Otology Japan
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27 巻 , 1 号
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第26回総会会長講演
原著論文
  • 入間田 美保子, 織田 潔, 野村 和弘
    2017 年 27 巻 1 号 p. 11-17
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/02/13
    ジャーナル フリー

    2014年9月〜2015年7月に東北労災病院耳鼻咽喉科を受診した小児急性中耳炎の中耳貯留液又は耳漏から肺炎球菌が検出された25症例、菌株26株を対象として、13価結合型肺炎球菌ワクチン(PCV13)の普及による小児急性中耳の起炎菌である肺炎球菌の変化について検討した。

    26株中、PCV13に含まれない非ワクチンタイプ莢膜型が20株(77%)検出され、15A/15Fが多かった。CLSI基準のPRSPは0株であったが、耐性遺伝子変異が25株で検出された。ガイドライン推奨薬投与中に肺炎球菌が検出された症例が8例あった。

    現在ワクチンの効果で肺炎球菌による重症中耳炎は減少しているが、再び耐性菌を蔓延させない対策が必用と思われた。

  • 和田 忠彦, 岩永 迪孝, 羽田 史子, 井上 雄太, 曽我 文貴, 藤田 明彦
    2017 年 27 巻 1 号 p. 18-23
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/02/13
    ジャーナル フリー

    慢性中耳炎や真珠腫性中耳炎術後の鼓室形成術後に真珠腫の形成や再形成再発となった症例を前回術式における外耳道後壁保存・削除に分けて再発部位を検討した。

    初回手術が外耳道後壁保存術式であった再形成再発部位は、上鼓室型とコルメラ周囲型に分けられ、それぞれ7耳と8耳であった。

    初回手術が軟組織再建を含む外耳道後壁削除術式であった再形成再発部位は、乳突洞型と上鼓室型と鼓膜癒着型に分けられ、それぞれ4耳、3耳、2耳であった。

    対処法として外耳道後壁保存術式では、再形成再発予防として物理的に耳介薄切軟骨でblockすることが有効であるが、blockする範囲を外耳道前壁〜ツチ骨柄〜コルメラ〜外耳道後壁と広範囲にする工夫が必要であると考える。

    一方、外耳道後壁削除術式では、乳突蜂巣後方の多層充填や陥凹部の軟骨留置にて対応しているが、特に乳突蜂巣発育良好例での再形成再発例では対応に苦慮するケースがあり、初回手術時には個々の症例にあった柔軟な術式選択が必要である。

  • 増田 麻里亜, 江洲 欣彦, 白倉 真之, 長谷川 雅世, 松澤 真吾, 新鍋 晶浩, 飯野 ゆき子, 吉田 尚弘
    2017 年 27 巻 1 号 p. 24-30
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/02/13
    ジャーナル フリー

    成人の真珠腫性中耳炎、乳様突起炎に続発した脳膿瘍の3例を経験した。いずれも脳膿瘍に対する外科的治療を要し、3例中2例は後遺症なく軽快したが、1例は意識レベルの改善を認めなかった。中枢神経症状、炎症反応を伴う中耳疾患では本疾患を想起し、早期に診断し治療を開始することが重要である。CT検査にて頭蓋底の骨破壊が認められる中耳炎症例では、耳性頭蓋内合併症を生じている可能性を考慮し、軟部組織条件のCT検査、MRI検査で頭蓋内合併症の有無を確認する必要があると考えらえた。

臨床セミナー1
  • 伊藤 真人
    2017 年 27 巻 1 号 p. 31-36
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/02/13
    ジャーナル フリー

    2015年に日本耳科学会、日本小児耳鼻咽喉科学会によって「小児滲出性中耳炎(OME)診療ガイドライン2015年版(初版)」が発刊された。欧米とは異なり、本邦ガイドラインのコンセプトは、中耳貯留液や鼓膜の病的変化などのOMEそのものへの対応だけではなく、その遷延化因子ともなりうる周辺器官の病変に対する治療を積極的に行うことを推奨するものである。しかし、周囲臓器に細菌感染症を伴わない場合には、OMEの治療としての抗菌薬使用はすべきではない。3か月以上改善しない両側のOME症例で明らかな聴力障害を示す場合や、鼓膜の病的変化が出現した場合には、鼓膜換気チューブ留置術を行うべきであり、難聴の程度が軽度であっても治療の選択肢として検討すべきである。

