Otology Japan
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28 巻 , 5 号
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第28回日本耳科学会総会特別企画
特別企画 耳科手術の歴史
パネルディスカッション1
  • 大崎 康宏
    2018 年 28 巻 5 号 p. 649-652
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/07/02
    ジャーナル フリー

    ヒト中枢聴覚系の解析法は、神経活動による電位・磁場変化を測定する脳波・脳磁図と、局所脳血流・代謝変化を測定するPET・SPECT、機能的MRI(fMRI)、近赤外分光法とに大別される。脳磁図では音提示の約百ミリ秒後にみられるN100mを用いて側頭葉聴覚野の活動を解析することが多い。fMRIや近赤外分光法では局所の酸素化・脱酸素化ヘモグロビンの増減を捉えることで脳活動部位を画像化している。PETは投与する標識物質(トレーサ)によって得られる画像が異なるが、15O-水で脳血流を、18F-FDGで脳の糖代謝を調べる研究が多く、人工内耳患者でも各種解析が行われている。近年、装置の小型化に伴って動物PETが実用化され、耳鳴などの動物モデルでの応用が期待される。

日本耳科学会教育セッション
第27回日本耳科学会総会特別企画
テーマセッション3
  • 藤岡 正人, 小澤 宏之, 野口 勝, 粕谷 健人, 石川 徹, 猪狩 雄一, 西山 崇経, 細谷 誠, 神﨑 晶, 大石 直樹, 小川 郁
    2018 年 28 巻 5 号 p. 659-662
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/07/02
    ジャーナル フリー

    光学機器の進歩と各種器具の上市を背景に、昨今急速に普及している経外耳道的内視鏡下耳科手術(TEES)は、その近接した広い視野角による死角の減少と微細で鮮明な映像情報とを利点とする反面、片手操作ゆえの不便さが常に伴う。一方、鼻科領域で標準術式となっている内視鏡下鼻副鼻腔手術は経鼻内視鏡頭蓋底手術(EESBS)へと発展を見せており、EESBSでは二人の術者による“4 hands surgery”が一般的である。当科ではEESBSの手法をTEESに導入し、助手が内視鏡を持ち視野を作る、“3 hands surgery”によるTEESを積極的に行っている。術者が両手操作で作業を行うことができ、かつ内視鏡が術野の変化に合わせて迅速に移動できるため、出血をコントロールしながら、近接した死角の少ない視野を確保することが可能である。一方で、TEESでは鼻副鼻腔以上に狭いスペースで手術が展開されるため、スコーパーの臨機応変、迅速かつ的確な内視鏡操作により、視野とワーキングスペースを同時に確保することがEESBS以上に厳しく要求される。内視鏡操作と術操作を異なる術者が行うと、術者の遠近感の把握感覚が異なるため、EESBS同様、特殊な手技として修練を経験することが望ましい。術者とスコーパーが相補的な手技を同時に行うチームワークが手術の円滑な進行には不可欠であり、EESBSの手術教育を基盤とした手技習得と、cadaver dissectionによる十分なトレーニングが肝要と私達は考えている。

原著論文
  • 菊地 大介, 今泉 光雅, 大槻 好史, 室野 重之
    2018 年 28 巻 5 号 p. 663-667
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/07/02
    ジャーナル フリー

    2008年1月~2017年4月の期間に当院で施行した中耳真珠腫の初回手術例を対象とし、真珠腫進展度と鼓索神経損傷率および術前CTによるアブミ骨周囲評価を試みた。

    対象は鼓索神経損傷の有無を評価し得た218例223耳、鼓索神経損傷は53/223耳(24%)であった。真珠腫の病態区分別の鼓索神経損傷率は弛緩部型:18%、緊張部型:46%、先天性:18%、二次性:29%であり緊張部型で有意に高かった。解剖学的区分別の鼓索神経損傷率はT領域への進展有り群:37%、進展無し群:11%でT領域の進展で高かった。アブミ骨病変別の鼓索神経損傷率はS0:10%、S1:42%、S2:58%とアブミ骨への進展例で有意に高かった。アブミ骨病変の術中所見と術前CT所見は相関していた。

    真珠腫の緊張部型例・T領域への進展例・アブミ骨周囲への進展例で損傷率が高いことより、真珠腫が中後鼓室へ進展する例で損傷率が高かったと考えられる。術前CTによるアブミ骨周囲への真珠腫進展評価が鼓索神経損傷リスク評価へ有用と考えられた。

  • 伊藤 潤平, 柘植 勇人, 植田 広海, 曾根 三千彦
    2018 年 28 巻 5 号 p. 668-674
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/07/02
    ジャーナル フリー

