Otology Japan
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20 巻 , 2 号
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原著論文
  • 呉 晃一, 松井 和夫, 大田 隆之, 内藤 聡, 三好 豊, 臼井 広明, 林 泰広
    2010 年 20 巻 2 号 p. 73-78
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/08
    ジャーナル フリー
    先天性中耳真珠腫は、小児期に発見されることが多く進行性の疾患であり手術加療を必要とする。対象が小児であることなどを考慮すると出来るだけ低侵襲で加療を行うべきである。最近5年間に加療を行った15歳以下の先天性中耳真珠腫は29例であったが、診断用光学機器の進歩などにより早期に発見され、鼓膜前上象限などに限局した先天性中耳真珠腫を多数経験した。我々は、鼓膜前上象限に限局する真珠腫に対しては鼓膜切開にて経鼓膜的に摘出を行う方法、また、鼓室形成術を行った場合、耳後部切開にて経外耳道的アプローチで症例に応じて上鼓室、乳突洞を最小限に削開、その後再建することで比較的低侵襲な加療を行っている。今回検討した結果、良好な成績を得たのでここに報告する。
  • 久世 文也, 水田 啓介, 山田 南星, 安藤 健一, 青木 光広, 伊藤 八次
    2010 年 20 巻 2 号 p. 79-85
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/08
    ジャーナル フリー
    2000年1月から2008年12月までの9年間に当科で診断した聴器癌12例のうち、一次治療を行った11例について治療成績を検討し、治療法選択について考察した。
    年齢は52歳から90歳、平均68歳であった。主病変の部位は、外耳道10例、中耳1例であった。病期は、Pittsburgh 分類でT1 :2例、T2 :3例、T3 :0例、T4:6例であった。
    T4 の4例に対して側頭骨部分切除を行い、うち3例で腹直筋皮弁による再建を行った。50Gyの術後放射線照射を行い、1例は原病死、3例は現在まで非担癌生存中である。T1~T2の5例中4例に対して外耳道全摘を行った。1例に対して側頭骨部分切除を行った。1例に対し術後放射線治療を行った。このうちT1の1例で局所再発をきたした。全11例の予後をKaplan-Meier法で求めると、5年生存率は77%であった。
    腫瘍進展範囲に応じて適切な術式を選択することで良好な予後を期待することができた。術前、術中の、腫瘍進展範囲の的確な診断が重要と考えられた。
  • 井上 亜希, 尾関 英徳, 岩崎 真一, 室伏 利久
    2010 年 20 巻 2 号 p. 86-90
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/08
    ジャーナル フリー
    頭位性めまいを主訴として外来を受診する患者は多い。そのうちの多くは良性発作性頭位めまい症と診断されるが、頭位性めまいは中枢神経障害でもよくみられる。末梢性頭位性めまいと中枢性頭位性めまいを頭位眼振検査所見のみから鑑別することは非常に難しい。我々は頭位性めまいを主訴として耳鼻咽喉科外来を受診し、中枢性めまいと診断された2症例を報告する。2症例とも方向交代性下向性頭位眼振をみとめた。症例1は38歳男性、頭位眼振以外に片側の軟口蓋麻痺と声帯麻痺をみとめた。梗塞巣から、Wallenberg症候群と診断された。症例2は36歳男性、注視方向性眼振、rebound nystagmus、visual suppressionの減弱、saccadic pursuit、ocular hypometria、視運動性眼振の解発不良をみとめ、最終的にSCA6と診断された。神経耳科学的検査と一般神経学的検査を総合的に行うことが中枢性めまいの正しい診断を行う上で必要であることが示唆された。
  • 新鍋 晶浩, 児玉 梢, 金沢 弘美, 金澤 丈治, 飯野 ゆき子
    2010 年 20 巻 2 号 p. 91-95
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/08
    ジャーナル フリー
    症例は51歳男性。他院にて左弛緩部型真珠腫に対し外耳道再建型鼓室形成術を受けた。術後しばらくしてから朝方に強い難聴を自覚するようになり、聴力は変動した。耳管機能不全として加療するも改善せず当科紹介となった。耳鏡所見で左外耳道後壁の膨隆を認めた。側頭骨CTにて外耳道後壁に骨欠損部位があり、空気による外耳道膨隆であった。よって骨欠損部の硬性再建および換気経路の再確保のため左鼓室形成術をおこなった。術中鼓室峡部にウェブの形成があり、これを開放し骨欠損部を軟骨、皮質骨を用いて再建した。術後聴力は著明に改善し、現在のところ経過良好である。本症例は、正常な乳突腔粘膜のガス拡散能を証明する一例と考えられた。
