応用物理
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72 巻 , 5 号
『応用物理』 第72巻 第5号
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巻頭言
総合報告
  • 上田 修
    2003 年 72 巻 5 号 p. 539-540
    発行日: 2003/05/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル 認証あり

    次世代のULSI開発においてはますます微細化が進み,デバイスを構成する薄膜の膜厚,組成,微細構造などのナノレベルの制御が不可欠となる.これに伴い,薄膜のナノレベルでの分析・評価技術の開発も急務となっている.本報告では,このようなデバイス開発における,現在から将来に向けた分析・評価のニーズを展望し,開発すべき先端分析・評価技術について述べる.特に,これらのうち主要なもの,すなわち,(1) TEMによるnmレベルでの構造・組成・ひずみ解析,(2) 原子種まで特定可能な高角度暗視野STEM法,(3) 微量不純物の深さ方向分布を1nm以下の深さ分解能で評価できる低加速SIMS法,(4) 電気的・磁気的特性をnmレベルの分解能で可視化できるSPMおよび電子線ホログラフィーの動向について概説する.

解説
  • 井上 直久
    2003 年 72 巻 5 号 p. 550-556
    発行日: 2003/05/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル 認証あり

    半導体大規模集積回路の基板には主に引き上げ法で成長されたバルクシリコン結晶が用いられる.集積回路の微細化・高集積化とともに,回路の歩留まりや性能を制限する結晶欠陥やその原因となる点欠陥が低減されてきた.これには,欠陥や点欠陥などを分析・評価する技術の進歩が役立っている.最近の進歩と今後の課題を,重要性の高い,欠陥と点欠陥の評価技術,窒素不純物濃度の測定技術を例として解説する.また,これらの技術の国際標準化の動向を,関連する技術とともに紹介する.

  • 松井 純爾, 篭島 靖, 津坂 佳幸, 木村 滋
    2003 年 72 巻 5 号 p. 557-564
    発行日: 2003/05/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル 認証あり

    半導体結晶は,結晶成長,あるいはデバイスプロセスにおいて,結晶表面近傍に働くさまざまな応力によって局所的なひずみが発生する.これらの局所ひずみを高精度に検出するために,放射光を光源としたX線マイクロビームをいくつかの手法,すなわち,結晶の非対称反射,ゾーンプレート,湾曲円筒ミラーなどの光学素子を使ったX線マイクロビーム形成法と,それらを使って,SiO2膜終端部のSi,SOI結晶基板,InGaAsP半導体レーザーのストライプ部などの局所ひずみ分布を,ビーム走査によるロッキングカーブ測定やアナライザー結晶を加えた逆格子マップ測定した解析結果などをまとめて報告する.

  • 名西 恵之, 荒木 努, 宮嶋 孝夫
    2003 年 72 巻 5 号 p. 565-571
    発行日: 2003/05/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル 認証あり

    InNは III 族窒化物半導体の中で最も禁制帯幅が狭く,光や電子デバイス用材料として新しい応用が期待されてきたが,結晶成長が難しく,その研究は最も遅れていた.近年,エピタキシャル成長技術の進展により,比較的高品質の結晶が得られるようになり,その禁制帯幅が,従来考えられていた1.9eVよりはるかに小さい0.7〜0.8eVにあるのではないかという指摘が相次いでなされ,注目を集めている.本解説では,InNとInGaNのRF-MBE成長技術の最近の進展と,結晶学的,光学的,電気的特性の評価結果を紹介し,真の禁制帯幅について議論を行う.

最近の展望
  • 三井 泰裕, 矢野 史子, 柿林 博司, 志知 広康, 青山 隆
    2003 年 72 巻 5 号 p. 572-577
    発行日: 2003/05/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル 認証あり

    最近のデバイスの急激な微細化,高性能化,高信頼度化により,不良解析に用いられる物理的,化学的分析技術にはきわめて高度な空間分解能,感度などが求められている.本稿では,この要求にこたえるために開発中の微小部化学反応解析用のエネルギーフィルタリング電子顕微鏡,微小部超高感度元素分析用のスパッタ中性粒子質量分析計,実回路電気特性評価用のナノプローバー,結晶または形状の三次元観察用電子顕微鏡などの新分析装置および,それらを用いての,耐熱コンタクト高抵抗不良は化学反応起因,SRAM書き込み不良はゲート絶縁膜膜厚不均一起因などの解析事例を紹介する.

