Otology Japan
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24 巻 , 1 号
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原著論文
  • 加藤 俊徳
    2014 年 24 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/07/01
    ジャーナル フリー
    目的: 小児中耳炎の実態を明らかにすること。ガイドラインや中耳炎に関する諸問題を検討すること。
    対象: 2005年9月から2010年5月までの当院中耳炎児3500例と、2012年と2013年の小学1年生1624人。
    方法: 当院中耳炎児3500例の臨床経過を検討した。小学1年生は保護者からアンケート調査を行った。
    結果: 20人の子どものうち10人は小学1年生までに1度は中耳炎に罹患する。中耳炎に罹患した10人のうち、3人は一度きりで繰り返さない。中耳炎に罹患した10人のうち3人は難治になる。小学1年生までに95%は治癒する。
    結論: 本報告で得られた臨床経過は、1970年代以後に報告された臨床経過と大きな差はない。中耳炎と中耳炎ガイドラインに関するいくつかの問題点を指摘した。
  • 小森 正博, 小林 泰輔, 松本 宗一, 兵頭 政光
    2014 年 24 巻 1 号 p. 10-14
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/07/01
    ジャーナル フリー
    黄色ブドウ球菌の慢性中耳炎分離株と健常者の鼻腔内分離株について、Multi-locus sequence typing (MLST) 法による遺伝子解析 (ゲノムタイピング) を行い、黄色ブドウ球菌の系統解析を行った。7つのハウスキーピング遺伝子のうち5つ以上を共有する系統を同じ遺伝子群; Clonal Complex (CC) とすると、本症では、鼻腔内と比較してCC5が23%と最も多く、有意差を認めた (P<0.001)。次いで、CC8が17%となった。そして、鼻腔内には稀なCC59、CC75、CC121を認めた。本症由来の黄色ブドウ球菌の集団構成は健常者のそれと明らかに異なり、すでに報告されているアトピー性皮膚炎や伝染性膿痂疹のものとも異なっていた。本症から分離された菌株の病原性について今後の検討が必要と思われた。
  • 福田 宏治, 大塚 尚志, 桑島 秀, 中里 龍彦, 佐藤 宏昭
    2014 年 24 巻 1 号 p. 15-21
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/07/01
    ジャーナル フリー
    近年、真珠腫性中耳炎の術前診断としてMRI拡散強調画像 (DWI) が、有用との報告が増えつつある。今回我々は、DWIの有用性を評価する目的で2011年3月から2012年9月まで真珠腫性中耳炎を疑い術前にMRI、CTを施行した63例を対象とし、感度、特異度、陽性的中率、陰性的中率について検討した。63例の内訳は男性34例、女性29例で、初回手術例が39例、術後例が24例であった。全症例の感度は95.3%、特異度は75%、陽性的中率は89.1%、陰性的中率は88.2%であった。初回手術例の感度は93.9%、特異度は50%、陽性的中率は91.1%、陰性的中率は60%で、耳術後例の感度は100%、特異度は85.7%、陽性的中率は83.3%、陰性的中率100%であった。DWIの真珠腫診断における正診率は高く、特に骨形態の変化した真珠腫術後耳における再発、遺残のものの経過観察に有無を評価するのに有用と考えられた。
  • 中村 友香, 矢部 多加夫, 松浦 省己, 井上 雄太, 岡田 和也, 河野 久雄
    2014 年 24 巻 1 号 p. 22-27
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/07/01
    ジャーナル フリー
