Otology Japan
Online ISSN : 1884-1457
Print ISSN : 0917-2025
ISSN-L : 0917-2025
20 巻 , 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
原著論文
  • 縄手 彩子, 君付 隆, 玉江 昭裕, 松本 希, 柴田 修明, 大橋 充, 小宗 静男
    2010 年 20 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/06/09
    ジャーナル フリー
    内耳蝸牛のダイテルス細胞は、Kイオンリサイクルシステムの一部でありgap junctionを通じてKイオンの流入、流出が行われる。今回、Kイオン動態の一部として重要と考えられるK チャネル特性を明らかにするために、ダイテルス細胞のK電流について研究を行った。ダイテルス細胞は酵素(trypsin)と機械的操作により単離し、形態学的特徴により同定可能であった。K電流はパッチクランプ法のconventional modeにて測定した。標準細胞外液中で、過分極刺激では内向きK電流はほとんど認めなかったが、約-30mVより脱分極刺激にて外向きに電流が電位依存的に惹起され、いわゆる外向き整流性電流を認めた。電流の立ち上がりは急峻で10ms以内にピークとなり、速い活性化を示した。また、秒単位の電流減少を認めており、遅い不活性過程と考えられた。+100mV におけるピーク電流のコンダクタンスは26.2nSであった。ホ乳類体温である36℃と室温においてK電流特性を比較した。36℃でK電流の大きさは増大し活性化速度は増加した。活性化速度のQ10 は1.78 であった。不活性化速度も増加し、Q10は1.51であった。
  • 國本 泰臣, 長谷川 賢作, 田口 大蔵, 北野 博也
    2010 年 20 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/06/09
    ジャーナル フリー
    軟骨は、形状が容易に加工でき安定して生着することより、鼓室形成術において頻繁に用いられる再建材料である。今回我々は、鼓膜と鼓室粘膜との癒着を伴う耳疾患に対する鼓室形成術において薄切した軟骨を外耳道再建に用いると同時に鼓膜再建にも使用し、短期成績ではあるが術後聴力や術後鼓室の再含気化の程度を検討したので報告する。対象は外耳道・鼓膜再建に薄切軟骨を用いた鼓室形成術III型・IV型を施行し、術後6ヶ月以上経過を追えた24 例である。術後6ヶ月以降の聴力を日本耳科学会の聴力改善成績判定案(2000 年)に基づき評価し、鼓室の再含気化は術後6ヶ月以降のCTによって評価した。術後鼓室再含気化の判定はアブミ骨底板周囲の含気化の有無で行った。結果は全体として術後聴力成功率50.0%、再含気化率52.2%であり、過去の報告と比較して差を認めなかった。術後のポケット形成を認めないことより、この術式は鼓膜癒着性病変を伴う耳疾患に対するひとつの選択肢になりうると考える。
  • 石永 一, 坂井田 寛, 竹内 万彦
    2010 年 20 巻 1 号 p. 13-16
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/06/09
    ジャーナル フリー
    当科で2004年2月から2007年11月までの間に鼓室形成術を施行した125耳の術後聴力成績を検討した。疾患別では慢性中耳炎47耳、真珠腫性中耳炎78耳であった。術後聴力の判定は日本耳科学会用語委員会提案の「聴力改善の成績判定案2000」に基づいて行った。
    結果は全症例125耳で成功耳98例、成功率は77.6%であり、術式別聴力成績ではI型34 耳で成功率85%、III型73耳で成功率77%、IV型18耳で成功率72%であった。さらに詳細に検討するとIII-c 症例では38 耳中成功率82%、III-iでは34耳中成功率74%、IV-cで10耳中成功率70%、IV-iで8例中成功率75%であった。今回の検討ではI型、III型、IV型の間、ならびにインターポジションとコルメラの間での術式別での聴力成績に統計学的有意差は認めなかった。疾患別聴力成績では慢性中耳炎症例47 耳中成功率81%、真珠腫性症例78 耳中成功率77%であった。この2群間に統計学的有意差は認められなかった。段階手術例の検討では、真珠腫性中耳炎例78耳中、一期手術を行ったのは47 耳、段階手術を行ったのは29耳であった。これらを術式別にI型、III型ならびにIV型で検討したところI型、III型では明らかな有意差は認められなかった。IV型症例では、症例数が少ないものの段階手術例の方が統計学的に有意に良好な聴力改善を示した。
  • 中山 次久, 宮崎 日出海
    2010 年 20 巻 1 号 p. 17-22
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/06/09
    ジャーナル フリー
    ターナー症候群は、性腺機能不全、低身長、翼状頸、外反肘等の症状を呈し、出生約2000 人の女児に対して1人の割合で発症するとされ、一般的な合併症として、反復性中耳炎、慢性中耳炎、外耳奇形、感音難聴などの様々な聴器障害を呈することが知られている。今回我々は、ターナー症候群に合併した進行性難聴の1例を経験したので報告する。
    症例は46 歳女性。めまいを主訴に受診し、その後変動する両側混合性難聴とめまい発作を繰り返した。内リンパ水腫を疑い加療を行っていたが難聴は徐々に進行し、経過中にターナー症候群と診断された。
    中年期以降のターナー症候群においては高い確率で難聴が認められる。難聴が進行した場合には早期の補聴器装用が望ましく、定期的な聴力検査による経過観察が必要である。近年、エストラジオールと難聴の関連が示唆されており、本症例も子宮筋腫に対して子宮全摘、右付属器切除後より難聴の進行の訴えがあったため、手術後のエストラジオールの低下が難聴の進行の一因と考えられた。
特別講演2
  • Anders Tjellström, Gösta Granström
    2010 年 20 巻 1 号 p. 23-30
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/06/09
    ジャーナル フリー
    The Bone Anchored Hearing Aid - Baha® - is today a well establish treatment option in selected patients with hearing impairment.
