Otology Japan
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21 巻 , 2 号
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原著論文
  • ─日本耳科学会案と米国耳鼻咽喉科頭頸部外科学会案との比較─
    小島 博己, 山本 和央, 濱 孝憲, 谷口 雄一郎, 小森 学, 田中 康広, 森山 寛
    2011 年 21 巻 2 号 p. 111-119
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    アブミ骨手術の術後聴力成績は日本耳科学会の聴力改善の成績判定(2000年案)を用いている施設が多い。しかし成功率が高くなりすぎること、高音域の聴力が考慮されていないこと、術後気骨導差の算定方法、海外の判定基準との相違など問題がある。
    今回術後成績を2000年案と米国耳鼻咽喉科頭頸部外科学会(AAO-HNS)のガイドラインとで比較し、採用周波数や平均聴力の算出法、術前・術後骨導閾値の採用などパラメーターを変えて検討を行った。結果、2000年案での成功率はAAO-HNSガイドラインよりも有意に高かった。平均聴力レベルの採用周波数は0.5、1、2kHzの3分法平均と3kHzおよび4kHzを加味した4分法ともに術後成績に影響を及ぼさなかった。また術後気骨導差の算出において術前、術後どちらの骨導聴力を用いても成績に差はなかった。
    さらにAmsterdam hearing evaluation plotによる聴力成績の表示を試み、個々の症例の結果を視覚的に知ることができ有用であった
  • 堀 真也, 高木 明, 梅田 裕生, 暁 久美子
    2011 年 21 巻 2 号 p. 120-125
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    前庭窓欠損は稀な中耳奇形で、顔面神経走行異常を伴うことが多く手術にはリスクを伴う。最近当科で聴力改善手術を行った2症例(3耳)を報告する。
    1例目は38歳女性。耳小骨奇形の診断で右アブミ骨手術を行った。アブミ骨脚および前庭窓は欠損しており、顔面神経水平部は本来の前庭窓より低位を走行していた。前庭窓に相当する部位を開窓し、テフロンワイヤーピストンを用いて伝音再建を行った。4か月後に患者本人の希望により左アブミ骨手術を行った。前庭窓は欠損し、顔面神経水平部は2本に分岐していた。右耳と同様の方法で伝音再建を行った。
    2例目は4歳男児。左耳小骨奇形の診断で左アブミ骨手術を行った。アブミ骨脚および前庭窓は欠損していたが、顔面神経水平部の走行は正常であった。前庭窓に相当する部位を開窓し、テフロンワイヤーピストンを用いて伝音再建を行った。
    今回の2例3耳はいずれも良好な聴力改善が得られた。前庭窓欠損は、合併する顔面神経走行異常や開窓部の骨の厚さのため手術に困難を伴い伝音再建が躊躇されることも多いが、今回の症例のように大幅な聴力改善を得ることができる疾患でもある。
  • ─当科手術症例7耳との比較検討─
    森田 由香, 山本 裕, 大島 伸介, 高橋 邦行, 根本 美歌, 桑原 優子, 高橋 姿
    2011 年 21 巻 2 号 p. 126-131
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    進行性高度内耳障害とCTで蝸牛周囲の高度脱灰像を呈したvan der Hoeve症候群の1例を経験したので報告する。症例は64歳の男性。両側難聴、回転性めまいがあり、近医でメニエール病の診断をうけ加療されていた。補聴器装用下でも会話が不可能となり、前医で人工内耳を提案され、当科を紹介初診した。聴力は右95dB(気骨導差30~50dB)、左は聾であった。当科受診時に青色強膜と多数の骨折歴が確認され、van der Hoeve症候群と診断した。本症例に対し、右アブミ骨手術を施行、術中所見でも内耳骨包の著明な脱灰像が確認された。術後合併症はなく、補聴器装用下での会話が可能となった。
    当科で手術を施行した同症候群7耳でいずれも聴力改善が得られ、本疾患に対するアブミ骨手術は積極的に施行すべきと考えられた。また本症例のように高度内耳障害を呈していても、人工内耳手術の前にアブミ骨手術を検討するべきと思われた。
  • 福嶋 宗久, 北原 糺, 宮部 淳二, 梶川 泰
    2011 年 21 巻 2 号 p. 132-135
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    症 例)69才男性。
    現病歴)頭痛を主訴に昨年8月に当院脳外科を受診し脳MRIで右横静脈洞から乳突洞内に発育するepidermoidが疑われる腫瘍を指摘された。乳突洞炎の所見もあるため当科紹介となった。
    既往歴)高血圧、慢性心不全。頭部外傷歴はなし。
    所 見)受診時右外耳孔にわずかに陥凹があったが鼓膜までの所見は正常であった。鼓膜からは鼓室内に浸出液が貯留しているのが透見され右混合難聴62.5dBを認めた。