    急性中耳炎に伴う両側混合難聴の2症例を報告した。症例1は37歳男性。2011年3月に感冒症状、両耳閉感が出現し、急性中耳炎と診断した。右耳65.0dB、左耳52.5dBの混合難聴を認めた。鼓膜切開排膿、抗菌薬およびステロイドの点滴静注にて右耳28.8dB、左耳30.0dBへと改善した。症例2は48歳女性。2011年9月に発熱、両耳閉感が出現し、右耳70.0dB、左耳55.0dBの混合難聴を認めた。両側鼓膜切開後、抗菌薬およびステロイドを投与し、右耳21.3dB、左耳15.0dBに改善した。
    急性中耳炎による内耳障害の発症率は1.5~1.6%で、そのうち両側性は9.6%とされている。本邦では17例の報告があり、30~50代の成人に多い。内耳への炎症波及経路として、正円窓・卵円窓、内耳窓周辺のmicrofissure経由が考えられている。感音難聴反復症例の報告はなく、中耳炎の反復、慢性化に伴う正円窓膜の肥厚などの要因が推測された。
  • 山本 季来, 金丸 眞一, 辻 拓也, 窪島 史子, 金井 理絵, 西田 明子
    2014 年 24 巻 1 号 p. 28-33
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/07/01
    ジャーナル フリー
    一般的に髄液耳漏は頭部外傷・腫瘍性疾患・炎症性疾患・手術後の合併症などが主な原因と考えられているが、これらの既往がなく、内耳正常の成人型特発性髄液耳漏は極めて稀である。今回我々は難聴・頭痛・めまい・鼻漏を主訴に当科を受診した特発性髄液耳漏に対して乳突開放術を行い、確定診断かつ治癒に至った症例を経験した。術前のCT、3D-CT、造影MRI、脳槽シンチグラフィーなどの複数の検査結果に基づく疾患部位の予測が、術前診断かつ治療方針決定に非常に有用であった。また本症例は術中診断で脳ヘルニアの状態にあったが、経乳突法のみで頭蓋底再建が可能であった。
    術後は聴力・頭痛・めまいの改善を認め、約1年4カ月経過したが明らかな再発を認めていない。
  • 後藤 隆史, 東野 哲也, 松田 圭二
    2014 年 24 巻 1 号 p. 34-38
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/07/01
    ジャーナル フリー
    就学時健康診断で見付かった伝音難聴を契機に発見された乳突洞限局性の先天性真珠腫症例を経験したので報告する。症例は8歳男児で、就学時健康診断で初めて右難聴を指摘された。側頭骨CTで右上鼓室から乳突洞にかけて軟部組織陰影を認めたため当科紹介となった。伝音難聴の原因としてキヌタ骨全欠損、アブミ骨前脚欠損、アブミ骨後脚変位の耳小骨の複合奇形が考えられ、鼓室形成術IVi型を行った。大部分の先天性真珠腫においては耳小骨欠損部にも真珠腫が存在しているため奇形と確定出来る例は少ないとされているが、本症例の真珠腫存在部位と耳小骨病変は解剖学的に解離しており、耳小骨奇形例である可能性が高いと考えられた。
  • 小林 有美子, 村井 盛子, 佐藤 宏昭, 吉村 豪兼, 宇佐美 真一, 岩崎 聡
    2014 年 24 巻 1 号 p. 39-43
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/07/01
    ジャーナル フリー
    アッシャー症候群は感音難聴と網膜色素変性症 (以下RP) を伴う遺伝性疾患である。原因不明両側感音難聴にRPを合併する本疾患5症例に対し、聴覚及び平衡機能検査、遺伝子検査を施行した。臨床症状からタイプ分類すると、重度難聴を呈し平衡機能検査で両側前庭機能低下を示した2症例はタイプ1、また先天性中等度難聴を呈する2症例はタイプ2と考えられた。中年以降に聴力の進行を認めた症例はタイプ3と考えられた。遺伝子検査ではタイプ1の2症例にMYO7A 変異を同定し、臨床症状と矛盾しない結果が得られた。同変異の1症例は人工内耳埋め込み術後例で、後日RPが判明した。このようにアッシャー症候群では聴覚障害が先行し、遅れてRP症状が出現するため、先天性難聴例においては、夜盲などのRP初期症状の有無について留意する必要がある。本疾患の確定診断には遺伝子検査が有用と考えられた。
第22回日本耳科学会総会 公募パネルディスカッション3
  • ―モデル動物による組織学的検討―
    松原 篤, 西澤 尚徳
    2014 年 24 巻 1 号 p. 45-48
