応用物理
Online ISSN : 2188-2290
Print ISSN : 0369-8009
75 巻, 11 号
『応用物理』 第75巻 第11号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
巻頭言
企画の意図
総合報告
解説
最近の展望
  • 小坂 英男
    2006 年 75 巻 11 号 p. 1335-1339
    発行日: 2006/11/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    われわれに最も身近な素粒子である光子と電子.量子暗号はこれらの助けなくして,実用的な長距離を通信できない.筆者らの提案する量子中継器は,光子の偏光を電子のスピンへと量子状態変換することに始まり,有効ビット検出と電子スピンリレー転送の後に量子もつれ合い検出を行うことにより,量子もつれ合い距離を拡張していくものである.各要素機能の説明に加えて初期的実験を紹介し,今後の展望を述べる.

  • 岡本 亮
    2006 年 75 巻 11 号 p. 1340-1344
    発行日: 2006/11/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    量子制御ノットゲートは量子計算の基本ゲートの一つであり,非常に重要である.しかし,光子を用いた量子計算において,その量子制御ノットゲートの実現は最も困難な課題のうちの一つである.また,多数の光子を用いた複雑な量子回路を構築するには,安定で,できるだけ簡易な光量子制御ノットゲートが不可欠である.これまでの光量子制御ノットゲートでは,経路干渉の存在が安定性の障害となっていた.最近,筆者らは,経路干渉を用いない安定で簡易な光量子制御ノットゲートを実現した.ここでは,そのゲートの原理と実験的な実証について紹介する.

  • −音の熱機関−
    矢崎 太一
    2006 年 75 巻 11 号 p. 1345-1348
    発行日: 2006/11/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    音の熱機関は,可動部をもたず,熱交換器と蓄熱(冷)器だけから構成されるきわめて単純なエネルギー変換器である.それらは熱音響現象に属し,本質的に可逆熱機関である進行波型と,不可逆性を利用した定在波型熱機関に分類されている.最近,ループ管を用いた進行波型熱機関が実現したことで,冷凍機や発電機への実用化の可能性が高まっている.本稿では,音の熱機関についての簡単な解説を含めながら,最近の現状について報告する.

  • 持木 幸一, 日塔 光一
    2006 年 75 巻 11 号 p. 1349-1353
    発行日: 2006/11/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    入力蛍光面にGd2O2S:Tbを用いて,高感度で撮影ダイナミックレンジが広く,長寿命な中性子線用カラーイメージ・インテンシファイア(中性子カラーI.I. )を試作した.出力蛍光面にEu原子発光のY2O2S:Euシンチレーターを使用し,赤,緑,青それぞれ異なった強度で発光する.このシンチレーターとカラーCCDカメラの最適化により,従来のP20シンチレーターよりも6倍感度を向上させた.緑,青になるに従い発光割合が弱くなり,撮影ダイナミックレンジを約60倍拡大している.JRR3mの中性子ラジオグラフィー照射ポート(中性子束:1.5×108n/cm2·s)で,金属内の水の動きをシャッター速度1/10000秒で映像化できることを確認した.

研究紹介
基礎講座
  • −計算機ナノマテリアルデザイン−
    佐藤 和則, 吉田 博
    2006 年 75 巻 11 号 p. 1371-1376
    発行日: 2006/11/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    原子レベルやナノスケールレベルにおける物質の基本法則である量子力学(第一原理)に基づいて,原子番号だけを入力パラメーターとして,物理機構解明や物性予測を行う第一原理計算について解説する.また,得られた物理機構や物性予測を統合することによる,新機能物質や新規ナノ超構造の計算機ナノマテリアルデザイン手法についても解説する.半導体ナノスピントロニクスを例に,強磁性機構の解明,キュリー温度の高精度予測,室温強磁性のマテリアルデザイン,さらには,次元性を制御したナノスケール・スピノーダル分解による自己組織化を利用したテラビット密度のナノ超構造強磁性半導体のプロセスデザインを紹介し,その有効性と潜在力を明らかにする.

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