Otology Japan
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25 巻 , 5 号
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原著論文
  • ─診断について─
    太田 有美, 森鼻 哲生, 花田 有紀子, 今井 貴夫, 岩本 依子, 宇野 敦彦, 川島 貴之, 長谷川 太郎, 北原 糺, 森井 英一, ...
    2015 年 25 巻 5 号 p. 771-776
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/02/13
    ジャーナル フリー

    外耳道疾患は悪性腫瘍・良性腫瘍・真珠種・炎症など多岐にわたるが、中耳疾患に比べると症例数が少ないため、外耳道疾患に関する統計報告は多くはない。腫瘍性病変は診断に至るまでに時間を要することもある。2008年4月から2015年3月までに大阪大学医学部附属病院において、外耳道腫瘍を疑って細胞診または組織診を行った症例は61例であり、疾患の内訳は、悪性腫瘍23例、良性腫瘍15例、炎症・肉芽13例、母斑4例、疣贅2例、その他4例であった。悪性腫瘍と良性疾患を比較すると、耳漏ならびにCT上の骨破壊の出現頻度において有意差を認めた。手術を行った34例において、術前の細胞診・組織診と永久標本の病理診断とを比較したところ、良悪性の診断に相違があったのは、細胞診のみが行われた1例であった。外耳道という狭い場所ではあるが、治療方針を決める上では術前に細胞診のみでなく、組織診も積極的に行うべきである。

  • 冨山 道夫
    2015 年 25 巻 5 号 p. 777-786
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/02/13
    ジャーナル フリー

    2011〜2014年の小児急性中耳炎716名を対象として、細菌学的検討を行った。年齢別のDRSPの検出頻度は、1歳児と2歳児では60%以上と他の年齢と比較し高かった。年齢別のABPC耐性H. influenzaeの検出頻度は、0歳から8歳児ではいずれも70%以上を示した。年齢層と薬剤耐性菌の関係は、3歳未満の群は3歳以上の群と比較し有意にdrug resistant Streptcoccus pneumoniae(DRSP)が高い頻度で検出されたが、ampicillin(ABPC)耐性Haemophilus influenzaeでは差はみられなかった。集団保育と薬剤耐性菌の関係は、3歳未満の症例を対象に検討したが、集団保育有りの群は集団保育無しの群と比較しDRSP、ABPC耐性H. influenzaeともに有意に高い頻度で検出された。3歳未満の集団保育有りの群では、薬剤耐性菌の感染を念頭においた治療が必要と考えられた。

  • 吉田 知彦, 多田 剛志, 海邊 昭子, 穴澤 卯太郎, 蓮 琢也, 吉村 剛, 田中 康広
    2015 年 25 巻 5 号 p. 787-793
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/02/13
    ジャーナル フリー

    近年、成人の難治性中耳炎の原因として好酸球性中耳炎やANCA関連血管炎性中耳炎(OMAAV)の存在が指摘されている。今回我々は、好酸球性中耳炎確実例と診断した症例の治療経過中に消化管穿孔を伴う好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)を発症した一例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。

    症例は気管支喘息を有する40代女性。好酸球性中耳炎確実例と診断し、外来加療を行っていた。経過観察中に四肢の異常感覚、疼痛を自覚し、好酸球数の異常増加と発熱も認め、EGPAを疑い入院加療となった。入院7日目に消化管穿孔による汎発性腹膜炎を発症し、緊急小腸部分切除術が施行された。その後の小腸の病理所見よりEGPAとの診断に至った。

    本症例のように好酸球性中耳炎の診断基準を満たしていても最終的にはEGPA型のOMAAVとの診断に至る症例が存在する。好酸球性中耳炎と診断しても、EGPAの可能性を常に念頭に置いて診療に臨むことが肝要である。

  • 北野 雅子, 坂井田 寛, 竹内 万彦
    2015 年 25 巻 5 号 p. 794-799
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/02/13
    ジャーナル フリー

    耳硬化症および中耳奇形に対し、2003年から2013年に行ったアブミ骨手術症例24例29耳(耳硬化症群18耳、中耳奇形群11耳)について、術式および原因による聴力成績を検討した。当科では術後合併症が少ないと言われるstapedotomyおよびstapedotomy-Mを中心に手術を行っている。今回の検討例では重篤な術後合併症は認めなかった。術式による聴力成績に差を認めなかった。stapedotomyおよびstapedotomy-Mで聴力成績には差はなく、ワイヤー締結部の差異は術後聴力成績に影響を及ぼしていなかった。病変部位に応じた的確な術式を選択することが大切である。

