Otology Japan
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27 巻, 2 号
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原著論文
  • 小森 学, 東野 哲也, 阪上 雅史, 小島 博己, 松田 圭二, 山本 裕, 羽藤 直人, 森田 由香, 橋本 省
    2017 年 27 巻 2 号 p. 83-89
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/02/13
    ジャーナル フリー

    日本耳科学会用語委員会では弛緩部型真珠腫、緊張部型真珠腫に新たに二次性真珠腫、先天性真珠腫を追加し、中耳真珠腫進展度分類案2015を作成した。今回、中耳真珠腫の病態・進展度の疫学調査ならびに術式選択の実態調査として大規模な全国登録調査を行った。

    対象は中耳真珠腫初回手術例とし、2015年1月1日から1年間を症例集積期間とした。結果、全国74施設より計1,787例が登録された。弛緩部型が1,133例(63. 4%)、緊張部型が233例(13. 0%)、二次性が100例(5. 6%)、先天性が231例(12. 9%)、分類不能が90例(5. 0%)であった。術式選択では乳突非削開鼓室形成術が452例(25. 3%)、外耳道後壁保存型鼓室形成術が496例(27. 8%)、外耳道後壁削除・乳突非開放型鼓室形成術が656例(36. 7%)、外耳道後壁削除・乳突開放型鼓室形成術が183例(10. 2%)であった。

  • 田中 康広, 大村 和弘, 蓮 琢也, 海邊 昭子, 深美 悟, 春名 眞一
    2017 年 27 巻 2 号 p. 90-96
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/02/13
    ジャーナル フリー

    2011年4月から2015年3月までに当科で手術加療を施行した再発性真珠腫16例の臨床像を分析し、再発性真珠腫に対する術式選択について検討した。再発前に施行された前回の手術術式は経外耳道的上鼓室開放術(TCA)が最も多く、次いで外耳道後壁削除・再建型鼓室形成術(CWD + CWR)であり、軟組織による再建部位からの再発がほとんどであった。再手術時に施行した手術術式では外耳道後壁保存型鼓室形成術(CWU)が7例と最も多く、CWDが5例、CWD + CWRが2例であった。再手術後に再発を認めた症例は2例あり、CWUおよびCWD + CWRの症例であった。CWDを施行した症例では再発を認めなかったものの1例でcavity problemを生じた。再々発およびcavity problemを起こした症例は全て小児症例であった。症例数も少なく経過観察期間も短いが、再手術に関しては再発時の病態や患者年齢などを総合的に考慮し、より望ましい術式を選択すべきである。

  • ─これまでの報告、術式に対する検討とともに─
    物部 寛子, 岡田 和也, 中西 わか子, 石井 阿弥子
    2017 年 27 巻 2 号 p. 97-104
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/02/13
    ジャーナル フリー

    中耳腫瘍は比較的稀な疾患であり、カルチノイド腫瘍、中耳腺腫、神経鞘腫、奇形腫、髄膜腫、グロムス腫瘍などの良性腫瘍から扁平上皮癌、腺癌などの悪性腫瘍が鑑別に挙げられるが、進展した悪性腫瘍を除き、臨床症状や画像所見は非特異的であり、試験的鼓室開放術または腫瘍摘出を兼ねた鼓室形成術を行い、組織検査により確定診断が得られる。

    今回我々は中耳から発生し、一部鼓膜に突出するカルチノイド腫瘍症例を経験した。病理組織はクロモグラニン、synaptophysin、CD56に陽性であり、またKi-67 2%、核分裂象0個/10HPFよりneuroendcrine tumor G1、カルチノイド腫瘍と診断された。腫瘍は岬角、下鼓室を中心に癒着しており、同部位の骨削開が必要であったが、蝸牛窓窩近くは深く削開は行えず、この近傍は再発に注意が必要と思われた。文献的にも再発は平均11年と報告され、長期的な経過観察を予定している。

  • 濱口 宣子, 伊藤 由紀子, 北野 雅子, 坂井田 寛, 竹内 万彦
    2017 年 27 巻 2 号 p. 105-110
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/02/13
    ジャーナル フリー

