Otology Japan
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24 巻 , 3 号
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原著論文
  • 奥田 匠, 長井 慎成, 中西 悠, 松田 圭二, 東野 哲也
    2014 年 24 巻 3 号 p. 175-180
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/07/25
    ジャーナル フリー
    外耳道真珠腫の成因は依然として不明で、適切な治療方針の指標を得るためにも、コンセンサスの得られた進展度分類の早期確立が望まれる。2005年にNaimらが病理学的所見と臨床所見に基づき新しい分類法を提唱したが、全例の生検は実際的ではないと思われ、我々は耳鏡所見ならびに側頭骨CT所見に基づき彼らの分類を改変した。2006年から2011年に当科を受診した外耳道真珠腫症例は24例で、Stage I (上皮の欠損を認めないもの) が3例、Stage II (上皮の糜爛・骨面露出を認めるもの) が8例、Stage III (骨糜爛・腐骨を認めるもの) が4例、Stage IVa (隣接構造物の破壊を伴うもの) が8例、Stage IVb (顔面神経・骨迷路・頭蓋底の破壊を伴うもの) が1例。手術を要した9例は、Stage IIの1例を除き、Stage III以上の症例であった。本分類案は、日常診療で基本となる耳鏡所見を重視する点で適用し易いと思われる。重症度も加味し、保存的治療と手術療法の境界線も適切に示された。
  • -当科における術式選択と治療成績-
    森田 由香, 山本 裕, 大島 伸介, 高橋 邦行, 根本 美歌, 桑原 優子, 高橋 姿
    2014 年 24 巻 3 号 p. 181-187
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/07/25
    ジャーナル フリー
    1999年1月から2009年12月までの11年間に当科で初回手術を施行した弛緩部型真珠腫は238耳、緊張部型真珠腫は60耳であった。
    術式選択について、弛緩部型、緊張部型ともに外耳道後壁削除型鼓室形成術・乳突腔充填術が最も多く、いずれも約70%を占めていた。またStage別では、Stage Iでは、経外耳道的上鼓室開放術や外耳道後壁保存型鼓室形成術の割合が多く、一方弛緩部型のStage IIIでは、約30%でopen法を選択していた。
    術後12か月の聴力成績は、弛緩部型が77%に対し、緊張部型は44%と著しく不良であった。聴力成績別に検討すると、弛緩部型は真珠腫の進展範囲が高度であるほど聴力成績が悪化する傾向がみられた。一方、緊張部型では、進展度に関係なく、聴力成績不良例が多く、緊張部型真珠腫の病態そのものが影響している可能性が示唆された。再発率は弛緩部型6.2%、緊張部型5.8%と良好であった。
  • 佐藤 満雄, 小林 孝光, 宮下 美恵, 齋藤 和也, 真田 寧皓, 今井 貴夫, 磯野 道夫, 土井 勝美
    2014 年 24 巻 3 号 p. 188-194
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/07/25
    ジャーナル フリー
    今回、1992年から2012年の期間に手術治療を行った錐体部真珠腫15症例を検討した (中頭蓋窩法の際は脳神経外科と共同手術を施行)。病変の進展範囲はSannaらの分類に準じて検討したところ、迷路上型が9例 (60%) と最も多く、続いて広範迷路型が多く、5例 (33%) であった。術式としては中頭蓋窩法と経乳突法のcombined approachを施行したのが11例 (73%) と大半を占め、二期的手術を施行した8例中3例に真珠腫の遺残性再発を認めたが、全体としては13例 (87%) で病変完全摘出を施行しえた。機能保存としては術前顔面神経麻痺を認めなかった全症例で機能保存ができ、術前聴力が伝音難聴または混合難聴であった8例では1例を除き、残存聴力を保存しえた。これらの結果から、症例を選んだ上でcombined approachを行うことにより、病変の完全摘出および機能保存が期待されると考える。
