Otology Japan
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28 巻 , 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
第27回日本耳科学会総会特別講演
ランチョンセミナー4
  • 南 修司郎
    2018 年 28 巻 1 号 p. 9-13
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/03
    ジャーナル フリー

    コルビニアン・ブロードマンは大脳皮質の層構造の差異に注目し、大脳を52の領野に区分するブロードマン脳地図を1909年に発表した。脳機能イメージングとは、生きている脳内の各部の生理学的な活性を様々な方法で測定し画像化することであり、医用画像装置の進歩と共に発展してきた。聴覚脳機能イメージングで20世紀後半にまず登場したのは、脳波である。80年代に事象関連電位が、90年代初めにMEG, PET, SPECT、90年代後半にfMRIが登場する。セントルイス・ワシントン大学医科大学のデイビッド・ヴァン・エッセン氏らのチームは何百もの人間の脳MRIデータをもとに、脳を180の部位に分けた新しい脳地図を作り注目されている。また我々は耳鳴患者に対し安静時fMRI検査を行い、聴覚関連領域のみに注目することにより、感度86%、特異度74%で耳鳴の客観的診断が可能となっている。

テーマセッション8
  • 神﨑 晶
    2018 年 28 巻 1 号 p. 15-18
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/03
    ジャーナル フリー

    薬物動態の生体モニタリングに関する研究の報告は少ない。薬物投与後の生体下の内耳における薬物の時間経過、動態は未知のままである。例えば、投与量がその内耳に到達する量と相関するかどうかは不明である。われわれは、生存マウスにおける薬物動態をモニターするための新しい生体内イメージングシステムを確立した。得られたシグナルのピークは、全身投与後よりも局所注入(鼓室内投与)後で早くみられた。注入された薬物量は、内耳で測定されたシグナル数と有意に相関した。すなわち全身投与された薬物量を増加させると、内耳に到達した薬物濃度が増加した。この研究は生体下内耳薬物動態やドラッグデリバリーシステムを検討する上で有用である。

原著論文
  • 立山 香織, 児玉 悟, 渡辺 哲生, 平野 隆, 川野 利明, 梅本 真吾, 鈴木 正志
    2018 年 28 巻 1 号 p. 19-24
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/03
    ジャーナル フリー

    ANCA関連血管炎性中耳炎(OMAAV)の寛解導入治療開始後の聴力経過について検討した。OMAAV症例15例25耳を対象とし、治療開始1週間、1ヶ月、3ヶ月目の気導、骨導それぞれの聴力経過を後方視的に調査し、聴力改善経過と治療効果との関連、治療効果に関わる因子について検討した。その結果、治療開始後3ヶ月で治癒・著明回復に至った症例の割合は56%であり、聴力固定時期は約8割の症例で治療開始1ヶ月以内であった。平均気骨導差は治療前後で24.2dBから5.4dBと有意な改善を認めた。初診時骨導聴力が保たれている症例(55dB未満)、治療開始早期(1週間以内)に20dB以上の気導聴力改善を認める症例ほど、寛解導入治療に対する聴力改善が良好であった。

  • 西嶋 文美, 永田 博史
    2018 年 28 巻 1 号 p. 25-29
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/03
    ジャーナル フリー

    同一術者が施行した接着法で、underlayでgrafting後にフィブリン糊を使用せずにポリグリコール酸(PGA)シートで移植片と鼓膜を被覆した17例18耳と、従来のフィブリン糊で固定した76例88耳を比較して、治療成績を検討した。

    両群とも上皮化までの期間、術後6ヶ月および1年での鼓膜閉鎖率や聴力成績、術後上皮化されるまでに修正を行ったり、上皮化後に再穿孔した症例の割合に有意差はなかった。

    接着法を行う際に、PGAシートで被覆する方法でも鼓膜閉鎖率、聴力成績などに遜色はなく、筋膜を固定するためにフィブリン糊を使用することは必ずしも必要ないと思われた。PGAシートが移植片を被覆・補強し、また組織再生の足場の補助として働いている可能性が考えられた。

  • 岡上 雄介, 堀 龍介, 児嶋 剛, 藤村 真太郎, 大八木 誠児, 鹿子島 大貴, 庄司 和彦
    2018 年 28 巻 1 号 p. 30-35
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/03
    ジャーナル フリー

    当科では2010年4月から2015年5月までに57例64耳に再手術を行った。

    今回、再手術までの期間、聴力成績、再手術に至った理由、初回に施行された術式などについて検討を行った。聴力改善成功率は36耳/57耳(63.2%)であった。再手術に至った理由は真珠腫の摘出が25耳、次いで慢性中耳炎の耳漏停止が21耳であった。当科は以前から正常乳突蜂巣とその粘膜を極力残すretrograde mastoidectomy on demandを採用し、後壁は軟組織再建としてきたが、再形成性真珠腫や乳突腔障害といった不具合が生じる症例がでてくることが明らかになった。2010年以降はscutumplastyなどの対策を講じ、再形成性真珠腫やcavity problemによる再手術はなくなっているが、長期間経って再手術に至る症例が多く、今後も経過をみていく必要がある。

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