Otology Japan
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21 巻 , 5 号
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原著論文
  • 宇佐美 真一, 茂木 英明, 宮川 麻衣子, 内藤 武彦, 西尾 信哉, 工 穣, 岩崎 聡
    2011 年 21 巻 5 号 p. 763-770
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    低音部に残存聴力を有するいわゆる高音急墜あるいは漸傾型の聴力像を呈する難聴患者は、補聴器を使用しても聴取能が低く、従来の人工内耳の適応にも該当しないことから補聴に苦慮する症例が多かった。近年、残存聴力のある低音部は音響刺激で、重度難聴の高音部は電気刺激で音を送り込む「残存聴力活用型人工内耳 (EAS: electric acoustic stimulation)」が開発され注目を集めている。EASは人工内耳の適応や可能性を広げるものとして注目されているが、蝸牛への電極挿入と聴力温存という相反する目的を達成しなければならない点にこの医療技術の難しさがある。本稿ではこれまでに当施設で行われたEAS症例の手術法と聴力保存成績について検討した。今回、術後1ヶ月以上経過し純音聴力検査のデータが得られている16例16耳について検討を行った結果、全例で音響刺激を行うのに十分な残存聴力の保存が可能であった。
  • 茂木 英明, 西尾 信哉, 工 穣, 岩崎 聡, 宇佐美 真一
    2011 年 21 巻 5 号 p. 771-776
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    低音部に残存聴力のある高音急墜、漸傾型の感音難聴は補聴器装用が困難な場合が多い。近年、このような症例に対し低音部は音響刺激で、高音部は人工内耳による電気刺激で聴取能を得る、残存聴力活用型人工内耳 (EAS) が登場した。2010年8月より、この残存聴力活用型人工内耳 (EAS) が高度医療として承認され、当科で行った9症例について術後聴取能の評価を行った。EASで用いる人工内耳電極はMED-EL社製FLEXeas、スピーチプロセッサはDUET 2を使用した。手術法は蝸牛への侵襲を低減させるため正円窓アプローチで行った。術後すべての症例で低音部の残存聴力が温存された。術後のEASでの装用閾値は40dB以下を示し、良好な聴取閾値を認めた。また、67-S語表を用いた検査、CI2004での聴取能の評価でも音入れ後3ヶ月で大きく改善していた。EASはすでに海外で臨床応用されているが、日本人においても良好な聴取能を得られることが確認された。
  • 富山 俊一, 渡邊 健一, 斎藤 明彦, 増野 聡, 斎藤 亜希子
    2011 年 21 巻 5 号 p. 777-783
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    68kD内耳抗体陽性の進行性感音難聴でprednisolone (PSL) 60mg漸減初回治療にて聴力改善したステロイド反応性内耳自己免疫病46名の免疫抑制剤治療の予後を検討した。46名中18名はPSL治療のみ、28名はPSL治療効果が低下し、細胞毒性免疫抑制剤シクロフォスファミド (CPM) 治療を追加した。結果は免疫抑制剤治療に46名中20名 (43%) は予後良好で12名 (26%) は変化なく安定し、14名 (30%) は予後不良であった。聴力改善耳は69患耳中26耳 (38%) で、治療に反応した20名中11名はステロイドに反応し、19患耳中13耳 (68%) が聴力改善した。残り9名はCPM治療に反応し、12患耳中11耳 (91%) が聴力改善した。ステロイド反応性内耳自己抗体陽性AIED症例の一部には少量のステロイド治療で良く反応し、ステロイド治療効果の消失後も免疫抑制剤治療追加に約30%が反応した。
  • 宮里 麻鈴, 竹野 幸夫, 平川 勝洋, 福島 典之
    2011 年 21 巻 5 号 p. 784-790