  • 大和谷 崇, 水田 邦博, 遠藤 志織, 峯田 周幸
    2014 年 24 巻 3 号 p. 195-199
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/07/25
    ジャーナル フリー
    今回我々は真珠腫術後に両側の髄膜瘤をきたし、術中髄液漏出の停止に難渋した一例を経験した。症例は47歳の女性で両側の中耳真珠腫で当科紹介となった。左右別々に二期的手術を計画し、一回目の手術を行った。両側とも乳突洞天蓋骨の一部欠損、硬膜露出が認められた。3年後のCTで左乳突洞天蓋に軟部陰影が認められ、再発を疑い二回目手術を行った。術中所見で天蓋の腫瘤は髄膜瘤が疑われ、摘出した。摘出後の髄液の漏出は骨パテと結合織で停止できた。右側のCTでは乳突洞内に軟部陰影が充満し、真珠腫再発の同定は困難であったため、MRIを施行したが、髄膜瘤の診断まで至らず二回目手術を行った。術中の所見では、右耳も髄膜瘤であった。髄液漏出に対して結合織、筋膜、軟骨、骨パテ板を使用したが停止しなかったため、被覆材としてポリグリコール酸シートを用いることで停止できた。術後1年が経過したが特に問題は認められていない。
  • 佐々木 亮, 欠畑 誠治, 廣瀬 由紀, 武田 育子, 松原 篤, 新川 秀一
    2014 年 24 巻 3 号 p. 200-208
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/07/25
    ジャーナル フリー
    従来の鼓膜形成術に代わり、自家組織を採取する必要のない鼓膜穿孔閉鎖術の報告が散見されるようになってきた。我々の施設では以前より鼓膜穿孔閉鎖のために自己血清点耳療法 (autologous serum eardrops therapy: ASET) を行っており、その閉鎖率および閉鎖成功の要因について検討した。
    鼓膜穿孔症例53例55耳を対象とした。治療法は、鼓膜穿孔縁を硝酸銀にて腐食させ新鮮化した後にキチン膜を鼓膜へ貼付し、自宅にて毎日患者自身が自己血清点耳液を点耳するというものである。
    ASETにより34耳61.8%で穿孔が閉鎖した。年齢、穿孔の大きさ、穿孔を生じてからASET開始までの期間、アレルギー性鼻炎合併の有無、感染の既往の有無についてそれぞれ閉鎖率を検討したが、有意なものはなかった。
    本治療法は非常に簡便な方法であり、クリニックを含む多くの施設、医師が施行可能な鼓膜穿孔閉鎖法であると考えられた。
  • 熊川 孝三, 三澤 建, 加藤 央, 武田 英彦
    2014 年 24 巻 3 号 p. 209-214
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/07/25
    ジャーナル フリー
    これまでに経験した、前医でのアブミ骨手術時にfloating footplate合併症を起こした耳硬化症4症例について、手術操作と使用機械、その対処方法、術後CTスキャンにおけるアブミ骨底板の所見、聴力の予後、めまいの有無と性状、前庭機能検査についてretrospectiveに検討した。4例はいずれも日本耳科学会による伝音再建後の術後聴力成績判定基準 (2010) で成功例に属さなかった。術後骨導聴力レベルは、落ち込んだ底板を摘出せず、筋膜で被覆し、ピストンを立てた2例が、難渋して底板を摘出した後に筋膜で被覆しピストンを立てた2例よりも悪化が少なかった。さらに後者の2例ではめまいが持続し、手術側の前庭機能の低下が認められた。前者の1症例では、6年後の再手術によって通常の小開窓アブミ骨手術遂行が可能であり、術後聴力は耳科学会基準でも成功例に属した。以上から、本合併症を起こした際には、生体膜で前庭窓を覆い、ピストンを立てる方法が推奨される。ただし、その場合にも4mm落下した症例では、骨導閾値は悪化していた。したがって、基本的には本合併症の予防を図ることが第一であり、手技の工夫についても言及した。
  • 花田 有紀子, 松代 直樹, 佐藤 崇, 木澤 薫, 上塚 学
    2014 年 24 巻 3 号 p. 215-220
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/07/25
    ジャーナル フリー
