SiH
4(シラン)をソースガスとして含む熱CVD(Chemical Vapor Depogition)では,最初にSiH
4からH
2分子が脱離し,SiH
2(シリレン)が生成する.他のソースガスを用いた場合にも,シリレン置換体(SiH
2のH原子が他の原子団と置き変わったもの)が生成する.SiH
2およびシリレン置換体の反応性は,引き続いて起こる連鎖反応の方向に大きな影響を与える.したがって,シリレン置換体の電子状態や反応性を理解することは,様々なソースガスを用いたシリコンCVDの詳細な反応過程を解明する上で重要である.本解説では,シリレン置換体に関する最近の量子化学計算による研究結果を紹介し,概説する.さらに,熱CVDのモデリングの例として,SiH
4からシリコンが析出する過程に関する量子化学的な研究について解説する.
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