  • 高橋 恵美子, 武藤 俊彦, 児島 雄介, 西川 奈見, 橋本 健吾
    2010 年 20 巻 2 号 p. 96-100
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/08
    ジャーナル フリー
    外耳道に発生した神経鞘腫の1例を経験した。
    症例は、43歳女性で、左外耳道入口部の腫瘤に気付き近医耳鼻咽喉科を受診後、当科を紹介初診となった。初診時、左外耳道入口部直下に平滑で球状の腫瘍を認めた。MRIの特徴的な所見から神経鞘腫を疑い、耳後切開にて腫瘍を摘出した。病理組織検査にて、神経鞘腫と診断された。また、発生部位より迷走神耳介枝由来の神経鞘腫と考えられた。術後の神経脱落症状は認めず、術後10カ月の経過観察において再発は認めなかった。
    過去の報告では、外耳道神経鞘腫の性差は男性が7割と多く、年齢は40、50歳代が6割を占めていた。軽度の難聴や腫瘤自体を自覚し受診されているものが多かった。直径20mm以内がほとんどで、最大30mmであった。
    神経鞘腫の再発はまれで、悪性化は頸部神経鞘腫に比較的多いとされているが、今後さらなる経過観察が必要と思われる。
パネルディスカッション2 その(1)
  • 小宗 静男
    2010 年 20 巻 2 号 p. 101-107
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/08
    ジャーナル フリー
    今までに経験した手術症例の中で反省すべき2症例を提示した。1例は52歳女性で、左慢性中耳炎である。普通の鼓室形成術を行ったが、術中に鼓室岬角に骨欠損とその奥に空間を認め、蝸牛瘻孔とおもわれた。CTを再検すると基底回転に骨欠損を認めた。術後本症例は聾となった。2例目は79歳男性で左の持続性漿液性耳漏を主訴として来院した。外リンパ漏か髄膜脳瘤破綻による髄液漏を疑って手術を行った。最終的には、後者の診断が確定し手術により髄液漏は停止した。しかし、術中、瘻孔部位の同定を誤り、アブミ骨を摘出するという意味のない手術を加えてしまった。このような過ちを起こした最も大きな原因は術前の不十分な画像診断によるもであると考えられた。
  • 阪上 雅史
    2010 年 20 巻 2 号 p. 108-111
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/08
    ジャーナル フリー
    症例1は耳漏が続く急性乳様突起炎例で、posteriortymapnotomy を通してアブミ骨操作を行っていた時、アブミ骨を転倒させてしまった。幸い感音難聴・めまい等は起こらず二期手術で聴力を改善できた。症例2はコレステリン肉芽腫で、posterior tymapnotomyを通してアブミ骨付近の肉芽を可及的に除去したが、術後高度感音難聴・めまいが起こり微細な瘻孔が底板に生じ内耳炎が生じたと推測された。炎症耳でアブミ骨付近の操作を行う時は細心の注意が必要であることを改めて痛感した。症例3は術直後にバンコマイシン(VCM)を投与したところアナフィラキシーショックが起こった症例で、(1)VCM 点滴によりヒスタミンが遊離されてred neck 症候群が稀に惹起される可能性、(2)チオペンタール等全身麻酔薬とVCMの相互作用でアナフィラキシー反応が稀に出る可能性があることが薬剤添付文書に書かれていた。
ランチョンセミナー6
  • 林 達哉
    2010 年 20 巻 2 号 p. 113-118
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/08
    ジャーナル フリー
    2009年に第2版が出版された「小児急性中耳炎診療ガイドライン」はアモキシシリンを第一選択とするエンピリカルな抗菌薬選択を基本とする。同時に抗菌薬不要例の存在についても言及され、本ガイドラインからは抗菌薬の適正使用を本邦に定着させるという作成者の明確な意図が読み取れる。抗菌薬の適正使用をさらに推進するためには、中耳炎ガイドラインの考え方を鼻副鼻腔炎や咽頭・扁桃炎など他の上気道感染症にも拡大、応用していく必要がある。
    感染症診療の第一段階と言えるウイルス性と細菌性の鑑別は小児急性咽頭・扁桃炎では迅速診断キットが中心的役割を果たす。注意したいのは膿栓の付着が細菌感染を意味しない点である。一方、小児急性鼻副鼻腔炎ではこの鑑別が容易ではなく、膿性鼻汁の長期化が唯一明確な細菌性炎症の指標とされる。議論はあるものの、いずれの疾患についても第一選択抗菌薬は急性中耳炎と同様アモキシシリンである。
ランチョンセミナー7
  • Helge Rask-Andersen, Wei Liu, Anders Kinnefors, Kristian Pfaller, Rudo ...
