水面上に展開された単分子震の構成分子である両親媒性分子は,疎水基を空気側に親水基を水面側に向けて配列している.そのため,単分子膜の構造は水面を境界として非対称であり,結罷学的にみると構造対称性はバルク状態のときよりも低下している (symmetrybreaking). それゆえ,界面電位の発生や光第2次高調波発生など,バルク状態にある対称構造の膜にみられないさまざまで特異な電気・光現象の発生が認められる.膜構成分子の配列の様子は,配向オーダーパラメーターを用いて記述されるが,界面分子膜の特異な電気・光現象の発生もこのパラメーターと密接に関係している.筆者らは,界面電位の発生や光第2次高調波の発生が,単分子膜の線形および非線形誘電分極現象と密接に関係していることに着目し,これら分極現象をマクスウェル変位電流(MDC)および光第2次高調波(SHG)として電気・光学的に計測し,単分子膜の配向オーダーパラメーターや膜構造評価を試みている.ここでは,評価システムの概要とその基礎となる理論,および液晶性単分子膜に対して行った実験例を紹介する.
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