応用物理
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72 巻 , 4 号
『応用物理』 第72巻 第4号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
巻頭言
総合報告
解説
  • 小田 哲治
    2003 年 72 巻 4 号 p. 415-421
    発行日: 2003/04/10
    公開日: 2019/09/27
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    プラズマ技術は,通常の化学反応では実現が難しいと思われる反応を実現可能にする技術として多くの研究者が注目している技術である.それは,通常実現しにくい高温度を実現できること,電子など一部の粒子のみに高いエネルギーを与えることができることによる.反面,プラズマの特長を生かすには圧力が低いほうが望ましい.大気圧力では,衝突が激しく一部粒子のみの加速が難しい.環境改善を行うには,大気圧力で行う処理が圧倒的に多いことも事実で,ここに技術的な問題がある.この分野については,すでに環境特集の中で個別的に取り上げられており,一部重複する.詳しい話は,そちらも参照されたい.

  • 飯田 孝夫, 山澤 弘実
    2003 年 72 巻 4 号 p. 422-426
    発行日: 2003/04/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル 認証あり

    ラドンは化学的に不活性であるため,大気中を輸送される化学物質や微小粒子のトレーサーとして有効である.屋外ラドン濃度を連続測定するには感度のよい静電捕集法か2段フィルター法が用いられる.孤島や上層大気中でのラドン濃度観測が汚染物質との比較に適している.数値計算モデルによる地球規模のラドン動態研究も行われている.東アジア地域では,大気中ラドンと汚染物質は中国大陸から北西太平洋へと気流に沿って移流・拡散していく.その挙動解明を目的に,観測と数値シミュレーションの両面から研究が行われている.

  • 白澤 勝彦
    2003 年 72 巻 4 号 p. 427-433
    発行日: 2003/04/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル 認証あり

    当初,バルク型の結晶系シリコン太陽電池はコストおよび原料問題から生産規模としては年間当たり100MWから200MWが限界とされてきた.しかし,当初の予想に反し低コスト化が図られ生産量は拡大を続けている.いったん終止符が打たれたかのようにみえたバルク系においても原点に戻り見直すことで取り組むべき課題と可能性がみえてきつつある.今後,大面積で極薄型の高効率多結晶シリコン太陽電池要素技術開発,そしてこれを高歩留り,高生産性で量産化するのための生産技術開発をさらに進めていくことで多結晶シリコン太陽電池が環境問題の一役を担える技術となることが期待できる.

研究紹介
  • 秋山 秀典, 中司 宏, 浪平 隆男, 勝木 淳
    2003 年 72 巻 4 号 p. 434-438
    発行日: 2003/04/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル 認証あり

    これまで低気圧気体中でプラズマ生成が行われてきた.大気圧気体中や水中,さらには固体中で大容量放電プラズマが生成されれば,プラズマの応用分野は大きく広がる可能性がある.短時間ではあるが大電力を発生するパルスパワー電源を用いて,大気圧気体中で大容量放電プラズマを生成するとともに,水中においても大容量放電プラズマが生成できることを明らかにする.これらの放電プラズマの利用として,多くの応用分野が考えられている.ここでは,大気や水環境浄化および産業廃棄物処理に応用した結果について述べる.

  • 石川 哲也, 森 勇藏
    2003 年 72 巻 4 号 p. 439-444
    発行日: 2003/04/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル 認証あり

    コヒーレント放射光の実現に伴い,全反射ミラー素子には,きわめて高い形状精度と原子スケールの平滑性が強く求められている.ここでは,シンクロトロン放射光をより高度に利用に供するために必要な高性能ミラーの開発を目的に,EEM (Elastic Emission Machining)およびPCVM (Plasma Chemical Vaporization Machining)による高精度全反射ミラーの製作とその性能評価を1km長尺ビームライン(SPring-8 BL29XUL)のX線を用いて行った結果を示す.

  • 稲葉 次紀, 岩尾 徹, 久保 祐也
    2003 年 72 巻 4 号 p. 444-447
    発行日: 2003/04/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル 認証あり

    近年,有害廃棄物処理において大電流・超高温・高輝度の特徴をもち,CO2 などの排ガスを多量に発生しないアークプラズマを用いる例が少なくない.一方で,循環型社会に適合したうえで,廃棄物の用途・種類や発生量に応じた適材適所な利用が求められている.ここでは,直流移行型アークプラズマを用いた場合について,アークプラズマからの光放射について述べるとともに光放射を利用した廃棄物処理技術,また,アークプラズマの陰極点を用いた表面クリーニングについて紹介する.