    経 過)外耳孔の陥凹部から乳突洞内と交通する小孔が徐々に生じ耳漏を伴うようになってきた。同年12月経乳突洞的に真珠腫摘出。乳突洞の骨欠損部と外耳道側の小孔を骨片で再建し終了。病理診断は真珠腫であった。術後頭痛は消失。右聴力は気骨導差が消失し36.3dBとなった。
    まとめ)頭痛を主訴として偶然発見された先天性中耳真珠腫乳突部型と考えられる症例を経験した。高齢者の鼓膜所見が正常であってもまれに真珠腫が生じている場合があることに留意する必要がある。
  • 中西 啓, 水田 邦博, 大和谷 崇, 峯田 周幸
    2011 年 21 巻 2 号 p. 136-142
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    2004年4月から2010年3月までに浜松医科大学耳鼻咽喉科を受診し、耳管開放症と診断した41人を対象として、初診時の年齢および性別、自覚症状、耳管開放症の原因、聴力像、治療法について検討した。初診時の年齢は、16~83歳と広範囲に分布し、平均年齢は49.0歳であった。自覚症状では、耳閉感や自声強聴を示すものはそれぞれ76%、73%と多く、自己呼吸音聴取を示すものは51%であった。耳管開放症の原因では、体重減少によるものが14人と最も多く、次いで妊娠、混合性結合組織病によるものがそれぞれ2人であった。41人中16人は難聴を示しており、6人は標準純音聴力検査で低音部の閾値上昇を認めた。保存的治療の中では、内服薬の投与、生理食塩水の点鼻は比較的有効率の低い治療であった。ルゴール液の耳管咽頭口への塗布やスポンゼルの耳管咽頭口への挿入は有効率が比較的高いものの持続期間が短いという欠点があった。保存的治療にて改善が認められなかった4人に対して、耳管ピン挿入術を施行し、3人は術後に症状が改善した。耳管ピン挿入術は、保存的治療にて改善しない難治例には有効な治療であると思われた。
  • 山本 容子, 木村 百合香, 加藤 智史, 杉浦 むつみ, 喜多村 健
    2011 年 21 巻 2 号 p. 143-148
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    突発性難聴とは、音響外傷や明らかな感染など原因が特定できない突然に生じた一側性感音難聴であるが、高齢者を対象とした検討は未だ少ない。今回我々は過去10年間に当院で入院加療した65歳以上の突発性難聴症例61例(61耳)について検討を行った。対象の平均年齢は74.6歳、初診時聴力の平均値は患側75.3dB、健側 33.2dBであり、固定時聴力の平均は56.2dBだった。患者全体の予後は治癒18.0%、著明回復24.6%、回復 23.0%、不変34.4%と今までの報告に比較し不良な結果となった。また、めまい、高血圧、糖尿病、高脂血症の合併と予後について検討を行った。めまいと聴力予後に関連性が認められたが、微小循環障害を来す疾患(高血圧、糖尿病、高脂血症)と聴力予後との関連は認められなかった。微小循環障害と突発性難聴の予後との関連は認められず、微小血流障害の突発性難聴への関与には今後さらなる検討が必要であると考えた。
  • 矢間 敬章, 長谷川 賢作, 國本 泰臣, 田口 大蔵, 畠 史子, 北野 博也
    2011 年 21 巻 2 号 p. 149-155
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1997年4月から2007年5月までの10年間に、耳症状を訴えて当科を初診したANCA関連血管炎症候群症例は5例であった。ANCA関連血管炎症候群の典型例は別として、限局型ANCA関連血管炎症候群は特徴的な症状に乏しいことがあり、病理検査で必ずしも特徴的な肉芽腫所見や血管炎所見を認めないことから確定診断は容易でない。限局型の症状で発症した場合、確定診断の困難さゆえ治療開始時期が遅れ聴力損失が増大することがある。難治性中耳炎の鑑別としてANCA関連血管炎症候群を念頭に置き、採血検査ではPR3-ANCAとMPO-ANCAを検査すること、またANCA陽性例では早期に全身スクリーニングを行うこと、肉芽腫病変が見つかれば、十分に組織が採取できる部位を選ぶことが重要である。また臨床症状によっては、他科との連携を密にして治療開始時期を逸しないよう留意する必要がある。
パネルディスカッション1
  • 佐藤 宏昭
    2011 年 21 巻 2 号 p. 157-160
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    鼓室内に注入された薬物や物質が内耳に移行することは古くから知られており、鼓室内に注入されたステロイドの内耳移行に関する基礎実験も多くの報告がなされている。これまでの緒家の報告をまとめると、1)ステロイドの鼓室内注入による内耳への移行濃度は静注に比べ、24.7倍~189.6倍と高い、2)免疫染色でステロイドは蝸牛の全回転のラセン靭帯、コルチ器、ラセン神経節に拡散、分布する、3)内耳の移行濃度は1~3時間後にピークに達し、24時間後にはほぼ検出されなくなる、などが明らかとなっている。これらの基礎研究からステロイドの鼓室内注入療法は少量の投与で高濃度の内耳移行が得られる利点が確認され、近年突発性難聴をはじめとする急性感音難聴の治療として注目されるようになった。
  • 中島 務, 曾根 三千彦, 寺西 正明, 加藤 健, 大竹 宏直, 吉田 忠雄, 鈴木 宏和
