応用物理
Online ISSN : 2188-2290
Print ISSN : 0369-8009
68 巻, 8 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 江崎 玲於奈
    1999 年 68 巻 8 号 p. 873
    発行日: 1999/08/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
  • 佐藤 勝彦
    1999 年 68 巻 8 号 p. 880-885
    発行日: 1999/08/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    応用物理学研究者に興味あると考えられる宇宙物理学の2つの話題, (1) 中性子星などの超高密度天体の物理とその形成,および (2) 力の統一理論に基づいた宇宙の量子的創生論,および現在,初期宇宙研究のパラダイムとなっているインフレーション理論について解説する.
  • 情報・生体・量子の融合
    土井 利忠
    1999 年 68 巻 8 号 p. 886-889
    発行日: 1999/08/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    著者が,ソニー・コンピュータ・サイエンス研究所の設立と運営を通じて,直感的に感じている, 21世紀の技術革新を展望した.
    ひとつには,ネットワークをはじめとするあらゆるシステムが「生体的挙動」を示すようになること.さらには,「量子コンピューター」や「量子通信」のみならず,微細化した電子回路が「量子状態」をそのまま利用するようになる,などが予測される.
    これらの技術革新には,物理学,化学,生物学,機械工学,複雑系の科学,コンピューター科学,通信工学,システム工学などの融合が重要である.それぞれの学問の殻の中のみで仕事をする人は,技術革新に参加できないだろう.
  • 松本 元
    1999 年 68 巻 8 号 p. 890-902
    発行日: 1999/08/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    生体情報処理システムは,情報に対する開放系の科学としてとらえることができ,遺伝情報システムや脳・免疫,さらに社会環境と階層化される.脳の目的は,情報を選択し,その選択した情報の処理のしかたを獲得することである.この目的の達成のために,脳の情報原理がメモリ-主体方式であること,脳の構成原理が時系列情報を連合する出力依存性学習と一度長期記憶として獲得した情報処理の仕組みは,生涯にわたって消去されず,追加学習的に階層構造化されることである.脳の目的・原理を具体的に表現するために,脳は目標を設定しその最も上位の目標に対する限りない愛によって,その目標を達成する仕組みを獲得する方向に向かう.脳の目的に沿って生きるとき,人は輝く.
  • ゲノムとゲルマニウムの間で
    永山 國昭
    1999 年 68 巻 8 号 p. 903-908
    発行日: 1999/08/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    近代生物学は生き物すべての奥底に普遍的で巧妙な“自然の技術”を発見した.この“自然の技術”が“人間の技術”に比べどのように優れているかを新しい物理的スケール則を導入し明らかにした.さらに,これら技術の背後にあるモノづくりの仕組みを吟味し,遺伝情報をべ一スにした生物的生産に比べ“人間の技術”がエネルギー浪費的にならぎるをえない理由を論証した.そのうえで21世紀の技術のあるべき姿の例として生物の自己集積的生産に習った技術,たんぱく質集積体作製について言及した.
  • 高辻 正基
    1999 年 68 巻 8 号 p. 909-913
    発行日: 1999/08/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    異常気象,土地浸食などの環境問題や人口増大の影響で, 21世紀前半以降の人類の食糧問題が懸念されている.従来の土地利用型農業だけでは,特に日本の食糧を支えきれない可能性がある.そこで,植物工場のような超集約的食糧生産技術の実用化が期待される.応用物理的技術の応用として,発光ダイオードやレーザーダイオードを植物栽培用の光源として利用する可能性について論じる.
  • 藤正 巖
    1999 年 68 巻 8 号 p. 914-920
    発行日: 1999/08/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    ヒポクラテスの昔から物理学は医学の一つの基礎科学であった.医学が科学技術を支えに急速に進歩し始めたのは20世紀の後半になってからだが,生物の物理機械としての側面を解き明かすために医用工学が発展したのもこの時代である.医療は診察・診断・治療(工学的には計測・意志決定・制御)のブイードバックループを用いるシステム工学とみなされ,その各部を物理工学的方法で理論づけし応用技術を作ってきた.最初は人体の機能;を主として解析の対象とし,人体のマクロの応用物理学的適用ともいえる生理学を基礎とした医用工学は,今世紀の終わりごろから,その対象をしだいに小さく・非接触の対象に向け,現在では構造学としての解剖学が理論的基礎になりっつある.他の学術領域と同様に中間領域の科学も内包し始めた.ここでは,医用工学技術を人体機械論を中心に述べてみよう.
  • 茅 陽一
    1999 年 68 巻 8 号 p. 921-926
    発行日: 1999/08/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    今後のエネルギー環境問題の核心は,資源的制約と温暖化を中心とする環境制約の2つをいかに克服するかにある.本文では,これらの制約の現状について簡単にふれるとともに,それをどのようなエネルギー技術で対応するかをいくつかのシナリオを例に説明する.さらに対応策の中心となる技術,特に材料関連,超伝導,システム技術などについて,その有効性とこの分野での応用物理分野の研究者への期待を述べる.
  • 科学技術再考
    生駒 俊明
    1999 年 68 巻 8 号 p. 927-933
    発行日: 1999/08/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    応用物理学会がこれまで順調に発展し,いわゆる八イテク産業へ貢献してきた過程を,筆者の専門である半導体を例にしてふり返った.さらに90年代になっての日本の経済の停滞と産業技術における日本の競争優位性の劣化にっいて言及し,八イテク産業における価値の変化に対応して応用物理学会がどういう役割を演じるべきかを,科学と技術の関係を再考することによって示した.すなわち科学と技術はその目的,方法,研究者のもつ価値観において大いに異なったものであることを明示し,これからの研究開発においてはこの違いを認識したうえで目的の設定や評価を行う必要のあることを述べた.
  • 村上 陽一郎
    1999 年 68 巻 8 号 p. 934-937
    発行日: 1999/08/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    科学が制度的に成立した19世紀以降,化学を除いては基本的に「応用」という概念は成立しがたかった.科学は科学者共同体の内部に自己閉鎖的に営まれる知的活動であり,共同体の外部に研究の目的を設定すること自体が,科学の本質とは容れないものと考えられたからである.このような状況に変化が生じたのはマン八ッタン計画以降であった,そこでは,科学者共同体の内部で,生産され,蓄積され,流通し,評価される知識が,その外部セクターで「搾取可能」なものとして認知され,実際に搾取か行われるようになった.ここに制度的な意味での「応用科学」(物理学も含めて)が成立した.現代の科学は,その意味では多かれ少なかれ「応用」的であるとみなせる.
  • 林 勝彦
    1999 年 68 巻 8 号 p. 938-943
    発行日: 1999/08/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    20世紀は科学・技術の時代であった.文明は進歩したが限界も見えている.なぜなら20世紀の技術は“現在世代”に力点が置かれた,欲望と効率追及型のものであったがためである.
    21世紀の科学・技術-それは“将来世代”をキーワードに,生命37億年の歴史をもつ生態系と地球環境調和型のものへとパラダイムシフトしてほしい.
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