応用物理
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72 巻 , 7 号
『応用物理』 第72巻 第7号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
巻頭言
総合報告
  • 若井 和憲
    2003 年 72 巻 7 号 p. 846-856
    発行日: 2003/07/10
    公開日: 2019/09/27
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    環境の時代といわれる21世紀,地球規模で影響が及び,地球規模での対応が不可欠なものの筆頭が温暖化問題である.主たる原因物質は,現状ではエネルギー利用に伴い発生するものであり,それは紛れもなく経済活動を支えている.本稿では,エネルギー資源としての化石燃料の寿命,原発問題,新エネルギーの可能性,化石燃料の使用に付随する地球温暖化問題について解説する.話題は広範囲にわたり,筆者は個々については専門家ではないため,全般を概説することでご理解いただきたい.

解説
  • 佐藤 登
    2003 年 72 巻 7 号 p. 857-864
    発行日: 2003/07/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル 認証あり

    自動車と環境およびエネルギー問題が議論される中,リサイクルや材料規制に大きな動きがみられる.これまで重宝され使用されてきた材料が規制を受け,代替材料への転換が行われつつある.一方,エネルギー領域では資源の有効活用のみならず,地球温暖化の抑止に貢献するシステムが強く求められている.電気自動車やハイブリッド電気自動車用二次電池,および燃料電池システムは,この命題に対する大きな期待を担っている.昨今の研究成果を,テクノロジーとサイエンスの視点から追ってみた.

  • 林 好一, 高橋 幸生, 松原 英一郎
    2003 年 72 巻 7 号 p. 865-871
    発行日: 2003/07/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル 認証あり

    蛍光X線ホログラフィーは,蛍光X線を発する原子の周りの三次元原子配置を一義的に決定できる新しい構造解析手法である.筆者らは最先端のX線技術を駆使した専用の蛍光X線ホログラフィー装置を開発し,精度の高いホログラムデータを測定することに成功した.また,薄膜・ドーパントへの応用例を紹介し,局所格子ひずみの定量に対する展望を述べる.

  • 森本 剛
    2003 年 72 巻 7 号 p. 872-877
    発行日: 2003/07/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル 認証あり

    電気二重層キャパシター(EDLC)は,活性炭のような比表面積の大きな材料からなる正負極のそれぞれと電解液の界面に形成される電気二重層に,非ファラデー反応により電荷を蓄積することを原理とする.このため,信頼性が高く,高出力であり,リチウムイオン電池などの二次電池と比較して,エネルギー密度が低いこと以外は多くの点で優れている.しかしながら,エネルギー密度が低いことは,二次電源として大きな短所であり,これを解決するために電極,電解液をはじめとする構成材料の新材料開発や,さらに進んで一部EDLCの原理を用いるハイブリッドキャパシター(HC)の開発が進められている.

最近の展望
  • 米澤 正智, 雨宮 千夏
    2003 年 72 巻 7 号 p. 878-881
    発行日: 2003/07/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル 認証あり

    電気自動車とハイブリッド自動車用二次電池の発展の歴史と,これから期待されるリチウムイオン二次電池の研究開発の状況について報告している.コスト的な観点からハイブリッド自動車用電池の開発が盛んであるが,この場合は電池性能としてエネルギー密度より出力密度や回生密度が重視される.パワー密度の向上には構成するすべての部材の低抵抗化,軽量化および小型化が必要である.自動車用リチウムイオン二次電池は携帯用と異なりマンガン系正極材料の使用が望ましいが,寿命の改良が必要であった.この解決手法と寿命予測の可能性について,最近の研究成果を紹介する.

  • 斎川 路之
    2003 年 72 巻 7 号 p. 882-885
    発行日: 2003/07/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル 認証あり

    家庭用最終エネルギー消費の約3割は給湯用であるが,そのほとんどが燃焼式給湯器により賄われている.したがって,給湯は,ヒートポンプなどの高効率機器の導入による省エネルギーが期待できる分野である.また,地球環境保護の観点から,従来のフロンではなく,環境への負荷が小さい自然冷媒を利用したヒートポンプの開発が期待されている.このような状況のもと,自然冷媒CO2による家庭用ヒートポンプ給湯機(空気熱源方式)を世界で初めて,開発・実用化した.

研究紹介
  • 津毛 定司, 岡本 真吾, 田中 誠, 木山 精一
    2003 年 72 巻 7 号 p. 886-890
    発行日: 2003/07/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル 認証あり

    単結晶シリコンウエハー上に薄いアモルファスシリコン膜を成膜した,新型ヘテロ接合太陽電池“HIT太陽電池”を開発し,実用化モジュールの生産に成功した.HIT太陽電池の最大の特長は高いエネルギー変換効率であり,実用サイズである10cm角で21.3%の世界最高効率を実現している.単位面積当たりの高い発電量は,相対的に屋根面積の狭い日本での太陽光発電システム普及の制限を緩和するうえで重要であり,高性能HIT太陽電池が注目を集める理由である.1997年に事業化し,本年4月には世界最高性能の200W HIT太陽電池モジュール(セル効率19.5%,モジュール効率17.0%)の市場投入を実現している.さらなる出力向上に向けて技術開発を加速中である.

