電気的・光学的な不活性中心として働く結晶欠陥や表面不純物は,半導体素子寸法の微小化に伴い一層重大な障害となる.特に量子細線など,ナノメーターオーダーの化合物半導体極微構造やデバイスでは致命的な存在である.真空一貫プロセスは,デバイスの微細化が著しい今日こそ,このような欠陥や不純物を除去し,より複雑化した化合物半導体デバイスの開発を可能ならしめるものとして大きく期待されている.本報告で1嵐量子細線に限らず,光・電子デバイスなど化合物半導体作製において,真空一貫プロセスがなぜ有効であるかをまず説明する.次に,真空一貫プロセスの例として,表面汚染のみならずプロセス誘起損傷を著しく抑制した,われわれの“in-situ電子線リソグラフィー”について最近の到達点を述べる.最後に,真空一貫プロセスの課題と将来展望について論ずる.
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