    耳硬化症は中耳奇形に比べ、術後気骨導差が有意に小さかった。先天性アブミ骨底板固着症では耳小骨の固着以外にも何らかの難聴をきたす因子がある可能性がある。

  • 大田 重人, 桂 弘和, 池畑 美樹, 赤澤 和之, 三代 康雄, 阪上 雅史
    2015 年 25 巻 5 号 p. 800-804
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/02/13
    ジャーナル フリー

    耳管開放症に対する耳管機能検査装置を用いた検査方法としては、主に音響耳管法(以下、音響法)と耳管鼓室気流動態法(TTAG法)が行われる。これまで耳管開放症の所見として、音響法による耳管開大時間の延長(スキースロープ型や開放プラトー型)、鼻咽腔提示音圧の低下およびTTAG法による鼻咽腔圧に一致した外耳道圧の変動が報告されてきた。しかし、耳管開放症の耳症状が臥位や前屈位などの体位変換によって変化するという大きな特徴を反映した検査は行われてこなかった。そこで我々は、耳管開放症の診断のために耳管機能検査装置による音響法を用いた体位変換耳管機能検査を考案した。今回、健常者および耳管開放症患者に対して音響法を用いた体位変換耳管機能検査を施行し、耳管開放症の診断に有効であるかを検討した。その結果から体位変換による外耳道音圧上昇5dB以上が耳管開放症の陽性所見と考えられた。体位変換耳管機能検査による陽性率は、耳管開放症確実例31耳で48%、疑い例29耳では28%であり、「耳管開放症診断基準案2012」における確認項目の陽性率と同等であることが示された。

  • 中西 悠, 東野 哲也, 中村 雄
    2015 年 25 巻 5 号 p. 805-811
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/02/13
    ジャーナル フリー

    側頭骨CTにおける多断面再構成(Multi-Planar Re- construction、以下MPR)の手法を用いて、顕微鏡下の耳科手術における視軸にそったスライスの断層画像(ダブルオブリーク画像)を考案した。本研究では、カダバー側頭骨標本を用いて画像作成法の基礎的検討を行った。顕微鏡下の視軸の方向を画像上に描出するために、カダバー側頭骨11標本内に極細のピアノ線を視軸に平行に留置して、コーンビームCTで撮影した。ピアノ線から導かれる視軸の方向をもとに、外耳から鼓膜を見る視軸と、後鼓室開放術の視軸にそったダブルオブリーク画像の作成法を検討した。

    ダブルオブリーク画像は顕微鏡視野に近似させることができ、直感的な理解が容易である。軸位断や冠状断画像からは得難い情報を描出することができると考えられた。

  • 小泉 博美, 内水 浩貴, 井坂 奈央, 柳 清
    2015 年 25 巻 5 号 p. 812-818
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/02/13
    ジャーナル フリー

    側頭骨骨折55例59耳を対象とし、受傷原因、骨折の種類、頭蓋内損傷、耳科的合併症(聴力障害、耳小骨損傷、外傷性鼓膜穿孔、鼓室内血腫、眩暈、髄液耳漏、顔面神経麻痺)について検討した。受傷原因は転倒事故によるものが最も多く、骨折の種類は縦骨折、混合骨折、横骨折の順に多かった。耳科的合併症のうち聴力障害については、鼓室内血腫のみを認める伝音難聴でその後経過観察を行えた22例全例で治療後の聴力改善を認めた。しかし、耳小骨損傷や鼓膜穿孔を認めた伝音難聴8例のうち、耳小骨再建を行った1例と自然改善した1例を除いて聴力の改善は認めなかった。顔面神経麻痺については、即発性麻痺は混合骨折、遅発性麻痺は縦骨折によるものが多く、治癒率は遅発性100%、即発性0%の結果であった。遅発性麻痺では保存療法のみで改善する可能性が高いが、即発性麻痺では可能な限り早期に手術を行えるよう努める必要があると考えられた。

  • Takafumi Yamano, Hitomi Higuchi, Mayumi Sugamura, Takashi Nakagawa, Te ...
    2015 年 25 巻 5 号 p. 819-822
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/02/13
    ジャーナル フリー

    Purpose

    We explored the ototoxic effects of formic acid (molecular weight 46 Da) at different osmotic pressures.

    Materials and Methods

    The osmotic pressures tested were 120, 300, and 430 mOsm. The acidities of these solutions were adjusted to pH 4. 0 by addition of small amounts of boric acid. Ototoxicity was evaluated in guinea pigs by measuring eights nerve compound action potentials (CAPs). Clicks and tone bursts at 4 and 8 kHz served as stimuli. After baseline CAP data were obtained, the middle ears were filled with formic acid (pH 4. 0) and CAPs relative to baseline were measured 30 min or 24 h later. To prevent infection of the middle ear cavity, all animals received 30 mg/kg body weight erythromycin via injection. To control pain, all animals were intraperitoneally injected with 30 mg/kg body weight pentobarbital sodium, and also received topical injections of 1% (w/v) xylocaine solution.