    In this review article we will present the concept of osseointegration which is the prerequisite for the Baha®. The traditional indications are chronic ear disease, bilateral ear canal atresia, unilateral conductive hearing loss in only hearing ear and external ear canal problems that can not tolerate an air conduction hearing aid mould. Bilateral fitting and patient with single sided sensori neural deafness and Baha® in children will also be discussed. A short description of the surgical procedure is given. A extensive reference list will provide the interested reader with literature from colleagues experienced in the area of direct bone conduction via B Baha®.
臨床セミナー2
  • 枝松 秀雄, 安田 真美子, 小林 真由美, 大前 祥子, 志村 文代, 佐々木 優子, 松野 栄雄
    2010 年 20 巻 1 号 p. 31-35
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/06/09
    ジャーナル フリー
    Endoscopic observation and treatment have been remarkably developed in so many fields of the medicine, because they are very clear to observe local disease and no traumatic. In Otolaryngology, what is the reason that endoscopic application is very popular in rhinology and unpopular in otology? Working space may be important factor for limited use of endoscope in narrow external ear canal and middle ear. Another reason may be difficult operative skill to introduce an endoscopic ear surgery.
    Our ear surgeon holds an endoscope with 2.7 mm diameter and 17 cm long in the left hand and handles surgical tools in the right hand. Both two devices are introduced into the middle ear through the external ear canal.
    Merit of endoscopic-aided ear surgery is that its observation can give a full and clearly view of the middle ear cleft. Detailed observation can avoid an injury of the facial nerve or the inner ear. Moreover, endoscope can show a residual cholesteatoma under the ossicles or in the tympanic sinus which lesion might not be found with a microscopic observation. Therefore, an endoscope should be introduced more and more for ear surgery, especially in case of children. The anatomical feature may cause ear surgeon to hesitate the use of an endoscope in children. We have performed an endoscope-aided ear surgery in children for the last three years and endoscope was possible to apply for safe operation in every case of children.
    Our conclusion is that endoscope should be used more in daily ear clinic for accurate diagnosis of ear disease and in ear surgery for safe operation with full view of middle ear cavity and to avoid residual disease.
ランチョンセミナー1
  • 藤田 次郎
    2010 年 20 巻 1 号 p. 37-44
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/06/09
    ジャーナル フリー
    耳鼻科領域のカバーする器官と呼吸器系器官とはone airway という概念で捉えることが可能である。鼻腔・咽頭の分泌物の誤嚥は病原体が肺に到達する主要な経路である。また急性中耳炎の三大起炎菌は、インフルエンザ桿菌、肺炎球菌、および黄色ブドウ球菌である。これらの三大起炎菌は、インフルエンザウイルス感染症に合併する二次性細菌性肺炎の三大起炎菌と同じである。また上気道感染症の起炎菌として重要な肺炎球菌、およびインフルエンザ桿菌は、airway の末端に位置する肺胞の感染症である肺炎の起炎菌としてもきわめて重要な起炎菌である。このことから呼吸器感染症で得られた知見(特に耐性菌の動向)を、耳鼻科感染症に応用することが可能となる。耳鼻科領域感染症においても肺炎球菌は主要な起炎菌であることから、ニューキノロン系抗菌薬を選択する際には、必ずレスピラトリーキノロン系薬を選択する必要がある。
ランチョンセミナー3
  • 肥塚 泉
    2010 年 20 巻 1 号 p. 45-51
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/06/09
    ジャーナル フリー
    メニエール病は、めまい発作を繰り返し、難聴や耳鳴などの聴覚症状(蝸牛症状)を反復・消長する疾患である。近年、メニエール病の診断基準が改定された。メニエール病の病態を内リンパ水腫と位置付け、メニエール病確実例の定義を簡潔に記載し、さらに前基準で疑い例と記載されていた分類をメニエール病非定型例蝸牛型、同前庭型と定義しその基準を明確にした。メニエール病の本態と考えられる内リンパ水腫の診断法についても、耳石器を対象とした脱水検査、高分解能MRI など新しい手法が適用されるようになった。メニエール病の発症ならびに再発に、ストレスが深くかかわっている可能性が指摘されてきた。最近ストレスホルモンの一種で、腎臓や内耳における水代謝に強く関連しているAVPが内リンパ水腫の形成に強く関連している可能性が示唆されるようになり、メニエール病におけるストレス管理の重要性が再認識されるようになった。
feedback
Top