緊張部型真珠腫は鼓膜後上象限の陥凹や癒着から始まるものや、癒着性中耳炎から移行するものがある。我々の施設では、真珠腫性中耳炎に対して2つの基本的な考えに基づいて手術を行っている。一つは、可能な限り外耳道後壁保存と中耳粘膜の保存に努めることである。もう一つは、真珠腫母膜の連続性を保ち除去することである。
緊張部型真珠腫進展度分類2010改訂案
1)に基づき進展度分類を行い、手術成績等について検討を行った。
対象は、2006年1月~2008年12月までの3年間に鼓室形成術を施行した緊張部型真珠腫新鮮例で術後1年以上経過観察できた102耳である。年齢は6歳から78歳 (平均49.3歳)、男性56耳、女性46耳であった。
Stageごとの内訳は、stage Iが37耳 (36.3%)、stage IIが15耳 (14.7%)、stage IIIが50耳 (49.0%) であった。
進展度別の術後聴力成績は、stage Iが86.5% (37耳中32耳)、stage IIが46.7% (15耳中7耳)、stage IIIが68.0% (50耳中34耳) であり、進展度と術後聴力成績とに相関性は認めなかった。
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