    顔面神経膝神経節に発生した海綿状血管腫の一症例を経験した。症例は36歳女性で、徐々に進行する左顔面麻痺を主訴として受診し、CT・MRI検査で顔面神経膝部に腫瘍が確認された。定期的に画像検査をしながら経過観察を行なったが麻痺が進行したため、摘出術を行なった。手術は経乳突法と中頭蓋窩法の併用で行ない、神経再建も一期的に行なった。摘出標本での病理診断は海綿状血管腫であった。麻痺スコアは腫瘍摘出後に悪化は認めず、術後1年半経過した現在、わずかに改善傾向である。海綿状血管腫が側頭骨内に発生することは稀で、画像所見が類似する神経鞘腫との鑑別が困難である。腫瘍が小さいにもかかわらず感音難聴や顔面神経麻痺の程度が強い症例では、海綿状血管腫も鑑別診断に挙げる必要がある。
  • 古川 孝俊, 渡辺 知緒, 伊藤 吏, 窪田 俊憲, 稲村 博雄, 欠畑 誠治
    2014 年 24 巻 3 号 p. 221-226
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/07/25
    ジャーナル フリー
    患者は2歳男児で、両側同時性顔面神経麻痺が改善しないため、発症36病日に当科を初診した。両側ともHB gradeVの完全麻痺を呈しており、鼓膜所見・側頭骨CTは、両側中耳炎の所見であった。麻痺の改善がみられず中耳点検目的に両乳突削開術を施行した。乳突蜂巣・鼓室の浮腫状粘膜がみられたが、腫瘍・肉芽病変を認めず、顔面神経管の菲薄化も認めなかった。術後、麻痺は改善傾向を示し、術後1カ月半で治癒と判定した。本症例では耳炎性麻痺と考えられ、乳突削開術によって顔面神経管への炎症波及を直接的に軽減できたことが術後の回復に関与したものと考えられた。
    本症例のように、小児かつ両側同時性の顔面神経麻痺の報告はほとんどなく、本症例は非常に稀な症例となった。本症例の経過を述べるとともに、小児両側同時性顔面神経麻痺例の治療方針について考察した。
指定演題 中耳真珠腫進展度分類と術式選択1
  • 吉田 忠雄, 曾根 三千彦, 加藤 健, 中島 務
    2014 年 24 巻 3 号 p. 227-232
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/07/25
    ジャーナル フリー
    2007年1月から2013年3月まで名古屋大学医学部附属病院で、初回手術を受けた120耳の真珠腫の進展度、術型、術式、聴力改善成績、再発について検討した。進展度は中耳真珠腫進展度分類2010改定案に基づいて判別した。弛緩部型真珠腫は99耳 (男: 女=65: 34、年齢7~72歳、中央値44歳) 緊張部真珠腫は21耳 (男: 女=16: 5、年齢5~59歳、中央値31歳) であった。当科では真珠腫初回手術においてCWUを基本とするが、条件によりCWDを選択する症例もある。120耳中、stage Iが11耳、stage IIが80耳、stage IIIが29耳であった。術式ではCWU法が66耳、CWD法が54耳であり、型別に見ると、弛緩部型はstage Iが6耳、stage IIが70耳、stage IIIが23耳であった。緊張部型ではstage Iが5耳、stage IIが10耳、stage IIIが6耳であった。弛緩部型、緊張部型真珠腫ともにStage IIの症例が最多であった。聴力改善にはアブミ骨の状態が関与することが示唆された。CWU法で遺残再発を多く認めたため、死角をより少なくする工夫をする必要があると思われた。
指定演題 中耳真珠腫進展度分類と術式選択2
  • 長谷川 賢作, 國本 泰臣, 矢間 敬章, 久家 純子, 北野 博也
    2014 年 24 巻 3 号 p. 233-239
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/07/25
    ジャーナル フリー
    当院で初回手術を施行した後天性中耳真珠腫63例について、進展度・アブミ骨病変・伝音再建術式・含気化および術後陥凹に関して検討した。中耳真珠腫進展度分類2010改訂案を用いて評価すると、進展度に関しては緊張部型stage IbとIIIの術後気骨導差に有意差を認めた。アブミ骨上部構造に病変があれば術後気骨導差に影響し、特にIV型再建になった症例では弛緩部・緊張部型共に有意に不良であった。