    2011 年 21 巻 2 号 p. 161-167
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    突発性難聴における鼓室内ステロイド注入療法やメニエール病におけるゲンタマイシン鼓室内注入療法が国内、国外で行われている。我々は、鼓室内に投与した薬剤がどのように内耳に分布するか、鼓室内にガドリニウム造影剤を投与してMRIを撮った。その結果、内耳への薬剤移行には極めて個人差が大きいことがわかった。ほとんど内耳に薬剤が移行しない1割程度の症例では、正円窓の透過性が極めて悪いと思われた。正円窓の透過性が悪かった2症例に鼓室開放術を施行し、正円窓を直接観察してガドリニウム造影剤を投与したが1例では内耳への移行を達成できなかった。ガドリニウム造影剤は外リンパに入り内リンパには移行しにくいので内リンパ水腫の程度も判断できる。このように鼓室内ガドリニウム造影剤投与後のMRIから、鼓室内薬剤投与療法に有用な情報が得られる。
  • ─潜在的正円窓膜閉塞例の発見について─
    神崎 晶
    2011 年 21 巻 2 号 p. 168-171
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    鼓室内投与法において効果のえられない症例のうち、正円窓膜上閉塞例が10~20%潜在していることが諸家の報告からわかっている。このため内視鏡を用いて正円窓を明視下に観察しながら投与を行うことが重要である。ただし内視鏡を用いる欠点として鼓膜穿孔などのリスクが存在するため、極細内視鏡を開発し観察するという方法、内視鏡に装備されたカテーテルチャネルを用いて薬液を投与するという方法を考案した。1回効果が得られなかった例では、内視鏡を用いた鼓室内投与の施行を検討し、正円窓膜閉塞を除去した上で治療のタイミングを逸することなく発症早期に鼓室内投与を施行すべきである。
  • 中川 隆之
    2011 年 21 巻 2 号 p. 172-178
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    中耳正円窓膜を介した内耳への薬物局所投与においては、薬物の適正な効果発現には、薬物の徐放が必要であることが示唆されており、必要な量の薬物を必要な時間供給するドラッグデリバリーシステム(DDS)の応用が、治療効果に大きく貢献すると考えられている。DDSには、いくつかの種類が開発されているが、細胞増殖因子などのポリペプチドでは、ゼラチンハイドロゲルが優れた徐放能力を示す。われわれは、インスリン様細胞増殖因子1(IGF1)をゼラチンハイドロゲルを用いて、内耳局所投与する方法の急性高度難聴に対する有効性を検証するためのトランスレーショナル研究を行い、最近臨床試験を行った。本治療法は、ステロイド全身投与無効の急性高度難聴例の聴力改善に有効であることが示唆され、重篤な有害事象が認められなかったことから、安全性も高いことが示唆された。今後、ランダム化対照試験を行い、さらに有効性を検証する。
  • 武市 紀人, 小原 修幸, 藤原 圭志, 津布久 崇, 福田 諭
    2011 年 21 巻 2 号 p. 179-182
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    突発性難聴において全身ステロイド投与無効例、投与困難例に対して有効な治療法はないのが現状である。当科では上記のような症例に対し鼓室内ステロイド注入療法を用いている。その有効性について検討を行った。対象は全83例、救済治療例が71例、初期治療例が12例であった。治療開始後6ヶ月の段階で全83例のうち治癒は26例(31.3%)、著明回復が5例(6.0%)、回復が21例(21.5%)、不変が31例(37.3%)であった。治癒、著明回復となった症例は全て初診時平均聴力が60dB以内。また、治癒、著明回復に至った31例中27例の治療開始時期が発症より8週以内であった。全症例において治療後重篤な副作用・合併症は認められなかった。すでに全身ステロイド投与が行われ無効である、あるいは投与が困難である症例であることを考慮した場合、鼓室内ステロイド注入療法は有用な治療法の一つとして考慮するべきものと考える。
ランチョンセミナー5
  • Julie Kosaner
    2011 年 21 巻 2 号 p. 183-187
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    音楽を用いたリハビリテーションは、様々な側面から子どもの発達を促す。特に、人工内耳装用児が聞くことに関わる機会となる。人工内耳を通した音楽のピッチの伝達が不十分であることは、連続的且つ論理的な手法で音楽が提示される必要性を示唆している。
    音楽を用いたトレーニングプログラムがトルコのリハビリテーションセンターで実施され、25人の人工内耳装用児の成績に向上が見られた。成績は訓練を重ねるにつれて向上した。MusicalEars®の出版に先立ち、プログラムには状況に即した改良が加えられた。MusicalEars®では、音楽を専門としない教員が容易に実施できる音楽アクティビティーをハビリテーションプログラムに取り入れている。
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