    ガイドラインで示された指針(推奨)は、個々の症例における法的根拠とはならないことが原則であり、ガイドラインはあくまで診療を支援するものである。

臨床セミナー2
  • 林 達哉
    2017 年 27 巻 1 号 p. 37-41
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/02/13
    ジャーナル フリー

    2006年に初版が発表された小児急性中耳炎診療ガイドラインは現在改訂作業が進行中である。このガイドラインは小児急性中耳炎の難治化を背景に、推奨する診断法、治療法を実地臨床家に提供してきた。その成果は、難治化の重要な原因である薬剤耐性肺炎球菌の減少、難治化の改善として表れている。次期改定では、症状と鼓膜所見から重症度を決定する、重症度に応じた治療を推奨する、アモキシシリンを第一選択抗菌薬とするなどの基本的な方針に変更はない。従来版の課題として、1ヵ月以内に急性中耳炎や滲出性中耳炎などの中耳病変を有した症例がガイドラインの対象外であった点が指摘されている。さらに、ガイドライン作成法の進歩に対応したガイドライン作りが求められている。ガイドラインは現在の患者ばかりでなく、将来の患者にとって有益でなければならない。抗菌薬の適正使用の普及は変わらぬ使命である。

臨床セミナー3
  • 野口 佳裕
    2017 年 27 巻 1 号 p. 43-48
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/02/13
    ジャーナル フリー

    2012年、本邦では先天性難聴患者に対する保険診療による遺伝学的検査が可能となった。2015年には、154変異(19難聴遺伝子)を対象に次世代シークエンサー、インベーダー法、TaqManジェノタイピングによる網羅的解析が開始された。このように、全ての耳鼻咽喉科医にとって日常診療における遺伝子診断の重要性は増している。難聴の遺伝学的検査は、分子レベルでの疾患の診断を可能とし、患者へ適切な遺伝カウンセリングを提供しうるものである。さらに、遺伝学的検査は、ミトコンドリアDNA 1555A>G変異例における難聴の発症や悪化の予防、Usher症候群や母系遺伝の糖尿病と難聴のような症候群性難聴患者における難聴以外の症候へのより早期の治療、人工内耳の術後聴覚成績の予測の点で臨床的に有用である。大多数の遺伝性難聴患者では、補聴器や人工聴覚器を含む個別化医療が確立されている。従って、先天性難聴患者に対する遺伝学的検査や遺伝カウンセリングは積極的に行われるべきものである。

臨床セミナー4
  • 松田 圭二
    2017 年 27 巻 1 号 p. 49-52
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/02/13
    ジャーナル フリー

    鼓膜癒着を伴う広義の癒着性中耳炎(癒着性中耳炎15耳、緊張部型真珠腫26耳、鼓膜癒着を伴う中耳根治術後例22耳)に対する薄切軟骨を使った鼓室形成術(Cartilage tympanoplasty)の有効性を検討した。この術式により連鎖再建に必要不可欠な中鼓室までの含気腔が、順に87%、77%、59%で得られ、乾燥治癒率もそれぞれ90%以上であった。しかし、聴力成功率は、順に67%、46%、32%にとどまり、含気の改善は必ずしも聴力改善にはつながらなかった。聴力成績は、術前の鼓室病変の程度に大きく影響を受け、鼓膜所見と術前CT含気所見の組み合わせが術前鼓室病変の評価、聴力予後の推定に有効であると考えられた。

テーマセッション8
  • 神崎 晶
    2017 年 27 巻 1 号 p. 53-56
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/02/13
    ジャーナル フリー

    中耳の骨吸収は骨破壊に関与している。破骨細胞によって骨吸収が生じる。破骨細胞数はさまざまなサイトカインなどのシグナルにより調整されている。

    慢性中耳炎においても感染によりサイトカインが発生し、耳小骨や中耳の骨が溶解する。osteoprotegrin(opg)が欠損すると破骨細胞数が増加し、耳小骨に骨吸収が増進し、骨が狭小化する。真珠腫性中耳炎でも耳小骨を含む中耳、乳突蜂巣で骨吸収が生じており、破骨細胞数が増加することが予想される。ところが、臨床例において破骨細胞増加に関するシグナルが捉えられておらず、骨吸収の主体についてはまだ結論が出ていない。本稿では、基礎研究と臨床研究を包括した仮説を提唱する。

テーマセッション12
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