Otology Japan
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21 巻 , 1 号
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原著論文
  • 松田 圭二, 河野 浩万, 長井 慎成, 外山 勝浩, 小玉 隆男, 東野 哲也
    2011 年 21 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    外耳道後壁保存型手術を行った弛緩部型真珠腫109例について、術中確認した真珠腫の進展範囲(Stage分類)と術前後の含気程度(CT)、聴力、再発率との関係を調べた。
    1.94%の症例で手術により含気が改善または維持したが、真珠腫進展範囲と再含気程度の関係は多彩で明らかな相関はなかった。
    2.Stage別の術後聴力成績は、I、II、IIIの順に成功率67%、73%、67%で真珠腫の進展範囲にはあまり影響を受けなかった。
    3.Stage別の再形成性再発率は、I、II、IIIの順に4.7%、10.9%、20.8%で真珠腫の進展度が進むほど高くなった。
    進展度分類は、含気度を指標としたCWU術後の治癒形態を必ずしも予測する材料にならないが、再形成性再発率は進展度に影響されることが推測された。
  • 新鍋 晶浩, 原 真理子, 松澤 真吾, 長谷川 雅世, 児玉 梢, 金沢 弘美, 金澤 丈治, 吉田 尚弘, 飯野 ゆき子
    2011 年 21 巻 1 号 p. 8-12
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    成人の弛緩部型真珠腫の臨床像に年齢による違いがみられるか検討をおこなった。対象は当院で鼓室形成術をおこなった弛緩部型真珠腫新鮮例99耳とし、20歳代および30歳代を若年群(41耳)、50歳代および60歳代を高齢群(42耳)とし以下の3項目、1)術前の側頭骨CTをもとに計測した乳突蜂巣断面積、2)術後中耳腔含気化の程度、3)日本耳科学会2000年度案に基づいた術後聴力成績、に関して比較検討をおこなった。結果、以下のごとく統計学的に有意差を認めた。1)若年群は有意に乳突蜂巣断面積が大きい(P<0.001、t検定)。2)若年群は術後乳突蜂巣の含気化が有意に良好(P<0.001、χ2検定)。3)若年群は術後聴力成績が有意に良好(P<0.001、χ2検定)。年齢により成人の弛緩部型真珠腫の臨床像に大きな違いがみられた。この2群間において真珠腫の成因が異なっている可能性があると推察された。
  • 杉浦 彩子, 内田 育恵, 下方 浩史, 安藤 富士子, 中島 務
    2011 年 21 巻 1 号 p. 13-22
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    大規模な長期縦断疫学調査において地域在住中高年者の難聴と酸化ストレス関連遺伝子の多型との関連について検討した。一般地域住民男女2128名を対象とし、酸化ストレス関連遺伝子はNO合成酵素NOS3をはじめとする7遺伝子9多型について調べた。混合モデルにて良聴耳の各周波数気導聴力レベルを目的変数に、説明変数を各遺伝子多型とした解析(年齢、性、騒音職場歴の有無などで調整)を行い、ついで、一般化推定方程式モデルで目的変数を難聴の有無として行った。周波数別の解析ではNOS3、グルタチオンSトランスフェラーゼ、NADH/NADPHオキシダーゼp22phoxの多型で有意差を認め、難聴の有無においてもNOS3の多型で有意に難聴のリスクが高かった。酸化ストレスは老化のメカニズムとして重要視されているが、聴覚においてもその関連遺伝子の多型の一部は単独でも有意に地域在住中高年者の聴力閾値を増悪させる効果をもつと考えられた。
  • 高橋 邦行, 山本 裕, 大島 伸介, 森田 由香, 根本 美歌, 桑原 優子, 高橋 姿
    2011 年 21 巻 1 号 p. 23-28
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    難聴患者の診断においてオージオグラムの型は非常に有力な情報となる。その中で比較的まれな型である中音域に最も高い聴力閾値を示す谷型では、聴神経腫瘍などを鑑別に挙げる必要がある。しかし、これまで聴神経腫瘍における聴力型の検討は少ない。そこで105耳の聴神経腫瘍症例を対象に、オージオグラムの型を分類し、その割合と臨床的特徴を検討した。
    聴力型割合は、高音障害型、谷型、山型、聾型の順に多く、谷型は25%を占めた。加齢の影響を排除するため、対側の聴力閾値での補正を行うと、谷型に相当する症例の割合が42%を占めた。
    臨床的特徴として、発症形式別にみると突発発症症例では谷型が最も多く、聾型は全例緩徐発症であった。腫瘍の大きさと聴力型との関連性は認められなかったが、聾型では内耳道底に腫瘍が進展している症例がほとんどであった。
    聴神経腫瘍の聴力型の特徴を把握する事は、本症の早期発見、病態の理解に重要であると考えられた。
  • ―起立検査を指標として―
    大谷 真喜子, 野々田 岳夫, 細田 泰男
