作業療法学芸雑誌
Online ISSN : 2758-5921
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巻頭言
研究と報告
  • 立川 智也, 那須 高志, 君嶋 実夢, 磯田 悠人
    2025 年 3 巻 1 号 p. 3-11
    発行日: 2025/06/30
    公開日: 2025/06/21
    ジャーナル フリー

    慢性期病棟に入院する高齢患者における食事動作自立に関連する因子とカットオフ値を横断的に調査した。当院慢性期病棟に新規入棟した166人を分析対象とし、年齢、性別、要介護度、診断名、チャールソン併存疾患指数、体格指数、右足下腿周径、機能的自立度評価法、Cognitive Test for Severe Dementia(以下、CTSD)、改訂長谷川式簡易知能スケール、認知症行動障害尺度、障害高齢者の日常生活自立度を調査した。結果、食事自立の可否に関連する因子としてCTSDが選択された。食事自立には認知機能が関連する可能性が示唆され、CTSDのカットオフ値(26/27点)をもとに作業療法介入の方針を検討することに役立てられることが示唆された。

  • 丸橋 篤人, 貝沼 悠, 酒井 章弘, 荻原 亜有美, 藤生 大我
    2025 年 3 巻 1 号 p. 12-18
    発行日: 2025/06/30
    公開日: 2025/06/21
    ジャーナル フリー

    地域包括ケア病棟に従事する作業療法士の役割としては、患者の生活情報を共有化し、多職種連携に寄与することが望まれる。今回、生活目標とできるADL情報を可視化したADL表を作成し、その運用効果を検証した。対象はA病院地域包括ケア病棟に入院中の高齢者19名と病棟看護師及び介護福祉士(病棟スタッフ)21名とした。その結果、高齢者のBarthel Index(BI)とFunctional Independence Measure(FIM)の合計得点に有意な改善がみられ、15名が自宅退院となった。また、病棟スタッフのケアに肯定的な変化があった。地域包括ケア病棟の高齢者ケアにADL表を用いることは、リハビリテーションスタッフと病棟スタッフ間で患者情報の共有化を可能とし、多職種連携の促進に寄与することが示唆された。

  • 野村 健太, 小林 幸治, 佐藤 佐和子, 益山 清美
    2025 年 3 巻 1 号 p. 19-28
    発行日: 2025/06/30
    公開日: 2025/06/21
    ジャーナル フリー

    本研究は、認知症カフェ目白のわの経過より、保健医療系大学における認知症カフェとそれに関わった人の変化を明らかにすることを目的にアクションリサーチを行った。2023年1月から2024年8月の期間に目白のわは岩槻区南部圏域地域包括支援センター白鶴ホームをはじめ、サポーター住民、特別養護老人ホームまきば園、目白大学の作業療法学生と教員が協働して準備・開催した。開催から1年間で累計359名、そのうち認知症者とその家族は累計130名が参加した。認知症者とその家族は生活に明暗の変化がありながらも参加を継続し、サポーター住民においては認知症への認識を改め、学生は臨床実習なさがらの経験を大学構内で積んだことが明らかになった。

  • 相良 慶介, 會田 玉美, 野村 健太
    2025 年 3 巻 1 号 p. 29-40
    発行日: 2025/06/30
    公開日: 2025/06/21
    ジャーナル フリー

    ハンドセラピィの目標であるUseful handの要素を明らかにする事を目的とした。「ハンドセラピィ/手外傷」「QOL/満足」をキーワードとして論文を抽出し、Useful handの獲得に根差した実践について検討した。その結果、17件の論文が採択され、ハンドセラピィプログラムは、心身機能・構造が8割を占めていた。Useful handには、①上肢機能の回復、②手の実用性の向上、③仕事および趣味への参加、④対象者主体とした精神心理面の回復の4つの要素を含むことが示された。仕事や趣味など対象者の生活背景に応じて、手の実用性を高めることの重要性が示唆された。今後は、活動・参加に関する介入効果や手の実用性、精神心理面の影響を明らかにしていく必要があると考えられた。

  • 立川 智也, 那須 高志, 君嶋 実夢, 磯田 悠人
    2025 年 3 巻 1 号 p. 41-50
    発行日: 2025/06/30
    公開日: 2025/06/21
    ジャーナル フリー

    本研究では慢性期病棟に入院した高齢患者における食事自立に関連するN式老年者用精神状態尺度の下位項目とそのカットオフ値を明らかにするため横断的調査を実施した。対象者166名を食事自立群と非自立群に分類し、食事自立の可否に関連する因子およびカットオフ値を算出した。ロジスティック回帰分析の結果、「家事・身辺整理」と「記銘・記憶」が有意な因子として選択された。Receiver Operating Characteristic Curve(以下、ROC)曲線では、「家事・身辺整理」のカットオフ値は3.0点(Area Under the Curve(以下、AUC):0.81)、「記銘・記憶」はカットオフ値が7.0点(AUC:0.82)であった。さらに、多変量ROC曲線の結果、AUCは0.86であった。以上の結果から、「家事・身辺整理」と「記銘・記憶」は、食事動作自立の可否を判断する有効な指標であることが示唆された。

  • ―SA-CROTの分類を用いた事例報告レビュー―
    松下 里櫻, 會田 玉美, 館岡 周平
    2025 年 3 巻 1 号 p. 51-60
    発行日: 2025/06/30
    公開日: 2025/06/21
    ジャーナル フリー

    精神科リエゾンチームに従事する作業療法士(以下、リエゾンOT)の実践を明確にするために、リエゾンOTの臨床思考を整理することを目的に原著論文に学会抄録や会議録も含めた事例報告レビューを行った。また、リエゾンOTの治療介入の組立と判断を検討するため、作業療法のクリニカルリーズニングの自己評価尺度(以下、SA-CROT)を用いた。4つの論文データベースを用いて、我が国の論文を検索、スクリーニングした結果、対象論文は9件、10事例が選択された。対象者は様々な属性や背景をもつ対象者、目的は精神機能の早期対応であり、介入を通し、リエゾンOTとの関係性構築、円滑な病棟生活、不安の軽減等が図られていた。また、リエゾンOTの実践はSA-CROTの4因子全てに分類され、「実践の文脈を活かす思考プロセス」が最も多かった。今後はリエゾンOTの臨床からクリニカルリーズニングの研究を行い、実際の思考過程やその判断を明確にすることが必要と考えられる。

実践報告
第34回埼玉県作業療法学会 抄録集
学会長挨拶
基調講演Ⅰ
基調講演Ⅱ
領域セミナー(身体障害領域)
領域セミナー(精神障害領域)
領域セミナー(発達障害領域)
一般演題
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