  • 林 佑二
    2003 年 72 巻 4 号 p. 448-452
    発行日: 2003/04/10
    公開日: 2019/09/27
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    地球環境問題に関連するCO2,CH4,PFC,NOx,SF6など,ガスの分解除外技術は,多方面の応用研究から展開されている.触媒単独処理法から始まり,オゾン脱臭を代表とするプラズマ法を経て,NOx分解で前段プラズマと後段触媒の融合処理技術に発展した.プラズマ発生技術も真空から大気圧放電の非平衡プラズマへ拡大した.筆者らは,触媒金属を処理した電極表面間にプラズマを生成させ,時空間的にプラズマと触媒を共存させた新規の化学反応器PACT (Plasma Assisted Catalytic Technologyの頭文字) を特許化し上記課題の基礎的研究を開始した.この間,ダイオキシン分解に成功し,合わせて触媒効果の存在,光触媒の導入効果,反応ガスの活性種とキャリアガスの活性種間にエネルギー交換作用などを検証し,本化学反応器の有害ガス分解・無害化対策への有効性を実証してきた経過を報告する.

  • 玉田 正男
    2003 年 72 巻 4 号 p. 453-456
    発行日: 2003/04/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル 認証あり

    放射線グラフト重合法は,既存の基材ポリマーに目的とする機能を導入することができる優れた手法である.金属とキレート結合する官能基を導入して,選択性の高い金属捕集材を作製する技術および海水中の有用金属捕集や排水中の有害金属除去への応用例について記述した.

  • 水野 彰
    2003 年 72 巻 4 号 p. 457-461
    発行日: 2003/04/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル 認証あり

    食品加工や医療などにおいて,高速で安全性・確実性の高い乾式滅菌法が求められている.放電プラズマで酸素や過酸化水素を解離して作るOやOHなどの酸素原子を含むラジカルは酸化力が強く,最近医療器具の滅菌などに使われ始めている.特に,OHラジカルは寿命が1ms程度以下ときわめて短くリーク時の安全性が高いこと,最終生成物が水と酸素であるため環境への影響がほとんどないこと,などの利点を有している.現在は低気圧放電プラズマを利用する殺菌装置が実用化されているのみであるが,われわれは真空装置を必要としない大気圧放電プラズマを用いる表面殺菌法の開発を行っている.過酸化水素を塗布した後にパルス放電または無声放電プラズマにより分解することで,短時間で高い殺菌効果が得られる.この方式は酸化力がきわめて高いため,表面処理にも応用できるものと考えられる.

  • ―原子力分野への応用を中心として―
    鈴木 正昭
    2003 年 72 巻 4 号 p. 462-465
    発行日: 2003/04/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル 認証あり

    原子力産業から排出されるさまざまな廃棄物に対し,現在提案されている種々のプラズマを使った処理方法を概観し,その例として,われわれが開発したマイクロ波加熱プラズマを用いた除染法や,塩化物のガラス固化法への応用を取り上げ,その研究成果の概略を述べた.

技術ノート
討論の広場
  • 山崎 茂明
    2003 年 72 巻 4 号 p. 466-470
    発行日: 2003/04/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル 認証あり

    科学界において,不正行為が明らかになるのは氷山の一角である.研究者のほとんどは,科学の不正行為に関心を示しておらず,十分な知識のないままである.日本において,政府機関,学会,大学,助成団体,科学界も,この問題への対応を欠いている.日本政府は,米国の公衆衛生庁に所属する研究公正局と同様の組織をもっていない.ベル研究所のSchon博士により引き起こされた不正行為事件は,物理学分野で大きな関心を呼んだ事件であった.この事例を十分に検証し,日本の物理学における科学研究の公正さ,特に発表倫理を発展させる機会とすべきである.

基礎講座
  • ―ESDとソフトエラー―
    戸坂 義春, 野村 俊雄
    2003 年 72 巻 4 号 p. 474-478
    発行日: 2003/04/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル 認証あり

    半導体技術における信頼性シミュレーションについて解説する.信頼性シミュレーションが対象とする多様な現象のうち,特にESD(静電破壊),ソフトエラーにフォーカスし,そのシミュレーション技術の概要を述べることを通し,信頼性シミュレーションの基本的考え方を説明する.

  • 戸叶 一正
    2003 年 72 巻 4 号 p. 479-483
    発行日: 2003/04/10
    公開日: 2019/09/27
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    抵抗ゼロで大電流を流せる超伝導線材は,電力,輸送,医療から通信・情報に至る広範な分野に応用が図られている.本文では超伝導線材とその応用開発の状況を紹介する.1960年代に開発されたいわゆる金属系超伝導線材のNb-Ti,Nb3Sn線材は,その信頼性の高さから現在でも応用の主流となっている.一方,1986年以降に発見された銅酸化物系高温超伝導体についても線材化の研究が順調に進められ,特にビスマス系に関しては長尺線材が市販されており,送電などの電力機器への応用が進められている.また,最近発見された金属系のMgB抹に関しても線材開発が進められている.

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