強磁性スピントンネル接合 (MTJ) は薄い絶縁層を挟んだ2つの強磁性層からなり,両端に電圧を印加すると電子はスピンを保存したままトンネルすることができる.磁性層の磁化を互いに平行,反平行にスイッチさせることで大きなトンネルMR (TMR) が得られ,その値は最近の技術進展により室温で40%を超える.また,絶縁層の膜厚を制御することで7桁にわたって接合抵抗を変えることができる.現在, MRAMへの応用研究が進んでいる.本稿では, TMRの物理と特徴,接合の作製法と材料特性,およびMRAMへの応用研究動向を紹介する.
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