    鼓膜換気チューブは滲出性中耳炎の治療として汎用されているが、鼓膜穿孔や鼓室内への脱落などの合併症が知られている。今回耳漏が続くために手術を行ったところ、中鼓室に鼓膜換気チューブの遺残がみられた症例を経験した。症例は21歳男性で主訴は右耳漏である。4歳の時に鼓膜換気チューブ留置術を受けた。当科受診約10か月前に右滲出性中耳炎に対して、近医にて右鼓膜切開術が施行されたが、その後右耳漏が持続し鼓膜に隆起性病変が生じたため、当院に紹介となった。鼓室形成術および乳突削開術を行ったところ、乳突洞内にはコレステリン肉芽腫が充満しており、中鼓室内には炎症性肉芽を認め、中鼓室前方には鼓膜換気チューブの遺残を認めた。肉芽とチューブを摘出し、術後耳漏は停止した。術後6か月後の側頭骨CTにて右鼓室と乳突腔は含気化していた。本症例でのコレステリン肉芽腫を発症した機序を考察した。鼓膜換気チューブの経過観察は責任を持って注意深く行うことが重要である。

  • 時田 江里香, 兼井 彩子, 浜崎 泰佑, 仲島 孝昌, 小松崎 敏光, 水吉 朋美, 小林 一女
    2017 年 27 巻 2 号 p. 111-117
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/02/13
    ジャーナル フリー

    ティンパノメトリーは一般的に周波数226Hzのプローブ音が用いられる。新生児や乳幼児は、中耳に貯留液があってもA型のティンパノグラムを示すことが知られており、1000Hzのプローブ音を使用することが勧められている。今回226Hz・1000Hzティンパノメトリーの測定を行い、その結果を検討した。

    1000Hz ティンパノメトリー測定にはEasy Tymp、226Hz測定にはインピーダンスオージオメータRS-22を用いた。対象は当科を受診した、月齢2ヵ月から50ヵ月までの乳幼児、計98症例(195耳)である。

    226Hzと1000Hzの結果が一致しなかった11例(18耳)のうち、226HzでA型だが1000Hzでflat(B型)を示したのは8例(13耳)で、12ヵ月未満が6例(10耳)、8例中7例は口蓋裂を既往に持つ児であった。

    6ヵ月未満の乳幼児の中耳の評価には226Hzよりも1000Hzを使用するのが望ましいと報告されているが、今回の結果からは口蓋裂児では、12ヵ月未満の乳幼児にも1000Hzティンパノメトリーを併用して滲出性中耳炎を判断するのが望ましいと考えられた。

  • 浅岡 恭介, 稲垣 彰, 村上 信五
    2017 年 27 巻 2 号 p. 118-124
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/02/13
    ジャーナル フリー

    現在の結核治療においてリファンピシンは、柱となる重要な抗結核薬である。我々は、リファンピシンに薬剤アレルギーが生じるも脱感作療法により治療継続が可能となり、治癒に至った中耳結核の一例を経験した。また、現在の中耳結核の疾患像を明らかにするため、自験例に加え過去10年に医学中央雑誌に収載された文献を渉猟し、計41例の中耳結核症例を検討した。24例では4剤による標準療法が、他の症例でも2剤以上の併用療法が施行されており、全例で治癒に至っていた。また、これらの症例で実施された結核検査(ツベルクリン反応、結核菌特異的インターフェロンγ検査、抗酸菌培養、結核菌特異的PCR)ではいずれの検査でも偽陰性が生じていた。これらは、中耳結核例においても主要な抗結核薬にアレルギーが生じた場合には脱感作が奏功する可能性があること、また、診断に際しては各検査の偽陰性について留意を要することを示唆するものと考えられた。

  • 平賀 良彦, 大石 直樹, 小島 敬史, 和佐野 浩一郎, 小川 郁
    2017 年 27 巻 2 号 p. 125-130
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/02/13
    ジャーナル フリー

    側頭骨の放射線骨壊死(ORN)は放射線照射後に生じる晩発性障害の一つで、しばしば治療に難渋する。今回我々は放射線照射後の難治性中耳炎に対し、中耳根本術に側頭筋弁での充填と外耳道閉鎖術を併用した手術(充填型中耳根本術)を施行することで耳漏を停止することができた症例を経験した。症例は74歳、女性。X-17年に頭蓋内軟骨性骨肉腫に対し手術および放射線治療後に難治性の左慢性中耳炎を発症し左難聴は徐々に進行し聾となった。持続する耳漏に対してX年に乳突削開術および鼓室形成術wo型を施行したが耳漏の改善は認めなかった。そこで、X+2年に充填型中耳根本術を施行したところ耳漏を停止することができ、患者のQOLを大きく改善することができた。本術式はORNに伴う難治性中耳炎に有効な術式である可能性が示唆された。

テーマセッション1
  • ─低侵襲中耳手術の開発─
    金丸 眞一, 金井 理絵
    2017 年 27 巻 2 号 p. 131-134
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/02/13
    ジャーナル フリー