    2010 年 20 巻 2 号 p. 119-129
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/08
    ジャーナル フリー
    More than 600 million people suffer from neurosensory diseases, with hearing loss being one of the dominant causes of all ages. Deafness affects 2-3 children in 1000 born, over 10% of adults and 30% of elderly individuals above 65 years of age. Most patients with a hearing problem are diagnosed with sensorineural hearing loss primarily caused by hair cell dysfunction. Auditory neuropathies may be more frequent than earlier understood and studies of human ear may suggest additional filtering and synchronous activity in the first neuron important for speech coding. Cochlear implantation and prospects of treating inner ear disorders by application of substances into the middle ear necessitate further exploration of the human labyrinth. Still our knowledge of the structure/function of the human spiral ganglion (SGC) relative to electric stimulation is limited. In our study specimens were obtained at surgery for large life-threatening petro-clival meningioma after patient and ethical committee consent. Excellently preserved human tissue could be obtained after decalcification and observation in a TEM (JEOL 100 SX) and Field Emission Scanning Electron Microscope (ZEISS DSM 982 Gemini Field Emission Electron Microscope), and laser confocal microscopy (Nikon TE2000, DEclipse C1). The fine structure of the human cochlear nerve and hair cells could be analysed. This presentation is a short “round trip” in the human cochlea presenting some anatomical characteristics that may be useful to recognize during surgery and future inner ear research. New research in molecular medicine, gene therapy, stem cell inducement and nano-technology may lead to further breakthroughs in diagnostic, with new causative treatments of diseases of the auditory systems. We may anticipate a challenging future in regenerative medicine with new techniques to induce cell repair even in patients suffering from neural deafness. However, it is also imperative not to furnish unrealistic promises but give reasonable prospects for future progress. This presentation will focus on some results obtained recently in these fields and try to foresee strategies and advances for further progress of hearing rehabilitation.

    All studies adhered to the rules of the local ethical committe and standards for animal care (Nr. 99398, 22/9 1999, C254/4, C45/7 2007) and patient consent. Research is a part of the European Community 6th Framework Programme on Research, Technological Development and Demonstration (Nanotechnology-based targeted drug delivery; contract number: NMP-2004-3.4.1. 5-1-1; project acronym: NANOEAR). Supported in Sweden from Stiftelsen Tysta Skolan, Hörskadades Riksförbund (HRF) och Sellanders Stiftelse.
ランチョンセミナー8
  • 曾根 三千彦
    2010 年 20 巻 2 号 p. 130-134
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/08
    ジャーナル フリー
    胃食道逆流症(GERD)と誘因不明な成人滲出性中耳炎(OME)症例との因果関係について検討した結果、GERD症状を有する症例の中耳貯留液中のペプシノーゲン(PG)濃度は、症状を有しない症例に比し高値例の割合が高いこと、症状を有する症例では両側性のOMEが高率である事が判明した。GERDとの関連を強く疑ったOME 症例では、プロトンポンプ阻害剤(PPI)投与後症状の改善と貯留液中PG濃度の低下、OME治癒に有効な症例も認められた。GERD有症率は病院受診者に比べて診療所受診患者により高い傾向があった。PPI反応不良例の中には高濃度のビリルビンや胆汁酸が認められた症例も存在し、PPI内服に加えてGERDに対する生活指導がOME治癒に有効である事も確認された。以上の事から従来の治療法に抵抗する誘因不明のOMEに対して、十二指腸・胃逆流を考慮した対応も選択する必要があると思われる。
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