化学の研究チーマとして最近,液晶,有機超伝導物質,機能性膜などいわゆるハイテク林料素材に関する研究が盛んである.しかし,これら分子集合体の研究に,伝統的な試行錯誤的研究手法をもち込んでも,成功の確率は低い.それは,パルクな物質の性質を決める要因が数多く互いに複雑に影響し合っているために,直感的洞察によって設計を行うことがきわめて困難だからである.むしろ,分子レベルのコンピューターシミュレーシコンを,指導的道具として用いるほうが得策である.そのために用いる分子間および分子内ポテンシャル評価の手法として,原子対ポテンシャルの方法(または分子力学と呼ばれる)が最も有望と考えられている.分子力学の分子集合体への適用はハードウエア上の制約もあってまだ十分に行われていないが,ここでは現状と見通しを述べた.
抄録全体を表示