(超) LSIの電極材料として注目されているシリコン (Si) と金属の化合物であるシリサイド出現の由来をまず説明する.それから,多くのシリサイドは Si 結晶面に金属を付着させると,きわめて低い温度で形成される(固相反応)という事実を示す.
Siは強い共有結合で格子を形成している結晶である.それにもかかわらず,この物質はかくも簡単に金属と反応する.この学問上興味深い問題を含め,シリサイドの研究は電極の安定性という実用上の大きなニーズから10年以上の長期にわたり強く推進された.
そのため,デバイス技術のみならず,その研究内容,手段は表面・界面物性などサイエンスの分野に無視できぬ寄与をした.これら研究より明らかになったシリサイドの生成や物性およびその研究手法について言及する.
最後に,シリサイドの今後の可能性や問題点をMOSデバイスのゲート電極としての高融点シリサイドを中心に考えてみる.
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