    我々は、真珠腫性中耳炎の術後遺残再発の早期発見、再形成再発の予防そして良好な聴力を得るために、術後の鼓室腔と乳突部の含気化が重要と考えている。これを達成するために、術式の工夫を重ねてきた。特に、術前のCTの乳突洞に含気を認める症例は一期的手術、含気を認めない症例は段階手術とする方針を採用している。この基本方針に基づき、鼓室形成術を施行した後天性真珠腫性中耳炎手術症例119耳について、術式、進展度、聴力成績等について検討を行った。術前CTで含気を認める症例32耳中4耳に段階手術を施行し、含気を認めない症例87耳中41耳に一期的手術を施行した。術後の聴力成績は、全体では72.9%の成功率であり、伝音再建別ではIII型で72.4%、IV型では50.0%に成功が得られた。現時点での術後再発率は6.5%であった。術前CTでの乳突洞の含気の有無を参考にしつつ、術中所見など様々な要素を総合的に判断することの必要性が改めて認識された。

  • ―適切な術式選択のために―
    大槻 好史, 今泉 光雅, 菊地 大介, 室野 重之
    2018 年 28 巻 5 号 p. 675-680
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/07/02
    ジャーナル フリー

    鼓膜穿孔閉鎖の術式については多数の施設でその方法と成績が報告されているが、術式決定に関する客観的な術前評価基準の報告はない。穿孔閉鎖の手技は、専攻医が「指導医のもとで自ら実施できる」手術として専門研修記録簿で位置づけられた比較的容易な手術ではあるが、適切に術式決定や穿孔閉鎖可能性を予測できずに穿孔閉鎖が不成功となれば、患者満足度の低下および耳科手術へのモチベーション低下につながる可能性がある。今回、鼓膜穿孔の術前評価を目的として手術の難易度および再穿孔のリスクに関する2種類のスコア評価基準を作成し、その臨床的有用性について検討した。スコア評価では、手術の難易度に関する観察項目として5項目3段階、再穿孔のリスクに関する観察項目として5項目2段階の評価とした。スコア導入前(47耳)の穿孔閉鎖率は72.3%、導入後(21耳)の穿孔閉鎖率は90.5%であり、手術成績の向上につながったと考えられた。

  • 品川 潤, 岩崎 聡, 古舘 佐起子, 高橋 優宏, 岡野 光博, 加我 君孝, 宇佐美 真一
    2018 年 28 巻 5 号 p. 681-686
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/07/02
    ジャーナル フリー

    我々は両側小耳症・先天性外耳道閉鎖症による混合性難聴に対してBonebridge™埋め込み術を臨床研究として施行したので報告する。症例は43歳男性で、両側小耳症・先天性外耳道閉鎖症に対して5回の外耳道形成術を受けた既往がある。ヘッドバンド型の骨導補聴器を装用していたが、審美性が気になっており本人の希望もあってBonebridge™を選択した。左骨導閾値の方が右側に比べて良好であること、また側頭骨が左側の方が厚いことから左側にBonebridge™埋め込み術を施行した。音入れ後、良好な装用閾値、語音明瞭度が得られた。

  • 鶴田 幸之, 大島 一男, 田中 秀憲, 上野 裕也, 上塚 学, 富山 要一郎, 西池 季隆
    2018 年 28 巻 5 号 p. 687-692
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/07/02
    ジャーナル フリー

    抗菌薬が進歩してきた今日でも、難治性耳漏の治療に難渋することがある。今回、外耳道異物による感染から顎関節膿瘍に至った症例に対して、2回の内視鏡下耳科手術を行い寛解を得られた症例を経験したので報告する。症例は67歳男性で、右耳痛と耳漏に対して近医で加療されるも改善なく、耳出血を伴う外耳道腫瘤が出現したため当科紹介となった。外耳道所見としては膿性耳漏・肉芽様腫瘤を認め、CTでは外耳道および中耳腔を充満する軟部陰影・外耳道前下壁の骨破壊像を認めた。保存的加療を行うも症状が悪化した為、全身麻酔下に緊急手術を施行した。手術は生食灌流を用いた内視鏡下にて行い、腫瘤、異物(綿棒先端)9個を摘出すると、鼓膜穿孔および外耳道壁と顎関節腔内との交通を認めた。一期的手術での治療完遂は困難と考え、消炎後に鼓膜穿孔に対して改めて鼓室形成術I型を施行した。術後経過は良好であり、聴力の改善を認めている。

  • 田口 大藏, 福島 慶, 中谷 宏章
    2018 年 28 巻 5 号 p. 693-696
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/07/02
    ジャーナル フリー

