応用物理
Online ISSN : 2188-2290
Print ISSN : 0369-8009
76 巻, 10 号
『応用物理』 第76巻 第10号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
巻頭言
企画の意図
総合報告
解説
  • 秋田 成司, 山中 重宣
    2007 年 76 巻 10 号 p. 1123-1128
    発行日: 2007/10/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    カーボンナノチューブは直径が20nm以下で,アスペクト比が高く,かつヤング率が1TPaを超える高い機械的な強度をもつ.このような特性は走査型プローブ顕微鏡用探針に要求される特性を満たすものである.本解説では,カーボンナノチューブを用いた走査型プローブ顕微鏡探針の製作法,およびその先端の加工方法について紹介する.さらに,実用化されたナノチューブ探針を用いた最新の観察事例を紹介し,ナノチューブ探針が高い耐久性をもち,なおかつ高解像度観察に有用であることを示す.

  • 石川 毅彦, 余野 建定
    2007 年 76 巻 10 号 p. 1129-1134
    発行日: 2007/10/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    高温の融体を取り扱う場合,容器との反応は大きな問題である.容器を用いることなく融体をプロセスできる浮遊法は,この問題を解決する有効な方法の一つであるが,重力に抗して浮遊状態を維持するのが難しく,あまり活用されていなかった.近年,磁場や音波,空気圧などを利用した浮遊法の技術開発が行われ,これらを利用した研究が盛んになってきている.ここでは,筆者らが研究を進めるクーロン力を用いて試料を浮遊させる静電浮遊法について原理や特徴を説明するとともに,高温融体熱物性測定および結晶工学における最近の成果を紹介する.

  • 佐野 伸行
    2007 年 76 巻 10 号 p. 1135-1141
    発行日: 2007/10/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    チャネル長が10nmを切るナノスケール半導体デバイスの研究が活発化している一方で,スケーリング則の限界の兆候もちらつき始めている.ポストスケーリングに向けたブレークスルーを目指すうえで,極微細半導体構造での電子輸送機構の解明は,ますますその重要性を増してきているといえる.本稿では,輸送方程式を基礎にした最近の検討結果を中心にして,微細デバイスでの電子輸送の物理的考察を与える.特に,デバイスサイズが電子の平均自由行程よりも十分に短いナノスケールデバイスであっても,電子輸送は,弾道輸送で期待される単純な物理描像とは異なり,チャネル領域に形成される境界層での拡散的輸送が混在した準弾道輸送になっていることを明らかにする.

  • −荷電粒子光学における技術革新−
    岡山 重夫
    2007 年 76 巻 10 号 p. 1142-1149
    発行日: 2007/10/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    荷電粒子光学における長年の夢であった球面収差補正が,透過電子顕微鏡で実用化され,ナノテクノロジーから材料科学分野に大きな衝撃を与えた.半世紀以上にわたり実用化を妨げてきた要因は何であったのか.今後の収差補正技術を展望するうえで重要となる多極子レンズによる収差補正技術とその特異性について荷電粒子光学の観点から解説する.

最近の展望
  • 石川 正司, 本田 裕一
    2007 年 76 巻 10 号 p. 1150-1153
    発行日: 2007/10/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    電気二重層キャパシタは,分極性の電極材料とキャリアイオンを含む電解液から構成されている.電極材料には,通常,多孔性の活性炭素が使用されているが,出力密度の増加に伴うエネルギー密度の減少がみられる.そこで,近年,電子伝導性,および化学的安定性に優れたカーボンナノチューブ(CNT)をキャパシタ電極材料へ適用する研究が行われている.本稿では,ここ数年間にわたるキャパシタ電極へCNTを適用した研究例を採り上げて紹介する.

  • 佐藤 義倫
    2007 年 76 巻 10 号 p. 1154-1158
    発行日: 2007/10/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    細胞毒性を引き起こす要因には金属溶出,表面官能基,比表面積,サイズ効果が知られている.カーボンナノチューブ(Carbon Nanotubes : CNTs)は金属触媒を用いて合成されるために金属粒子を含んでおり,応用に応じてさまざまな機能性官能基を化学修飾することが可能で,比表面積も大きい.さらに繊維状であり,直径,長さ,形態もさまざまである.このように,CNTsは金属溶出,表面官能基,比表面積,サイズ効果の細胞毒性を引き起こす要因を所有している.その中でも,細胞毒性は材料と細胞との接触から誘発されるため,CNTsの表面と細胞の相互作用は重要となる.本稿では,CNTsの表面にかかわる細胞毒性について最近の動向を報告する.

  • 染谷 隆夫, 桜井 貴康, 高宮 真, 関谷 毅
    2007 年 76 巻 10 号 p. 1159-1163
    発行日: 2007/10/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    われわれは,印刷技術を活用して大面積のワイヤレス電力伝送シートの試作に成功した.電子機器がシートに近づくと,有機トランジスタを用いた位置検出システムが機器の位置を非接触で検出する.次に,その位置にある電力伝送用のコイルがシート型の微小機械式スイッチによって選択され,必要な箇所だけ局所的に電力を無接点で伝送することができる.選択的に電力を伝送する仕組みによって,電力伝送効率を80%以上に向上することができた.また,40Wの電力を伝送できることを確認した.印刷工法によるので大面積でも低コストであり,将来は生活空間の至るところに貼り付けて,電力供給のインフラとして利用することができると期待される.

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