  • ―光とマイクロ/ナノテクノロジーの融合―
    齋藤 武雄
    2003 年 72 巻 7 号 p. 891-895
    発行日: 2003/07/10
    公開日: 2019/09/27
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    21世紀の最大の課題の一つは,エネルギー自立・自給である.そこで本稿では,化石燃料を用いないで “太陽エネルギー” から電気を創る先端技術について紹介する.太陽エネルギーなどの自然エネルギー利用を前提とすると,20世紀を代表する技術である巨大蒸気タービン技術では限界があることを指摘し,筆者らが開発しているまったく新しい概念に基づくタービンについて紹介する.さらに,光ファイバーなどのマイクロ/ナノ技術を利用した究極のソーラー発電システムの例をあげ,新しい時代,また限界を突破する技術・考案は,従来技術の延長線上にはないことを主張する.

  • 韓 礼元
    2003 年 72 巻 7 号 p. 896-899
    発行日: 2003/07/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル 認証あり

    最近,色素増感太陽電池が10%の変換効率を有し,低コストで作製できるため,広く注目されている.しかし,この太陽電池は液体電解質を用いるため,液漏れによる劣化問題がある.いくつかの電解液の固体化方法が報告されたが,固体化太陽電池の変換効率はかなり低い.われわれは,三次元ネットワークポリマー電解質を用い,色素増感太陽電池の擬固体化を行った.擬固体化セルとして最高の変換効率7.5%を得た.本稿では,ポリマー電解質を用いる太陽電池の作製方法および変換効率の向上方法などについて紹介する.

  • ―高温岩体発電システム―
    天満 則夫
    2003 年 72 巻 7 号 p. 900-904
    発行日: 2003/07/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル 認証あり

    地下温度は高温であるが,地下に貯留している地熱流体(蒸気・熱水)が十分にない場合,すなわち,井戸を掘削しても地熱流体を自噴するほどには地下の流体圧が高くない地熱資源を高温岩体と呼んでいる.この高温岩体からエネルギーを抽出する方法として提案された高温岩体発電システムに関する要素研究が肘折高温岩体実験場で実施されてきた.ここでは,肘折高温岩体実験場での研究開発を中心に高温岩体発電システムについて説明するとともに,2002年8月に終了した約1.5年間の長期循環試験の結果を示し,高温岩体発電システムを用いた抽熱特性に関して報告する.

  • 和田 裕文
    2003 年 72 巻 7 号 p. 905-908
    発行日: 2003/07/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル 認証あり

    最近,環境にやさしく,省エネルギーであることから磁気冷凍が注目されている.磁気冷凍は磁気熱量効果を用いた冷凍法であり,大きな磁気熱量効果をもつ材料の開発が望まれている.本稿では磁気冷凍の現状を紹介し,あわせて,われわれが最近見いだしたEr(Co1-xNix)2とMnAs1-xSbxの巨大磁気熱量効果について解説する.

  • 大西 徳幸, 古川 裕考, 近藤 昭彦
    2003 年 72 巻 7 号 p. 909-913
    発行日: 2003/07/10
    公開日: 2019/09/27
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    近年,磁性粒子は生物分離,免疫測定法,固定化酵素,ドラッグキャリアなどバイオテクノロジーの分野で広く研究され,その中のいくつかはすでに実用化されている.今回,われわれは磁石による分離がきわめて困難であった,水溶液中で分散している磁性ナノ粒子の表面に,熱応答性高分子を固定化することにより,わずかな温度変化で容易に磁気分離が可能となる熱応答性磁性ナノ粒子(当社名:Therma-Max(登録商標))の合成に成功した.本稿では,熱応答性磁性ナノ粒子の開発とそのバイオ分野への応用を中心に紹介し,その意義について述べる.

  • 納富 雅也
    2003 年 72 巻 7 号 p. 914-918
    発行日: 2003/07/10
    公開日: 2019/09/27
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    SOI基板を用いた二次元フォトニック結晶スラブ構造は,SOI基板自体の高い均一性と高いSi加工技術が相まって高精度で高品質の結晶が作製可能であり,光通信波長帯に広い二次元PBGが実現できる.本稿では,同結晶を用いた導波路,共振器,光ファイバー結合用スポットサイズ変換系などの作製に関する最近の研究成果の概説を行う.二次元結晶では面と垂直方向への漏えいが大きな問題であるが,素子構造設計によってこの漏えいはかなりの程度まで抑えられることがわかってきており,SOIフォトニック結晶はフォトニック結晶をベースとした将来の光回路の基本プラットホームの有力な候補と考えられる.

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