Otology Japan
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24 巻 , 2 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
第23回総会会長後援
原著論文
  • 冨山 道夫
    2014 年 24 巻 2 号 p. 95-105
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/07/01
    ジャーナル フリー
    2011年1月~2012年12月に小児急性中耳炎診療ガイドライン2009年版で重症と判定された小児急性中耳炎症例417名を対象に、薬剤耐性菌の現況を検討した。drug resistant Streptcoccus pneumoniae(DRSP)は48%、ampicillin(ABPC)耐性Haemophilus influenzaeは77%検出された。年齢層と薬剤耐性菌の関係は、3歳未満の群は3歳以上の群と比較しDRSPが有意に高い頻度で検出されたが、ABPC耐性H. influenzaeでは差はみられなかった。集団保育と薬剤耐性菌の関係は、3歳未満の症例を対象に検討したが、集団保育有りの群は集団保育無しの群と比較し、DRSP、ABPC耐性H. influenzaeともに有意に高い頻度で検出された。3歳未満の集団保育有りの重症急性中耳炎症例では、薬剤耐性菌の感染を念頭においた抗菌薬選択と慎重な経過観察が必要と考えられた。
  • 生駒 亮, 坂根 さやか, 長岡 章平, 井畑 淳, 折舘 伸彦
    2014 年 24 巻 2 号 p. 106-112
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/07/01
    ジャーナル フリー
    滲出性中耳炎で発症したANCA陽性の難治性中耳炎の3症例を経験した。3症例とも滲出性中耳炎に対する鼓膜切開術や鼓膜チューブ留置術で奏功せず、経過中にMPO-ANCAが陽性となった。2例は原渕らによるANCA関連血管炎性中耳炎 (Otitis media with ANCA-associated vasculitis: OMAAV) の診断基準 (案)(表1)1)における確実例であった。1例は結節性多発動脈炎 (Polyarteritis nodosa: PAN) に合併したANCA陽性の中耳炎と考えられた。OMAAVの報告例は近年増加している2), 3)。本疾患の聴力予後改善には早期治療が必要であり2), 3)、また本疾患は時にくも膜下出血などの致命的な症状を引き起こすこともある1)。早期診断、早期治療が極めて大切である。
  • 和佐野 浩一郎, 川崎 泰士, 鈴木 法臣, 山本 さゆり, 小川 郁
    2014 年 24 巻 2 号 p. 113-117
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/07/01
    ジャーナル フリー
    症例は16歳男性、内服薬で改善しない頭痛を主訴に紹介受診。CTおよびMRIの所見より右錐体尖に発生したコレステリン肉芽腫と診断した。頭痛以外に難聴、めまい、顔面神経麻痺などの症状は認めなかった。
    手術は迷路下法で施行、ドレナージルートを作成し乳突蜂巣から錐体尖までチューブを挿入した。術後髄液漏や顔面神経麻痺などの合併症は認めなかった。
    唯一の症状であった頭痛は手術により著明な改善を認めたが、3ヶ月後に軽度の頭痛が再発しCTで乳突蜂巣内に軟部陰影の増生と錐体尖陰影の再発を認めたため、局所麻酔下に乳突蜂巣の清掃を行い症状の改善を認めた。
    今回術式として選択した迷路下法は慎重に施行することにより周囲の重要器官にダメージを与えることなく錐体尖へ至ることのできる優れた術式であるが、ドレナージルートの継続的な確保が課題となると思われた。
  • 渡邊 晶, 木村 百合香, 加藤 智史, 喜多村 健
    2014 年 24 巻 2 号 p. 118-122
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/07/01
    ジャーナル フリー
    幼少期に中耳炎手術歴を有し、耳内に高度な炎症性病変を呈する症例を経験した。症例は2型糖尿病を合併する86歳男性で、左耳痛を主訴に当院を紹介受診した。局所所見と画像所見上、外耳道から鼓室内に連続する非腫瘍性の肉芽組織と、側頭下窩に至り膿瘍を伴う炎症所見と硬膜肥厚所見が確認された。細菌培養検査では一般細菌・抗酸菌とも原因菌は検出されず、血液生化学検査上も肉芽腫性多発血管炎などの全身性炎症性疾患は否定的で、病理組織学的にも非特異的炎症性肉芽との診断であった。本症例は術後耳において耳鼻科通院が長期間途絶した結果の炎症性疾患と考えられ、抗菌薬には反応不良であったが、ステロイド全身投与にて改善を得ることができた。耳内所見は改善を得ていたが、感染性腸炎の発症により死亡した。
  • 丸山 絢子, 野口 佳裕, 池園 哲郎, 西尾 綾子, 本田 圭司, 高橋 正時, 鈴木 康弘, 喜多村 健
    2014 年 24 巻 2 号 p. 123-128