    2011 年 21 巻 1 号 p. 29-35
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    固有知覚と筋力は加齢とともに減弱し、その変化が高齢者の平衡機能低下に関連しているとされる。足底への機械的刺激によって下肢筋の萎縮が予防できる可能性が、最近示唆された。今回、我々は毎日の足底への機械的刺激が高齢者の平衡機能を改善させることができるかを検討した。足底への刺激は、座位にて裸足でゴルフボールを転がす刺激とした。対象は、70歳以上の女性で、足底刺激を指導した刺激群17人と指導しなかった対照群14人の31人である。平衡機能の指標として、マン姿勢維持可能時間と片脚起立時間を用い、足底刺激指導後より毎月計測した。
    マン姿勢維持可能時間では、対照群は1ヶ月後で右足前・左足前の開眼閉眼ともに有意差は認められなかったが、刺激群では1ヶ月後の閉眼右足前(p<0.001)で有意に時間が延長した。片脚起立時間においても対照群では1ヶ月後で有意差は認められなかったが、刺激群では1ヶ月後の開眼右足上(p<0.01)、開眼左足上(p<0.01)、閉眼右足上(p<0.01)、閉眼左足上(p<0.05)で有意に時間が延長した。
    ゴルフボールを毎日転がす足底刺激法が、立位バランスの加齢変化を改善させる可能性が示唆された。
  • 廣瀬 由紀, 田渕 経司, 飛田 忠道, 和田 哲郎, 水本 斉志, 金本 彩恵, 原 晃
    2011 年 21 巻 1 号 p. 36-42
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    顆粒球肉腫は骨髄細胞由来の腫瘤形成性腫瘍であり、本来骨髄内で増殖すべき顆粒球細胞が髄外で増殖し集積することでできる、非常にまれな腫瘍である。急性骨髄性白血病と深く関係しているとされており、骨髄性白血病の3.1-6.8%で生じるとされている。白血病により耳科症状をきたす症例は知られているが、腫瘤形成による顔面神経麻痺の報告は症例数が少なく、まれな病態である。今回我々は耳科症状で発症し顔面神経麻痺をきたした顆粒球肉腫の症例を経験した。白血病の既往のある患者において、顔面神経麻痺・耳科学的症状が出現した場合は、積極的に画像検査、骨髄検査などを行い、顆粒球肉腫の発生や白血病の再発を確認する必要があると考えられた。
  • 呉 奎真, 大久保 剛, 石野 岳志, 井門 謙太郎, 竹野 幸夫, 平川 勝洋
    2011 年 21 巻 1 号 p. 43-46
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    後天性外耳道狭窄症の原因として、外傷、炎症、腫瘍、骨増殖性によるものが挙げられる。今回、耳掻きによる慢性外耳道炎のため両側外耳道狭窄症を来たした一例を経験した。両側に炎症性の外耳道狭窄を認める症例は文献的にまれである。本症例では、耳漏・難聴を反復しており、また、外耳道真珠腫予防の点も考慮し、手術適応であると考えた。手術による感音難聴の可能性は低いと考え、また、患者の強い希望もあり、両側同時に手術を施行した。両側とも再狭窄を認めず、術後経過良好である。外耳道狭窄症は、無症状の場合、見過ごされやすいが、重大な合併症を来たす症例もあり、定期的な経過観察を行うとともに、適応があれば早期に手術治療を行うべきと考える。本症例は両側同時手術を行ったが、患者満足度は高く、今後も症例を選んで、十分なインフォームド・コンセントを行い、希望があった場合、両側同時手術を行うことも選択肢の一つになると考える。
  • 藤原 良平, 齋藤 和也, 磯野 道夫, 森 一功
    2011 年 21 巻 1 号 p. 47-51
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年、P-ANCA陽性の肥厚性硬膜炎とWegener肉芽腫症の関連性が示唆されており、難治性中耳炎が初発であるという報告が散見される。
    今回、我々は、難治性中耳炎の経過中に強い頭痛をきたした症例を経験した。この症例は、造影MRIで肥厚性硬膜炎の所見を認めたため、まず中耳炎からの炎症波及を疑い抗生剤・手術的加療をおこなった。しかし、頭痛・耳漏は軽快せず、ANCA関連血管炎にともなう症状の可能性を考え、ステロイドを投与したところ、症状は劇的に改善した。
    ANCA関連血管炎にともなう肥厚性硬膜炎は、稀な疾患であるが、難治性中耳炎や頭痛を認める場合、鑑別の一つとして考慮することが必要である。
  • 山本 耕司, 中島 庸也, 貝田 将郷, 宮内 潤, 吉田 隆一, 小林 小百合, 北原 大翔
    2011 年 21 巻 1 号 p. 52-59
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    めまい、頭痛、および急性感音難聴が先行し、診断に苦慮した髄膜癌腫症の1症例を経験したので報告する。症例は66歳、男性。平成20年11月24日、ふらつき、頭痛が出現、その後症状悪化にて近医に入院となった。症状の改善を認めないため、当院紹介受診となり、両側急性感音難聴の診断にて入院加療とした。ステロイド治療に反応しないため、腫瘍マーカー検査を施行したところ、CEA 531ng/mlと高値を認めた。精査したところ、胃癌(印環細胞癌)の頭蓋内転移の診断に至った。急性感音難聴の原因として悪性腫瘍の頭蓋内転移が疑われた場合、頭部造影MRI、腫瘍マーカー、さらに繰り返しの髄液検査を行う必要が考えられた。また、急性感音難聴が先行する髄膜癌腫症症例について検討を行った。
