表面単原子層の構造に関して,最近の話題から三つを選んで解説した,下地がイオン結晶,半導体,金属である場合に公類し,それぞれの場合について一つの話題を取り上げた.イオン結晶としては,三次元の集積回路を作製するうえで重要な絶縁体であるCaF
2を取り上げ,その (111) 表面の最外層の組成と構造が,電子線照射と適当な熱処理によって,かなり任意に制御できることを述べた.帯導体としてはSiを取り上げ,その (111) 表面に単原子層程度のAgを真空蒸着し,かつ適当な熱処理を行った場合に生じる有名な, √3×√3R30° 構造の,構造解析の現状について述べた,金属としてはPbを取り上げ,その表面層が,パルクの融点より低い温度で融解するという,表面融解の現象について述べた.
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