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/07/01
    ジャーナル フリー
    2012年に改訂された外リンパ瘻 (PLF) 診断基準では、確実例の診断にcochlin-tomoprotein (CTP) の検出が含まれるようになった。今回、2011年12月~2013年1月にPLFを疑われ、ELISA法によるCTP検査を行った6例を検討した。主訴はめまい2例、難聴4例であり、難聴を主訴とした3例に耳鳴を随伴した。CTP検査時期は発症後11日~1年であり、めまい1例、難聴3例の計4例が陽性であった。めまい例は強い鼻かみの癖を認めたが、誘因であったかは不明であり、特発性の可能性も考えられた。難聴3例には内因性、外因性の誘因、外傷を認めた。陽性例は全て手術が施行されていたが、明らかな瘻孔を確認できたのは1例のみであった。診断と治療に難渋しためまい単独例において、CTP検査によるPLFの確定診断は極めて有用であった。今後はCTP検査により、PLFにおける疾患概念の確立が期待される。
  • 小泉 弘樹, 竹内 頌子, 橋田 光一, 大淵 豊明, 永谷 群司, 寳地 信介, 若杉 哲郎, 鈴木 秀明
    2014 年 24 巻 2 号 p. 129-135
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/07/01
    ジャーナル フリー
    機能性難聴はしばしば感音難聴と誤診され、ステロイド投与等の不要な治療が施されることも少なくない。今回我々は機能性難聴の臨床像について検討した。
    対象は機能性難聴143例(男性33例、女性110例、4~80歳 (平均17.6歳)) で、受診の契機、一側性/両側性、聴力レベル、オージオグラム型、他覚的聴力検査の種類、心因性要素、難聴の自覚について検討した。
    女性が3/4を、両側性が7割を占めており、心因性要素 (+) 群では有意に難聴の自覚が多かった (P=0.013)。年齢は自覚 (+) 群が有意に高かった (P<0.001)。両側性は自覚 (-) 群に有意に多く (P<0.001)、また自覚 (+) 群には90dB以上の高度難聴を示すものが多かった (P=0.046)。さらに成人群では、難聴の自覚、90dB以上の高度難聴、聾型が有意に多かった (P<0.001、P=0.004、P=0.024)。
    以上より、我々の施設の検討では、機能性難聴の臨床像には心因性の有無よりも難聴の自覚の有無や年齢が影響を与えるものと考えられた。
耳科学会教育コース3
  • 伊藤 吏, 渡辺 知緒, 欠畑 誠治
    2014 年 24 巻 2 号 p. 137-143
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/07/01
    ジャーナル フリー
    手術用顕微鏡は、複雑な構造を呈する中耳腔を立体的に捉えられることから、耳科手術に必要不可欠な機器として定着している。一方、広角な視野を持つ内視鏡は顕微鏡の死角を確認するための補助的な役割として用いられてきた。しかしながら近年では高精細度 (high definition: HD) の3CCDカメラが開発され、繊細でコントラストの高い画像が得られるようになり、ほとんど全ての行程を内視鏡で行う経外耳道的内視鏡下耳科手術 (Transcanal Endoscopic Ear Surgery: TEES) が開発され、真珠腫の手術に応用されている。TEESでは広角な視野により鼓室全体を一視野で観察することができる。さらには内視鏡を接近することで、顕微鏡では死角となりやすい鼓室洞に代表される後鼓室や、鼓室峡部も直視下に拡大して観察することができる。内視鏡を用いて様々な角度から鼓室を観察することで、顕微鏡では確認できなかった構造を拡大して観察できるようになったため、顕微鏡による手術解剖とは異なる、内視鏡下中耳解剖 (Endoscopic Middle Anatomy) を十分に理解し、その上でTEESを行うことで、死角の少ない、安全・確実な手術治療が可能になる。
耳科学会教育コース5
  • 奥野 妙子
    2014 年 24 巻 2 号 p. 145-148
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/07/01
    ジャーナル フリー
    外耳道後壁削除・乳突開放型鼓室形成術の長所は再発が少ない事である。逆に短所は創傷治癒に時間がかかることと、ケアが必要なことである。
    手術手技のポイントは、入り口が広く、奥がすべて見渡せるような形態に作ることにある。中がすり鉢 (半球型のボール状) のような形で、すり鉢の底に伝音機構を収めた小さな中鼓室があるイメージとなる。
    そのためには外耳道前下壁~下壁を大きく削り、鼓膜輪がすぐ見えるようにする。外耳道後壁下部を顔面神経の高さまで落とし、mastoid tip cellとの段差を少なくするなどの配慮が必要となる。外耳道前壁も張り出しが強い場合は削る。
    広い外耳道入口部を作るために外耳道形成も必要である。
公募インストラクションコース9
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