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/07/01
    ジャーナル フリー
    好酸球性中耳炎は、好酸球が豊富な中耳貯留液を伴い、感音難聴を高率に引き起こす難治性中耳炎として知られている。今回の検討では、我々が最近になり新たに作成した好酸球性中耳炎のモデル動物を用いて、内耳障害を明らかにするために組織学的な検討を行った。モルモットを対象として、卵白アルブミンの腹腔内投与による感作と、経鼓膜的な中耳腔内注射により中耳粘膜への刺激が行われた。
    蝸牛の外リンパに浸潤する好酸球数は、卵白アルブミンの経鼓膜的注射の期間が長くなるほど増加していた。さらに、28日間の中耳OVA刺激により、コルチ器、基底板、血管条の著明な形態学的障害が観察された。これらの結果により、内耳の好酸球性炎症が高度難聴の原因となることが示唆された。
第23回日本耳科学会総会 公募インストラクションコース5
  • 北原 糺
    2014 年 24 巻 1 号 p. 49-52
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/07/01
    ジャーナル フリー
    当施設では、難治性メニエール病と診断された症例に対して、内リンパ嚢への高濃度ステロイド局所投与を行っている。本論文では、その手術手順と、適切に完遂するためのポイントを述べたい。
    従来の内リンパ嚢開放術に準じて耳後切開後、キヌタ骨窩、外側半規管隆起を目標に乳突削開を進める。後半規管の後下方の骨削開により、後頭蓋窩硬膜を広範囲に露出する。内リンパ嚢を同定し、外壁に切開を加え翻転する。嚢内腔にゼラチン・フィルム束5枚重ねを挿入し、一端を外耳道後壁に接着させることで嚢を大きく開放する。嚢内腔にプレドニゾロン塊を挿入溶解させ、ゼラチン・フィルム束の挿入後にデキサメタゾン添加のゼラチン・スポンジを嚢内外に留置する。
    難治性メニエール病に対する内リンパ嚢手術は、多くの場合側頭骨の含気が非常に良く、術中オリエンテーションの判断を誤ると即、内耳や顔面神経を傷付けることになる。したがって、側頭骨内の構造物の何を目標に手術を進めていくかを、日頃から意識して手術に臨む必要がある。
    内リンパ嚢手術は、機能温存術であるがゆえに弱点は症状再発である。数年経って再発するような症例には、内リンパ嚢開放術の再手術が有効とされる。本論文にしたがって確認した初回手術時の所見は有用であり、再手術時の副損傷リスクを回避し、手術時間の短縮にもつながり、場合によっては局所麻酔下に施行も可能と考える。
報告
  • ―ANCA関連血管炎性中耳炎全国調査ワーキンググループ中間報告―
    吉田 尚弘, 岸部 幹, 立山 香織, 岡田 昌浩, 坂口 博史, 長谷川 賢作, 松井 隆道, 森田 由香, 村上 信五, 原渕 保明, ...
    2014 年 24 巻 1 号 p. 53-61
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/07/01
    ジャーナル フリー
    難治性中耳炎の中にANCA抗体価陽性の中耳炎が存在することが多施設より報告され、第22回日本耳科学会のシンポジウム「ANCA関連難治性中耳炎―診断治療におけるピットホールとジレンマ解消」において32症例の臨床像からANCA 関連血管炎性中耳炎の疾患概念、診断基準 (案) が提案された。さらに多くの難治性中耳炎症例を加えてより妥当性の高い診断基準の提案、診療ガイドライン作成を目的として、日本耳科学会に発足した「ANCA 関連血管炎性中耳炎全国調査ワーキンググループ」に参加した10大学 (旭川医科大学、福島県立医科大学、新潟大学、自治医科大学附属さいたま医療センター、名古屋市立大学、京都府立医科大学、鳥取大学、愛媛大学、大分大学、長崎大学) のANCA 関連血管炎性中耳炎 (疑い例も含む) 90症例についてその臨床像と診断基準 (案) の妥当性、修正点について検討した。90症例の臨床像を報告し、さらに臨床像の検討からANCA関連血管炎性中耳炎診断基準 (修正案) を提案する。
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