シリコンやゲルマニウムの薄膜を,それぞれの結晶基板上に真空蒸着・スパッタリング法で作製した場合ある温度(いわゆるエピタキシー温度)以上で方位のそろった結晶層が,それ以下ではアモルファス層が成長する.一方,エピタキシー温度より十分に低い温度でも,基板結晶の影響により,界面付近のアモルファス層内に結晶の方位を引きついだ粒子が,形成されること(方位近接効果)が指摘されている.ここでは,基板温度を200°C以下に保ったSi (111) 7×7表面に蒸着した,厚さ14 nm以下のSi膜の低速電子線回折による観察結果を中心に,膜の構造階層化について示し,方位近接効果を明らかにするとともに,エピタキシー成長との関連について見解を述べる.
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