  • 真鍋 恭弘, 木村 幸弘, 冨田 かおり
    2011 年 21 巻 1 号 p. 60-63
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    ステロイドの重度副作用の一つである精神症状、いわゆるステロイド精神病は、よく知られているが、耳鼻咽喉科領域での報告は少ない。今回、突発性難聴の治療直後に発症したステロイド精神病の症例を経験した。ステロイド精神病は、ステロイド治療患者の約5%に発症すると言われている。1日のプレドニゾロン投与量が40mgを超えると、発症率が高まるが、投与量や投与期間は、その重症度とは関係しない。また、ほとんどの場合、過去に精神疾患の既往歴はないので、事前に発症を予測することは困難である。したがって、軽微な徴候を早期に発見し、対応することが重要である。
パネルディスカッション2
  • 北原 糺
    2011 年 21 巻 1 号 p. 65-69
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    鼓膜正常の伝音難聴の確定診断には、ときとして苦慮する場合がある。1997年から2010年までに鼓膜正常の伝音難聴に鼓室試験開放を行った自験例の疾患内訳は、耳小骨奇形、耳硬化症、先天性真珠腫、外傷、鼓室内腫瘍、その他であった。術前検査によりいくつかの疾患の可能性に絞るが、最終的には鼓室試験開放により鼓室を確認した上で確定診断し、伝音再建等の治療を行うことになる。
    今回我々は、両耳の伝音難聴が徐々に進行した鼓膜正常例を経験し、両耳を2回に分けて局所麻酔下に鼓室試験開放を行った。両耳ともキヌタ-アブミ関節の連鎖が緩く、アブミ骨の可動性はまずまずであったため、皮質骨小片および耳前部結合組織をキヌタ骨とアブミ骨の間隙に挿入するIII型インターポジションとし、術後良好な聴力改善を得た。本症例の術前診断上、手術手順上の問題点に関して、若干の文献的考察を加えて報告する。
  • 小島 博己
    2011 年 21 巻 1 号 p. 70-76
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    真珠腫手術の際に、硬膜やS状静脈洞に癒着がある症例に対してどのような術式を選択するかは難しい。症例は16歳女性で、真珠腫上皮が後頭蓋窩硬膜およびS状静脈洞と広範囲に癒着し、摘出が困難と予測された症例である。
    症例が若年者であること、乳突腔が広いことなどから、まずは外耳道後壁を保存して真珠腫の全摘出を試みたところ、真珠腫の残存なく摘出できた。しかし、危険部位での真珠腫残存の可能性と若年者であることを考慮して段階的手術とした。段階的手術二回目の手術所見では真珠腫の遺残は認められなかったが、乳突腔内は肉芽組織で充満し、再形成性真珠腫が認められたため、乳突腔の含気化は期待できないと考え、乳突腔充填を行った。
    この症例に対する設問の聴衆からの回答結果と、実際に施行した手術法とを比較検討した。
  • 小川 洋
    2011 年 21 巻 1 号 p. 77-80
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    学校健診で発見された聴力低下の自覚のない、高度の耳小骨破壊を伴う7歳女児の先天性中耳真珠腫症例を提示した。本症例における治療経過を報告し、治療方針について聴衆参加型のパネルディスカッションを行った。治療にあたって、術者が判断に迷った項目を三項目提示し、聴衆の反応結果および術者が選択した判断について報告した。
  • 羽藤 直人
    2011 年 21 巻 1 号 p. 81-84
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    鼓室硬化症は耳小骨周囲の硬化病変により難聴を生じるが、鼓室形成術後の聴力成績は一般に不良である。また、鼓室硬化症の術式は選択肢が多く、術者によって異なる。本稿では鼓室形成術に関するパネルディスカッション、「その時、あなたはどうする?」で紹介した、聴力改善を希望する耳漏を伴う鼓室硬化症例を呈示し、聴衆へのアンケート結果を交えて、手術所見と術式選択の意図を示した。本症例はcanal wall up methodでposterior tympanotomyを行い、キヌタ・アブミ骨関節を外した後、耳小骨連鎖をIIIrで再建した。鼓膜形成に薄切軟骨を用いるなど、レスポンスアナライザーの結果からは非主流の術式選択であったが、患者の状態と要望に応じた適切な術式であったと考える。本稿を鼓室硬化症に対する今後の診療に役立てていただければ幸いである。
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