応用物理
Online ISSN : 2188-2290
Print ISSN : 0369-8009
72 巻, 1 号
『応用物理』 第72巻 第1号
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
巻頭言
総合報告
  • 早川 尚夫
    2003 年 72 巻 1 号 p. 3-12
    発行日: 2003/01/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    単一磁束量子を情報担体とする超伝導デジタル回路は,超低消費電力,クロック周波数100GHz以上で動作する新しいデジタル・システムの実現の可能性があり,注目されている.最近,この単一磁束量子回路(SFQ)の研究において,大規模回路を動作させるための設計技術が進展し,数千接合からなる回路がクロック周波数,数十GHzで動き始めている.本稿では,単一磁束回路技術の現状とその特徴である高スループット性を生かしたネットワーク・デバイスなどへの応用について解説する.

解説
  • 太刀川 恭治, 熊倉 浩明
    2003 年 72 巻 1 号 p. 13-20
    発行日: 2003/01/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    最近注目されているMgB2 線材ならびに先端金属系線材を概観した.MgB2 では,主に原料粉末を金属管に詰めて加工,熱処理をするパウダー・イン・チューブ法による線材化研究が進められている.しかしながら,臨界電流特性はまだ実用レベルには達しておらず,ピン止め点導入など,今後のさらなる研究が望まれる.実用金属系線材であるNb-TiやNb3Snにおいては,大型加速器,高磁界NMR分析装置,ITER核融合装置,冷凍機直冷型マグネットなどの新しい応用へ向けた線材開発が進められ,さらなる高性能化が達成されつつある.一方,Nb3Al線材はその優れた機械的特性から期待がもたれ,最近,急熱―急冷―変態法などの適用によって,優れた高磁界特性をもった新線材が得られている.

  • 榊原 伸義
    2003 年 72 巻 1 号 p. 21-26
    発行日: 2003/01/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    高温超伝導フィルターは無負荷Q 値が高いために,挿入損失を増加させることなくフィルターの段数を増加させることができ,きわめて急しゅんなスカート特性と,遮断域における良好な減衰レベルが両立できる.このような高温超伝導フィルターを移動体通信基地局受信用に適用すれば,隣接する周波数帯域を用いる他システムの電波(自システムにとっての干渉電波)を十分に減衰させられる.このことは隣接システムとの周波数間隔を詰めることを意味し,周波数利用効率の向上とシステム容量増大が期待できる.本稿では,移動体通信基地局受信用として試作した高温超伝導フィルターとフィルターサブシステムについて概説する.

研究紹介
  • 齊藤 敦, 川上 彰, 島影 尚, 寺井 弘高, 王 鎮
    2003 年 72 巻 1 号 p. 27-30
    発行日: 2003/01/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    超伝導体二ホウ化マグネシウム(MgB2)は金属系超伝導体では最も高い臨界温度(Tc=39K)を示すことから,種々の応用を見据えた研究が数多くなされている.本稿では,エレクトロニクス応用をめざしたMgB2の低温成膜とジョセフソントンネル接合の作製について紹介する.MgB2薄膜はカルーセル型多元同時スパッタリング装置によりポストアニール処理を用いずに成膜された.サファイア(C面)基板上に基板温度約250°Cで成膜したMgB2薄膜は約28KのTcを示し,薄膜表面のモホロジーは非常に平滑であった.また,この薄膜を下部電極に用いたMgB2/AlN/NbN接合を作製し,良好な準粒子,およびジョセフソントンネリング特性を確認した.

  • 石山 敦士
    2003 年 72 巻 1 号 p. 31-35
    発行日: 2003/01/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    「バルク超伝導体」と呼ばれる高温超伝導材料は,従来の超伝導材料にはない特有の電磁気的特徴を有しており,金属系超伝導体とは異なる発想に基づく新しい応用が期待されている.すなわち,磁気浮上やモーターなど産業・輸送分野への応用や,フライホイール電力貯蔵,超伝導限流器といった電力分野への応用など,世界各国で研究開発が活発化している.筆者らは,バルク超伝導体を応用するために不可欠となる応用機器実機運転環境下におけるバルク超伝導体の電磁気的・熱的・機械的特性を明らかにするため,いくつかの応用機器を実際に試作し,その特性評価を行ってきた.ここではその成果の概略を紹介する.

  • 高柳 英明, 田中 弘隆, 齋藤 志郎, 中ノ 勇人
    2003 年 72 巻 1 号 p. 36-40
    発行日: 2003/01/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    現在,固体素子を用いた量子ビットは,さまざまな提案がなされ精力的に研究されている.特に,超伝導の磁束状態を用いた量子ビットでは1bit動作が確認され,さらに量子ビットの数を増やす試みが行われている.しかしながら,その読み出しでは多数回の平均をとる必要があり,量子計算上重要な1回の測定での読み出しは実現されていない.われわれは,感度の高いdc-SQUIDを用いて,磁束量子ビットの状態を1回の測定で識別することに成功した.本稿ではその実験結果を紹介し,その意義について述べる.

技術ノート
討論の広場
基礎講座
feedback
Top