    ジャーナル フリー
    めまい専門施設の4年間のメニエール病患者411名(男性162名、女性249名)に対し、ライフスタイル正常化と有酸素運動を実践し(1回1時間以上を週3回以上)、原則無投薬、月一回の受診の治療を実施した。6ヶ月以上観察した83名で、めまい消失55.4%、ほとんどない27.7%、時々ある10.8%、しばしばある6.0%であった。6ヶ月以上観察した102名129耳で、初診時の低音障害からの改善47.7%、高音障害からの改善33.3%、全音域障害からの改善26.6%であった。固定した高音障害、全音域障害の改善には、非日常的な頻度・量の有酸素運動が必要であった。有酸素運動が内耳局所の循環を改善させ、水腫を改善させると推測された。発症誘因の調査結果を考慮すると、メ病は心身の奉仕や頑張りに対する報酬不足が、情動中枢を介し内耳循環不全を招き、内リンパ水腫を生む可能性が示唆された。
  • Nakarin Angunsri, Eigo Omi, Yoshiaki Itasaka, Kazuo Ishikawa
    2010 年 20 巻 5 号 p. 735-742
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/08/31
    ジャーナル フリー
    Objective: To determine diagnostic parameter and value of vestibular evoked myogenic potential (VEMP) for screening test of acoustic neuroma (AN).
    Study design: Retrospective clinical study.
    Setting: Tertiary referral center.
    Participants: Forty patients with unilateral acoustic tumor for whom VEMP test was performed and 14 healthy controls.
    Main outcome measures: Amplitude of P13 and n23, p13 and n23 latencies and interaural p latencies and interaural n latencies in VEMP test were analyzed in patients group and controls group. Correlation between tumor size and Amplitude of P13 and n23, p13 and n23 latencies were analyzed in patients group. Sensitivity of VEMP, Auditory brainstem response (ABR) and caloric test were also reviewed.
    Results: Significantly smaller amplitude of p13 and n23, longer p13 and n23 latencies and longer interaural p latencies were shown in AN patients. Cases with large tumors have shown a tendency with absent or small amplitude response while small tumors have tended to have prolonged n23 latencies. Among forty patients, 29 showed abnormal results of VEMP. Thus sensitivity rate of VEMP was 72.5%, which has no significant difference when compared to that of ABR and Caloric test.
    Conclusion: These results suggest that amplitude difference, p13 latencies, n23 latencies and interaural p latencies are useful diagnostic parameters for AN. Therefore VEMP can be one of important battery tests for clinical application in making diagnosis of AN.
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