    同進展度分類を改変した独自の含気分類で、術前含気化の術後聴力への影響を検討した。術前CT画像で上鼓室の含気化が確認される弛緩部型症例では、聴力成績が良好であった。術後上鼓室側壁陥凹は10/32の弛緩部型と8/31の緊張部型で観察されたが、陥凹の有無に伴う術後聴力成績に有意差はなかった。
    中耳真珠腫進展度分類2010改訂案は、真珠腫の進展度・アブミ骨病変・伝音再建の評価に有用な分類と考えるが、今後は鼓室の含気化についても言及されることを希望する。
シンポジウム1
  • 司会のことば
    伊藤 壽一
    2014 年 24 巻 3 号 p. 241-242
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/07/25
    ジャーナル フリー
  • 喜多村 健, 岡田 隆平, 角田 篤信, 木村 百合香
    2014 年 24 巻 3 号 p. 243-248
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/07/25
    ジャーナル フリー
    Thiel法による固定法は、組織硬化が軽微で、側頭骨周囲解剖構造の術式に則したトレーニングが可能である。側頭骨の標本作製においては、セロイジン包埋とパラフィン包埋の2種の包埋法がある。セロイジン包埋は、側頭骨の全体解剖、中耳、内耳等の細胞構築の解析、解剖構造の計測ならびに細胞数の定量解析に有用である。一方、パラフィン包埋標本は、細胞機能の分子レベルでの解析あるいは免疫組織学解析の際に有用となる。米国のヒト側頭骨病理研究は、RegistryとNetworkが補完しながら機能している。Registryは、側頭骨の提供、研究の発展に関与するための事業を行い、Networkでは、ヒト側頭骨標本作製手法の改善、組織標本、研究手法の共有、新しい研究者の養成を目的している。
  • 高橋 晴雄, 森 望, 伊藤 健, 遠藤 周一郎, 小川 洋, 萩森 伸一, 山野 貴史
    2014 年 24 巻 3 号 p. 249-252
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/07/25
    ジャーナル フリー
    日本耳科学会では、国内の施設に保存されている側頭骨組織病理標本を整備してデータベースを作成し、それを学会ホームページに掲載する事業を進めることになった。これにより、会員が正常耳や特定の耳疾患の組織病理標本の所在地、数などを知ることができ、その標本を活用することにより多数例のデータが収集・分析できて、我が国の教育・臨床のレベルや耳科学研究の国際競争力の向上を図るものである。本事業の名称は、日本耳科学会側頭骨 (組織病理標本) データベース構築プロジェクトで、その事業内容は大別して以下の二つである。
    I. 側頭骨組織病理標本のデータベース構築
    II. 代表的側頭骨組織病理標本写真の掲載
    本稿では、その事業内容、側頭骨標本保有施設、データベースの項目、問題点などについて解説した。本事業による側頭骨組織病理学の普及を通じて、日本耳科学会会員の教育、研究に貢献し、我が国の耳科臨床レベル、研究の国際競争力の向上が期待できる。
  • 豊嶋(青山) 典世, 高橋 伸育, 澤口 朗
    2014 年 24 巻 3 号 p. 253-256
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/07/25
    ジャーナル フリー
    近年の画像診断や内視鏡下手術等の発達は目覚ましく、解剖学教育にも新たな潮流が求められる中、解剖学実習における側頭骨内の中耳や内耳の剖出では、耳鼻咽喉科医師による剖出指導が取り入れられている。さらに高学年のクリニカル・クラークシップ実習では、耳鼻咽喉科実習を選択した学生に側頭骨標本を削開して中耳や内耳を剖出する機会が供与されるなど、より実践的な解剖学教育が進んでいる。加えて、研究室配属実習では電子顕微鏡を用いた有毛細胞の観察が行われ、解剖学を通じて耳科領域の魅力を伝える取組みも展開されている。2010年に「臨床医学の教育研究における死体解剖のガイドライン案」が提案されたことを受け、卒後臨床医による側頭骨削開をはじめとした「献体標本による耳科手術手技研修」を実施する上では、耳科学会をはじめとする関連学会によるガイドラインの整備が望まれる。