    鼓膜再生療法は、皮膚外切開や自己組織の採取を伴わない組織工学的手法による再生医療として非常に有効な治療であるが、その適用にはいくつかの必須項目を満たす必要がある。鼓膜再生の処置に鼓膜穿孔縁の新鮮創化があるが、これには鼓膜穿孔縁が顕微鏡下で直視できなければ行えない。また、鼓膜穿孔の原因の大半は慢性中耳炎で、多くの場合、鼓室や鼓膜に軽度湿潤し、完全な乾燥状態でないため鼓膜再生の適応ではない。これらの症例に対して、前者では外耳道の拡大や内視鏡の使用。また、後者では、経鼓膜的に鼓室内の洗浄・清掃を行うことで適用症例の拡大を図ってきた。これまで、鼓室形成術や鼓膜形成術を施行せざるを得なかった症例に対しても、その一部は鼓膜再生を併用した低侵襲の本治療法が有効であると思われる。

テーマセッション7
  • ─次世代シークエンサーの臨床応用─
    茂木 英明, 西尾 信哉, 宇佐美 真一
    2017 年 27 巻 2 号 p. 135-140
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/02/13
    ジャーナル フリー

    先天性難聴は出生1, 000人あたり1〜2人に発症し、その原因の60〜70%は遺伝子が関与していると考えられている。現在までに、90以上の遺伝子が原因として報告されており、原因遺伝子を特定するためには多くの遺伝子を網羅的に解析する必要がある。このような背景から、我々はインベーダー法による既知の13遺伝子46変異を網羅的に解析する手法を開発し、約30%の症例で変異を検出することが可能となった。本手法の有効性が認められ、2012年からは保険診療として全国で行われている。さらに、近年の遺伝子解析技術の急速な進歩により、次世代シークエンサーが登場し、遺伝子解析のデータ量、速度が飛躍的に向上した。我々は、この次世代シークエンサーを用いた遺伝子解析を開発し、2015年以降、保険診療として、解析対象を19遺伝子154変異へと拡大した。その結果、約40%の症例で変異検出が可能となった。今後、次世代シークエンサーを用いた解析により、新規遺伝子変異を同定し、データベースを構築、加えて、遺伝子コピー数変化の解析も組み合わせることで、さらなる診断率の向上を目指していく。

教育セミナー7
  • 我那覇 章
    2017 年 27 巻 2 号 p. 141-148
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/02/13
    ジャーナル フリー

    中耳真珠腫手術の目的は①真珠腫の完全摘出、②再発予防、③聴力改善、④将来的に処置不要な中・外耳の形態と機能保持である。外耳道後壁骨と皮膚を保存して乳突洞を処理するcanal wall up法(以下、CWU法)は術後の創傷治癒や患者のQOLの点で有利な術式である。その一方で、外耳道後壁骨を残すことに起因する術中の視野制限や手術操作の煩雑化により遺残リスクが増す。さらに外耳道後壁を保存することによる再形成再発の問題がある。本稿では術中視野制限を克服するための手技として、経外耳道的視野と経乳突削開腔、後鼓室開放腔的視野の併用やlateral tympanotomyについて概説する。また、中耳換気改善による含気治癒、再形成再発の防止を目的とした前鼓室開放術のほか、scutum plastyの工夫について概説する。最後に当科における術後の再発率、中耳再含気率、聴力成績についても報告する。

第11回人工内耳・人工中耳研究会共同セッション
  • 岩崎 聡, 宇佐美 真一, 髙橋 晴雄, 東野 哲也, 土井 勝美, 佐藤 宏昭, 熊川 孝三, 内藤 泰, 羽藤 直人, 南 修司郎
    2017 年 27 巻 2 号 p. 149-155
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/02/13
    ジャーナル フリー

    平成28年2月下旬に日本耳鼻咽喉科学会に登録している人工内耳実施施設109施設を対象に日本耳科学会人工聴覚器ワーキングループによるアンケート調査を実施した結果を報告する。85%の施設で平均聴力90dB未満の患者が人工内耳手術を希望されていた。48%の施設で一側の平均聴力90dB未満の患者に人工内耳手術を行っていた。82%の施設が1998年の適応基準の改訂が必要と考えていた。人工内耳手術を行った最も軽い術側の平均聴力レベルは91dB以上が20. 7%、81〜90dBが51. 7%、71〜 80dBが14. 9%であった。93%の施設で適応決定に語音明瞭度も重要と考えていた。67%の施設が両側人工内耳を実施したことがあった。本アンケート調査結果を踏まえて、成人人工内耳適応基準改訂が必要と考えられた。

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