  • 氏家 弘裕, 佐川 賢
    2003 年 72 巻 5 号 p. 578-581
    発行日: 2003/05/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル 認証あり

    文字の読みやすさは,生活環境の安全性や快適性を整備するうえで必要不可欠な課題であり,現代の高齢社会においては,幅広い年代層での視覚特性の変化を考慮する必要に迫られている.公共空間の標識や案内表示など文字の可読性を確保するには,これを評価し,適正化する方法の確立が望まれる.そこで,これまでに提案されてきた可読性評価の方法を紹介するとともに,視力や空間周波数特性など視覚機能に基づいた可読性評価の重要性について述べる.

研究紹介
  • 西畑 保雄, 田中 裕久
    2003 年 72 巻 5 号 p. 582-586
    発行日: 2003/05/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル 認証あり

    自動車触媒は分散された貴金属で構成されており,排ガス中の窒素酸化物(NOx),一酸化炭素(CO),燃料の未燃成分(HC)を無害化するために広く用いられている.従来型触媒は高温の排ガス環境下で引き起こされる貴金属粒成長により劣化するが,ペロブスカイト型酸化物(LaFe0.57Co0.38Pd0.05O3)は貴金属の高分散状態および高い触媒活性を維持し続ける.現代のガソリンエンジンからの排ガスの酸化還元雰囲気変動に対して,触媒が構造的に応答する.そのため貴金属パラジウムがペロブスカイト格子へ可逆的に固溶・析出し,貴金属粒成長が抑制されているということが,シンクロトロン放射光を利用したX線異常散乱とXAFSにより明らかにされた.

  • —スピン偏極トンネル分光による観察—
    川越 毅, 鈴木 義茂
    2003 年 72 巻 5 号 p. 587-591
    発行日: 2003/05/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル 認証あり

    強磁性探針を用いたスピン偏極トンネル分光法によって,ナノスケールの微視的な構造とスピン状態を同時に観察することができる.この手法を用いてAu(001)上にエピタキシャル成長させたCr(001)超薄膜の磁気像を室温で観測した.高密度のらせん転位が存在するにもかかわらず,層状反強磁性を示すこと,およびらせん転位に伴う反強磁性磁区と狭い磁壁(10nm)を見いだした.また,Fe(001)表面においてスピン偏極表面電子のステップによる散乱に起因すると考えられる電子状態を観測することに成功した.

  • 小嶋 邦男
    2003 年 72 巻 5 号 p. 592-595
    発行日: 2003/05/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル 認証あり

    次世代のディスクメモリーとして,光と磁気を融合した記録方式が光記録と磁気記録の両分野から提案されている.本方式の特長は,1)熱を利用して高保磁力の記録媒体に微小マークを記録すること,2)再生は高感度の磁気センサーにより,記録媒体からの漏えい磁場を検出して実行すること,3)熱源としてレーザー光を使用することである.われわれは,希土類−遷移金属のアモルファス磁性合金膜を記録媒体として使用し,本記録方式が高密度記録への可能性を有していることを実証した.また,この過程において,Alの下地層がアモルファス媒体の磁気特性に対して重要な役割を果たすことを明確にした.

  • 三俣 千春, 佐久間 昭正
    2003 年 72 巻 5 号 p. 596-599
    発行日: 2003/05/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル 認証あり

    反強磁性/強磁性積層膜における交換結合バイアスについて,古典ハイゼンベルグ模型に基づく数値模型を提案し,交換結合バイアスの発生機構について考察した.モンテカルロ法によってL10規則型および γ-不規則型反強磁性合金のスピン構造を決定し,積層膜の磁化曲線をランダウ・リフシッツ運動方程式を用いて計算した.その結果,積層された反強磁性膜のスピン構造と積層界面のスピン配列によってバイアス発生の有無が決定されることが示された.

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