公募インストラクションコース2
  • ~660例の経験より~
    菊地 俊晶
    2014 年 24 巻 3 号 p. 257-261
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/07/25
    ジャーナル フリー
    日本耳科学会から耳管開放症診断基準案2012が提案された。本診断基準案に従い、東北大学病院耳鼻咽喉・頭頸部外科耳管外来を耳管開放症の疑いで受診した412名660耳を検討した。診断基準案に沿った診察、鼻すすり癖の確認の重要性を述べた。治療に関しては、東北大学病院耳管外来で行ってきた生活指導を具体的に呈示し、生理的食塩水点鼻、耳管咽頭口閉塞処置、耳管ピン挿入術などを解説した。
公募インストラクションコース3
  • 水足 邦雄
    2014 年 24 巻 3 号 p. 263-270
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/07/25
    ジャーナル フリー
    ほ乳類の蝸牛有毛細胞には自発的な再生能が無いため、有毛細胞脱落による感音難聴は不可逆的である。今回我々の研究チームは、薬剤を手術的にマウス内耳へ局所投与することで、音響外傷後の蝸牛外有毛細胞再生と聴力改善に世界で初めて成功した。薬剤には個体発生で内耳有毛細胞への分化を細胞レベルで抑制するNotch情報伝達系の阻害剤を用いた。この薬剤の有毛細胞誘導効果をin vitroにおいて確認した後、成熟マウスで作成した音響外傷モデルに投与したところ、蝸牛支持細胞の分化転化により有毛細胞再生が誘導され、その結果聴力の改善が認められた。この成果は現在根本的治療法のない感音難聴に対する抜本的治療となり得るもので、内耳再生による難聴治療という次世代の治療法への臨床応用が期待される。
公募インストラクションコース10
  • -その理論と実際-
    小林 泰輔
    2014 年 24 巻 3 号 p. 271-276
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/07/25
    ジャーナル フリー
    内視鏡下耳科手術 (EES) は内視鏡やカメラ、光源の改良により1990年代から中耳手術において発達してきた。EESは低侵襲手術であり、良好な視野を有する。内視鏡は広角の視野があるため、経外耳道的手術を可能にした。さらに斜視鏡を用いることにより、“hidden space”と呼ばれる後鼓室をも視野に置くことができる。しかしながら、EESは顕微鏡手術と異なり、片手操作を強いられることや立体視できないことなどの欠点がある。このような利点と欠点を理解したうえで、EESを手がけるべきである。この論文では、EESの理論を述べ、われわれの用いている器具、手術の準備や手術方法について、これから始めようとしている耳科医の先生や、始めたばかりの先生を対象に提示する。
  • 西池 季隆
    2014 年 24 巻 3 号 p. 277-282
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/07/25
    ジャーナル フリー
    当科では、若手医師の耳科手術教育に内視鏡下耳科手術 (endoscopic ear surgery: EES) を活用している。顕微鏡下手術では、若手医師がのぞき込んでいる顕微鏡下の画面内で、上級医が指さしして術野に出現した構造物を解説することは困難である。また若手医師が術野の処理をしている際に、具体的な手術操作の指導も困難である。指示を得るためには、しばしば若手医師は上級医が解説する手術モニターの方に視線を向けなければならない。しかし、EESでは観察する術野は上級医と若手医師でモニター画面上において同一であり、術野に出現した構造物はその場で上級医が指さしで解説することで若手医師は即座に理解することができる。また手術操作に関しても、剥離の方向やアプローチルートを画面上で上級医が指し示すことによって、若手医師は手術操作をしながら把握することが可能である。このことから、EESによる手術教育は、耳科手術教育に有効であると考える。
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