目的:救急診療での抗菌薬投与が小児急性中耳炎に与える影響を調べること。
対象:2008年10月からの半年間で急性中耳炎にて救急外来を受診した15歳未満の患者137人中、翌日再受診し経過観察が可能であった65人を対象とした。
方法:急性中耳炎の軽症例と重症例はガイドラインに準じた治療を行った。中等症例ではガイドラインと異なり鎮痛薬服用後に再度疼痛を訴えた場合のみ抗菌薬を服用してもらった。翌日再受診時と初診時との比較検討を行った。
結果:中等症例ではガイドラインに準じた治療法より抗菌薬の使用症例が4.6%((43 + 13 - 43 - 10)/65 :(初診時中等症例+初診時重症例-再受診時中等症例-再受診時重症例)/総再受診数)減少した。抗菌薬投与群と非投与群において、翌日認めた重症度の改善には有意差を認めなかった。中等症例全体の23.3%(10/43)が保護者の判断で抗菌薬を投与した。
結論:救急診療では重症例以外はセーフティネットを使用することで抗菌薬使用を減らす可能性が示唆された。
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