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    Receptor activator of NF κ-B (RANKL) は破骨細胞の分化誘導と骨吸収活性の鍵となるサイトカインである。中耳真珠腫における骨破壊の機序と影響因子の解明を目的として、RANKLの発現とKi-67を指標とした真珠腫上皮の増殖力、形態学的特徴(真珠腫上皮の厚さと炎症細胞浸潤)、との関連性について検討した。26症例における真珠腫上皮のRANKL発現は基底層領域に局在していた。免疫組織学的にRANKL陽性率30%未満を軽度群、同30%以上を高度群とし、増殖マーカーであるKi-67陽性率と、粘膜下組織における炎症細胞浸潤程度について検討してみると、いずれも初回手術例の高度群で有意に高かった。一方で、真珠腫の進展度や骨破壊程度などの臨床所見については、RANKL発現を指標とした群間での差異は認められなかった。これらの結果は、真珠腫の骨破壊機序に上皮層 (matrix) の増殖力と、粘膜下組織 (perimatrix) の炎症動態が関与していることを示唆するものと思われた。
  • 高木 大樹, 羽藤 直人, 暁 清文
    2011 年 21 巻 5 号 p. 791-794
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    遺伝子で規定されている耳垢の性状 (乾性、湿性) が中耳真珠腫の発症頻度と関係しているかを検討する目的で、中耳真珠腫症患者の耳垢の一塩基多形 (SNP) を調査した。その結果、中耳真珠腫症の156名のうち40名 (25.6%) が湿性耳垢であり、健常者では372名中59名 (15.9%) が湿性耳垢であった。また真珠種の進展度と耳垢型との関係についても検討したが、明確な関連は認められなかった。中耳真珠腫の患者では湿性耳垢の割合が健常人と比較して有意に高かったが、どのようなメカニズムで耳垢が真珠腫の発症に関係しているかは今後の検討課題であろう。
  • 桂 弘和, 武藤 俊彦, 三代 康雄, 足達 治, 阪上 雅史
    2011 年 21 巻 5 号 p. 795-799
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    最近10年間に兵庫医科大学耳鼻咽喉科で手術を行った耳小骨奇形症例の38症例41耳について検討した。男性13例、女性25例で手術時の年齢は4歳から48歳 (平均20歳) であった。船坂の分類では1群が最も多く20例で、2群が10例、3群が6例であった。術前ティンパノメトリは離断症例でA型が最も多く、固着症例ではC型が最も多くみられた。耳小骨筋反射は反対側刺激で離断症例のうち9例 (82%)で反応がみられるのに対して、固着症例は反応がみられなかった。伝音再建法はIII型変法が最も多く20例 (49%) で、ついでIV型変法の7例 (17%)、アブミ骨手術が6例 (16%)、I型が4例 (10%) であった。
    2010年の耳科学会判定基準による術後聴力成績は全体では28例中23例 (82%) の改善率であった。聴力成績は全体で82%となり、特にI型やアブミ骨手術の成績に関して今後の課題と考えられた。
  • 大田 重人, 我那覇 章, 鈴木 幹男
    2011 年 21 巻 5 号 p. 800-807
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    難治性中耳炎の経過中に、顔面神経麻痺と肥厚性硬膜炎を合併したMPO-ANCA陽性症例を経験した。症例は74歳女性で、右滲出性中耳炎にて鼓膜換気チューブ留置されたが、骨導閾値上昇したため当科紹介となった。細菌性内耳炎の診断で、抗生剤とステロイド点滴を行った。血液検査ではPR3-ANCA陰性、MPO-ANCA陽性であった。ステロイド内服継続して通院中に、右顔面神経麻痺が出現し、ステロイドミニパルスを行った。乳突削開術での病理検査は、非特異的炎症性肉芽であった。退院して、ステロイド維持内服していたが、多発神経症状が出現し、MRIで肥厚性硬膜炎を認めた。ステロイドパルスと免疫抑制剤投与を開始し、症状は改善した。MPO-ANCAのみ陽性で、病理組織学的検査でも特異的所見が得られない場合は、確定診断に苦慮する。Wegener肉芽腫症を含めたANCA関連血管炎症候群として早期に治療を開始することが必要と考えた。
  • 武田 憲昭, 神村 盛一郎, 千田 いづみ, 北村 嘉章, 陣内 自治, 阿部 晃治, 田村 公一, 宇高 二良, 遠藤 亜紀