    Stephanoascus ciferriiは人獣共通感染症の起炎菌の1つであるが、耳鼻咽喉科領域における報告は極めて稀である。症例は70歳女性で、50歳頃から右慢性中耳炎のため、近医耳鼻科に通院していた。当科受診の1ヵ月前頃から右耳掻痒感が出現した。右外耳道炎との診断で治療を受けていたが改善しないため、当科を受診された。右外耳道に発赤・湿潤を認めたため、同部位を擦過し、培養検査に提出した。菌種の同定検査を実施し、S. ciferriiと同定された。薬剤感受性検査の結果、本菌はフルコナゾール(FLCZ)とフルシトシン(5-FC)に対して耐性化傾向が認められた。そのため、塩酸テルビナフィンで治療を行い、右外耳炎は軽快した。抗真菌薬の投与にも関わらず治療に抵抗する場合や、高齢者や免疫不全患者の中耳・外耳真菌症では、本菌の可能性も考慮して培養検査や抗真菌薬の選択を行う必要があると考えられた。

  • 吉村 佳奈子, 豊田 健一郎, 森岡 繁文, 藤田 朋己
    2018 年 28 巻 5 号 p. 697-701
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/07/02
    ジャーナル フリー

    唾液腺分離腫と唾液腺組織が異所性に発育したものと定義される。中耳分離腫は比較的稀な疾患であり、その一例を経験したので報告する。症例は10歳女児で両側難聴を主訴に受診した。左鼓膜より表在血管の目立つ腫瘤が透見され、CTでは前庭窓周囲の軟部陰影および前庭の拡大と外側半規管の無形成をみとめた。試験的鼓室開放術を施行したところ2つの腫瘤をみとめ、一方は摘出しもう一方は顔面神経と強固に癒着しており部分的な切除生検に留めた。またキヌタ骨長脚は先細りし、耳小骨連鎖の途絶をみとめた。

    唾液腺分離腫の確定診断は病理学的検査によるため術前診断は難しい。さらに分離腫は腫瘍ではなく異所性の正常組織であるため、必ずしも完全摘出が必要ではないという意見もある。分離腫の可能性を踏まえ、神経損傷の可能性が高いと判断した場合などは摘出を断念することも必要と考える。また中耳奇形合併の中耳唾液腺分離腫の報告は散見されるが、本症例のように内耳奇形合併例はさらに稀と考えられた。

  • 森鼻 哲生, 太田 有美, 大薗 芳之, 今井 隆介, 奥村 朋子, 今井 貴夫, 猪原 秀典
    2018 年 28 巻 5 号 p. 702-707
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/07/02
    ジャーナル フリー

    人工内耳埋込術後に起こり得る創部皮弁のトラブルでは、異物の存在ゆえに感染の制御に難渋することが多い。やむなく一旦インプラントを摘出して創部の治癒を待つ場合もある。本症例では人工内耳埋込術後2週間で創部の膿瘍形成、離開を来した。これに対して消炎後、インプラントを温存したまま浅側頭動脈由来の有茎筋膜弁を用いて一期的に閉鎖をし得た。側頭・頭頂筋膜弁(temporoparietal fascia flap、以後TPFFと略する)は側頭・頭頂領域を広く栄養する浅側頭動脈を利用した皮弁であり、その豊富な血管網ゆえ生着の信頼性は高く、形成外科領域では頭部・顔面の再建手術でしばしば利用される。本症例での経験から、耳鼻咽喉科領域手術での利用、とくに術野に人工物が存在する場合での有用性について再認識した。

  • 増田 圭奈子, 五島 史行, 松永 達雄
    2018 年 28 巻 5 号 p. 708-714
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/07/02
    ジャーナル フリー

    小児めまい症例では患者から症状を聞き出すことは難しく、両親や介護者から情報を得ることが重要である。Dizziness Handicap Inventory for Patient Caregivers(以下DHI-PC)は、小児めまい患者の日常生活における心理社会的影響の大きさを定量化するために、保護者が回答する質問紙である。今回我々は和訳した日本語版DHI-PCを作成するため予備テストをおこない、信頼性と妥当性について検証をおこなった。今後はめまいの質問紙としての検討をすすめるとともに、DHI-PCにより小児めまいの障害の程度を定量化し、治療やリハビリの評価への実用性をめざす。

紹介論文
  • 黒木 良子, 伊藤 健
    2018 年 28 巻 5 号 p. 715-720
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/07/02
    ジャーナル フリー

    高品質のオージオグラムを自動作成するウェブサイトを作成した。以下の機能が搭載可能であった。

    ・そのままで投稿可能な、規程に合った画像の作成

    ・拡大しても劣化が無い最高級の画像出力

    ・使い勝手の良い中等度品質(JPEG等)の画像出力

    ・国際規格オージオグラム(ISO準拠)への対応

    ・重ね描き可能

    ・平均聴力の自動計算

    ・オージオグラムデータの可搬性

    一方、オージオグラムの整合性の検証機能は理論的に不可能と分かったため搭載できなかった。

    作成したオージオグラムは著作権フリーとしているので多くの方が利用されることを希望する。

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