Otology Japan
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28 巻 , 2 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
モーニング教育セミナー9
テーマセッション3
  • 西池 季隆
    2018 年 28 巻 2 号 p. 61-64
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/03/02
    ジャーナル フリー

    我々は、乳突洞に進展したstage IIの中耳真珠腫に対しても積極的に経外耳道的内視鏡下耳科手術(transcanal endoscopic ear surgery:TEES)を行っている。当科では、乳突削開には細く弯曲しシャフトがカバーされたカーブバーを耳科用ドリルに取り付け使用している。我々は、さらに内視鏡の光学子管に内視鏡レンズ洗浄器のシースを取り付け、そこから水を供給し水中下に乳突洞削開(Endoscopic hydro-mastoidectomy:EHM)を行う様にしている。これにより、削開術中に発生する骨粉は洗い流し出すことができる。また組織の熱損傷の危険性も少なくなる。また、術者が随意にレンズ洗浄器のフットスイッチにて水供給のオン・オフを行うことができる。

テーマセッション4
  • 松永 達雄, 加我 君孝, 務台 英樹, 奈良 清光, 南 修司郎, 山本 修子, 藤岡 正人, 小川 郁
    2018 年 28 巻 2 号 p. 65-69
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/03/02
    ジャーナル フリー

    遺伝性難聴の患者は、多数の難聴患者の一人として医療施設を受診するため、初診時には遺伝的原因の有無や原因遺伝子についての情報は全く不明である。患者の臨床像から遺伝性難聴の可能性、原因を推測し、より的確な検査、診療を進めることで、遺伝性難聴に対して質の高い遺伝学的診療を提供できる。特に遺伝学的検査の前に、患者の状況に即した医療情報を提供できると、検査後の診療を円滑に進め、患者が予期していなかった精神的ストレスを軽減できる。このような診療について代表的な遺伝的原因とその臨床像を具体例として示しながら概説した。

テーマセッション7
  • 吉岡 哲志, 犬塚 恵美子, 加藤 久幸, 内藤 健晴, 外山 宏, 片田 和広, 藤井 直子
    2018 年 28 巻 2 号 p. 71-78
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/03/02
    ジャーナル フリー

    CTの臨床現場における有用性は明らかである。しかし、非常に細かい領域の診断、治療を必要とする耳科領域では描出能に限界を感じる場面があったことも事実である。このほど、空間分解能を従来よりも飛躍的に高めた超高精細CT が開発され、市販が開始された。同機は従来と比べ縦横方向に2倍の密度である0.25mm四方の検出画素と小焦点の照射線源を有し、画像は最大2048×2048ピクセルで表示される。本機の耳科領域における初期経験を報告する。本機では空間分解能が明らかに改善し、鼓索神経や耳小骨などの微細な構造物、中耳炎などの進展による細かな病的変化が明瞭に描出された。また部分体積効果の改善により、従来CTでは描出が苦手とされていた、軟部組織病変、骨に近接する病変の描出能なども改善した。膨大なデータを扱う機器や表示の環境などの整備が必要である問題点が挙げられた。

テーマセッション8
  • 神谷 和作
    2018 年 28 巻 2 号 p. 79-81
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/03/02
    ジャーナル フリー

    Connexin(CX)26をコードするGJB2遺伝子は世界的に最も高頻度に変異が検出される遺伝性難聴で最大の原因遺伝子である。我々は遺伝子改変難聴モデルの解析により、CX26遺伝子変異が蝸牛ギャップ結合タンパク質複合体の劇的減少を引き起こす新たな難聴発症メカニズムを解明した。この分子病態を標的にした薬剤の開発とその臨床応用のためには、GJB2変異患者由来疾患モデル細胞が今後有効なツールとなると考えられる。我々はiPS細胞を用いて同疾患の発症機構を体外で再現することに成功し、現在GJB2変異型難聴患者からのiPS細胞の樹立を進めている。これらの技術はGJB2変異型遺伝性難聴に対するギャップ結合複合体を標的とした創薬への応用が大いに期待できる。

シンポジウム
  • ~疾患特異的iPS細胞樹立から新規病態生理解明、そして治験へ~
    細谷 誠
    2018 年 28 巻 2 号 p. 83-90
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/03/02
    ジャーナル フリー

    ヒトiPS細胞は2007年に樹立が報告され、再生医療の強力なツールとして注目されている。当教室では、国立病院機構東京医療センターおよび慶應義塾大学医学部生理学教室(岡野栄之教授)との共同研究のもと、2013年から遺伝性難聴の一つであるPendred症候群研究にヒトiPS細胞研究を応用し、本症候群患者血液検体からiPS細胞を樹立し、病態生理研究を進めてきた。これまで、本症候群における進行性難聴のメカニズムは明らかにされていなかったが、疾患特異的iPS細胞研究の結果、細胞内凝集体に伴う細胞脆弱性に起因することが示唆され、神経変性疾患類似の「内耳変性疾患」であることが明らかとなった。さらに、iPS細胞創薬研究を進め、メトホルミンとラパマイシン(シロリムス)を治療候補薬として同定した。

    本稿では、これまでの当科におけるiPS細胞を用いた研究を紹介し、疾患特異的iPS細胞とそれを応用したiPS細胞創薬の観点から概説する。

原著論文
  • 成尾 一彦, 堀中 昭良, 山下 哲範, 西村 忠己, 山中 敏彰, 細井 裕司, 北原 糺
    2018 年 28 巻 2 号 p. 91-97
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/03/02
    ジャーナル フリー

    2003年1月から2014年12月までに奈良県立医科大学耳鼻咽喉・頭頸部外科で手術加療を行った小児後天性中耳真珠腫19症例20耳(男児12症例13耳(うち1症例が両耳例)、女児7症例7耳)を検討した。弛緩部型11耳(55%)、緊張部型6耳(30%)、複合型・分類不能型3耳(15%)であった。10耳に段階手術が選択され8耳(80%)に遺残を認めた。耳小骨再建はI型1耳(5%)、III型8耳(40%)、IV型9耳(45%)、再建なし2耳(10%)であった。遺残性再発(予定手術後の遺残)を20耳中4耳(20%)、再形成性再発を1耳(5%)に認めた。遺残ならびに遺残性再発は、緊張部型や複合型・分類不能型が弛緩部型と比べ、真珠腫が広範囲に進展している例や鼓室洞進展例に、多い傾向があった。聴力改善成功例は18耳中10耳(55.6%)で、緊張部型や複合型・分類不能型が弛緩部型に比べ有意に聴力改善が不良であった。

  • 平川 治男
    2018 年 28 巻 2 号 p. 98-104
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/03/02
    ジャーナル フリー

    ANCA関連血管炎性中耳炎(OMAAV)を疑わせる難治性中耳炎として発症したが、最終的に内頚動脈の狭窄を合併することが明らかとなり高安動脈炎と診断された症例を報告した。血管炎では異なるサイズの血管病変が重複することがあるため、OMAAVが疑われる難治性中耳炎の診断では、小血管炎であるANCA関連血管炎だけではなく中血管炎や大血管炎の初発症状である可能性も念頭において精査を進める必要がある。

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