創造科学技術推進制度は,わが国の研究開発における旧来の固定的な構造に新風を吹き込み,基礎研究の推進を支援する新しいマップを作ることを意図して,1981年に始められた.発足以来15年を経て,この制度はその愛称“ERATO”とともに世界中で注目されるまで成長し,特に産官学の緊密で実質的な連携を育てる制度として高い評価を得ている.本稿では,筆者が「緒方ファインポリマープロジエクト」および「吉村パイ電子物質プロジエクト」の2プロジエクトに関与してきた経緯を踏まえて,この制度の基本的な思想と,それに基づく極めて流動的な基礎研究の運営方法を紹介する.
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