    Results

    At 24 h, the formic acid solution with the lowest osmotic pressure (120 mOsm) had minimal adverse effects on the CAPs, but the other solutions significantly reduced the CAPs.

    Conclusions

    Formic acid solutions (pH 4) of three different osmolarities (120, 300, and 430 mOsm) were evaluated in terms of ototoxicity. The solution of lowest osmolarity was not associated with any ototoxicity whereas the other two solutions caused significant ototoxicity. Thus, the extent of ototoxicity increased when the osmolarity rose.

  • 上原 奈津美, 後藤 友佳子, 山本 沙織
    2015 年 25 巻 5 号 p. 823-827
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/02/13
    ジャーナル フリー

    中耳非結核性抗酸菌症は非常に稀である。今回我々は診断に難渋し、経過中に内耳障害を来した中耳非結核性抗酸菌症の1例を経験した。症例は74歳男性で、近医から難治性耳漏で紹介受診となった。左混合性難聴および左鼓膜穿孔と、肉芽・白苔を伴う耳漏を認めた。塗抹検査で抗酸菌を認めたが結核菌PCRおよびクオンティフェロンは陰性で非結核性抗酸菌症と考えた。抗酸菌培養では菌同定ができていなかったが、右向き水平眼振を伴うめまいが出現したため非結核性抗酸菌症として多剤併用療法を開始した。非結核性抗酸菌症の中で最も頻度の高いMAC(M. avium complex)症に準じてクラリスロマイシンCAM600mg、リファンピシンRF450mg、エタンブトール塩酸塩EB500mgの内服を用いた。治療開始後1カ月でめまいは改善し3カ月後には鼓膜穿孔も閉鎖した。約1年間多剤併用療法を継続し、聴力は気骨導差がなくなった。

  • 高橋 正紘
    2015 年 25 巻 5 号 p. 828-835
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/02/13
    ジャーナル フリー

    8年5ヶ月間のメニエール病1,008名の集計結果、罹病期間と聴力の関係、有酸素運動とストレス対策の治療成績を報告した。発症年齢は30〜50代が64.8%を占め、発症誘因上位は、男性は職場の多忙・ストレス、女性は家庭内不和・トラブル、多忙、職場ストレス、介護、子供(親)と同居、家族の病気・死であった。難聴は罹病期間の対数にほぼ正比例して進行し、罹病4〜8年で全音域障害が55.4%に達し、罹病>8年で両側障害が増加した。患側左が右の1.4倍と有意(p<0.005)に多かった。

    有酸素運動とストレス対策によりめまい発作は早期に消失した。初診時、低音障害は3ヶ月以上、高音・全音域障害は6ヶ月以上観察した319名(平均観察期間1年5ヶ月)で、治療後、罹病6ヶ月〜8年の集計と全集計で聴力正常の割合が有意(p<0.00001)に増加した。今回の結果から、メニエール病はストレスによる内耳恒常性の低下が原因であり、早期のストレス対策と有酸素運動で治癒可能な疾患と確認された。

  • 堀 龍介, 庄司 和彦, 児嶋 剛, 岡上 雄介, 藤村 真太郎, 奥山 英晃, 脇坂 仁美
    2015 年 25 巻 5 号 p. 836-843
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/02/13
    ジャーナル フリー

    今回われわれは発症3日以内に受診した患者を対象に、予後診断そのものの精度向上を目指して、発症3日以内および発症2週間後の積分筋電図とENoGを組み合わせて顔面神経麻痺の予後診断を行った。同時に患者ができるだけ早く知りたい事柄である発症3日以内での発症早期予後診断の可能性を、両者を組み合わせることにより検討した。結果は、発症3日以内にENoG値が低い場合は予後が悪くなり、眼輪筋の積分筋電図値≦25%かつENoG値≦55%なら58%、口輪筋なら70%の治癒遷延率であった。眼輪筋の積分筋電図値>25%かつENoG値>55%なら97%、口輪筋なら86%の早期治癒率であった。さらに発症2週間後では、積分筋電図値≦25%かつENoG値≦25%で区切ると、感度、特異度、陽性的中率、陰性的中率いずれも良好な数値をとなった。今回の結果から積分筋電図とENoGの結果を組み合わせれば、発症3日以内に受診した患者へ予後の説明をする際の有用な情報になり得ると考えられた。

日本耳科学会用語委員会報告
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