    2011 年 21 巻 5 号 p. 808-815
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    感音難聴と顔面神経麻痺を示したMPO-ANCA関連中耳疾患症例を報告した。耳閉感で初発し、滲出性中耳炎の治療を受けるも両感音難聴が進行した。ステロイドの効果は一時的であり、その後、左顔面神経麻痺が出現した。側頭骨CTでは中耳に軟部陰影を認めたが、骨破壊なし。PR3-ANCA陰性、MPO-ANCA陽性であったが、肺・腎病変はなく、中耳組織に血管炎の所見を認めなかった。ステロイドと免疫抑制薬の投与により、難聴と顔面神経麻痺は改善した。このような感音難聴と顔面神経麻痺を示すMPO-ANCA関連中耳疾患は、MPO-ANCAによる血管炎が関与している可能性があるが、組織検査でANCA関連血管炎と診断できない。また、本疾患はANCA関連血管炎とは臨床的特徴が異なっていた。本疾患はステロイドと免疫抑制薬の併用治療が有効であるため、免疫抑制剤の使用の根拠となる診断名が必要と考え、診断基準とともに提案した。
  • 藤田 信哉, 山中 敏彰, 成尾 一彦, 細井 裕司
    2011 年 21 巻 5 号 p. 816-820
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    マイコプラズマ肺炎に両側感音難聴を合併した症例を、若干の文献的考察を加えて報告した。症例は、55歳女性で主訴は、呼吸困難感、難聴であった。現病歴は、2007年4月18日頃から発熱、咳嗽を認め、同24日近医で肺炎を指摘され、翌25日精査のため当院を受診した。純音聴力検査では、両耳に感音難聴を認めた。呼吸器内科では、マイコプラズマ肺炎の診断でセフェム系とマクロライド系の抗菌薬が投与された。当科ではステロイド剤の点滴を開始した。5月3日退院時には聴力は右耳43dB (5分法)、左耳46dB (5分法)まで改善した。抗体価は単一血清で高値を示しマイコプラズマの感染と考えられた。感音難聴の発症機序としては蝸牛小管経由説、自己免疫説、正円窓経由説が有力であるが、自験例から自己免疫説が合理的であるといえる。肺炎に感音難聴の合併を認めた場合、マイコプラズマ感染の可能性を念頭に置く必要があると思われた。
  • 宮之原 郁代, 宮下 圭一, 黒野 祐一
    2011 年 21 巻 5 号 p. 821-826
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    右耳閉感と発疹で発症しHIV感染、内耳梅毒が判明した1例を報告する。症例は、55才男性で、2009年7月末に右耳閉感と発疹が出現し、8月下旬、右難聴が突然出現した。前医にて右突発性難聴の診断を受け、プレドニゾロン30mgから漸減療法を受けるも改善が得られず、当院受診となった。標準純音聴力検査4分法平均聴力レベルで右43.8dB、左25.0dBと感音難聴を認めた。梅毒血清反応ならびにウエスタンブロット法にて梅毒、HIV感染が確認され、HIV感染を合併した内耳梅毒の診断となった。アモキシシリン500mg×3/日、9週投与で、聴力は改善した。HIV感染症例の感音難聴では、内耳梅毒の鑑別が必要なことが示唆された。
  • 荒木 真美佳, 福喜多 晃平, 福家 智仁, 谷山 岳司, 山田 弘之
    2011 年 21 巻 5 号 p. 827-833
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    骨Paget病は、異常に亢進した骨吸収と、それに続く旺盛な骨形成を特徴とする代謝性骨疾患である。欧米諸国では骨粗鬆症に次いで罹患頻度の高い疾患であるが、わが国では極めて稀な疾患である。今回我々は、顔面神経麻痺と難聴を合併した骨Paget病の一例を報告する。ステロイドパルス療法に反応しなかったため、顔面神経減荷術を施行した。経過中は、ビスフォスフォネート製剤による保存的療法を併用し、顔面神経麻痺スコアは8点から18点まで改善した。罹患率の高い海外からの報告を含め、顔面神経麻痺を合併した骨Paget病の報告はなく、本症例は顔面神経麻痺を呈した最初の骨Paget病例と考えられた。
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