本稿は,イオンチャネル蛋白の概念に基づく分子センサーについての総説である.種々の合成リセプターで化学修飾した固体電極上で,電気化学不活性な目的物質が,そのリセプターに選択的に結合することで,電気化学活性な化学種(マーカー)の電極酸化還元反応を選択的に制御させる.この機構により,きわめて一般的に多くの電気化学不活性な化学種の電気化学的検出法ができる.マーカーイオンの膜透過の化学選択的開閉を著しく概念的に,しかも一般性をもって実現した分子間透過型チャネルセンサーと,より細胞のイオンチャネルに似た分子内孔透遇型チャネルセンサーについて,それぞれの機構と具体例を述べている.
最後に本法の一般性,汎用性,将来の有用性について述べている.
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