応用物理
Online ISSN : 2188-2290
Print ISSN : 0369-8009
78 巻, 4 号
『応用物理』 第78巻 第4号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
巻頭言
企画の意図
解説
  • 三村 秀典
    2009 年 78 巻 4 号 p. 301-307
    発行日: 2009/04/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    電子の走行媒体としての真空は,固体に比べて数々の利点を有している.一方,固体(半導体)技術は,従来の熱電子源の性能を超える微小な電子源の開発を可能にした.真空ナノエレクトロニクスは,微細加工技術・薄膜技術を駆使して,微小な真空デバイスを製作し,従来の真空や半導体デバイスの性能に勝る,応用デバイスの開発を目的とする,真空と固体の融合学術分野である.本稿では,真空ナノエレクトロニクスの基盤技術である,微小電子源の現状をデバイス応用の観点から記述する.また応用デバイスの現状と今後の展望についても述べる.

  • 小関 史朗, 松下 武司
    2009 年 78 巻 4 号 p. 308-315
    発行日: 2009/04/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    有機ELディスプレイの燐光材料の分子設計を目的とした理論研究の方法について解説する.高い効率が期待される燐光材料の開発は切望されており,理論研究に基づく材料設計は,燐光材料の高効率・長寿命のために十分利用できる状況に至っている.本解説では,有機EL材料分子における輻射および無輻射過程を分子軌道法に基づく理論的方法によって取り扱う場合について解説し,実用時に生じる問題点について言及する.後半では,典型的な燐光材料分子として知られるPt(thpy)2 および Ir(ppy)3 に関する理論計算結果を示し解説する.

  • −遅い劣化を中心にして−
    上田 修
    2009 年 78 巻 4 号 p. 316-323
    発行日: 2009/04/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    1970年代の初頭から30年余りにわたる半導体発光デバイスの信頼性に関する研究について解説する.まず,発光デバイスの開発および信頼性研究の変遷について振り返る.次いで,発光デバイスの三つ主要な劣化モード,すなわち速い劣化,遅い劣化,および衝撃劣化の概要について述べる.さらに,1970〜1980年代に行われた速い劣化に関する古典的研究の成果を紹介した後,その後の研究が著しい遅い劣化に関する研究について系統的に述べる.

最近の展望
  • 伊藤 茂生
    2009 年 78 巻 4 号 p. 324-328
    発行日: 2009/04/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    従来の熱電子と異なる新たな電界放出電子を利用したディスプレイである,フィールドエミッションディスプレイ(FED)は,その特長を生かせる市場に向けての開発が進められている.FEDはこれまでのCRT技術とデジタル化技術を融合させ,高コントラスト,高速応答,映像表現に重要な各ドットごとの多階調化など,CRTの画質を超えるディスプレイになりうるとともに,その低消費電力化が期待される.以下にFEDの開発動向について述べる.

  • 越田 信義
    2009 年 78 巻 4 号 p. 329-332
    発行日: 2009/04/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    トンネル酸化膜で連結した量子サイズナノシリコン結晶チェーンをドリフト層としたダイオードは,平均エネルギーが数eVにおよぶ電子を面放出する弾道電子エミッターとして動作する.このエミッターは真空,大気圧気体,溶液においてそれぞれ固有の機能を示す.本稿では,真空中の応用として平面ディスプレイや並列一括リソグラフィーなどの開発状況にふれた後,空気・気体中での利用の例として高圧気体(Xe)における真空紫外発光効果を紹介する.さらに,本電子源は溶液中で還元性の高い活性電極として機能し,水素発生や溶液物性制御などに利用できることを示す.これらにより,電子源の技術的可能性が従来の制約を超えて大きく広がった.

  • 平木 博久, 平木 昭夫
    2009 年 78 巻 4 号 p. 333-338
    発行日: 2009/04/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    液晶(LCD)やプラズマディスプレイ(PDP)で代表される薄型テレビやパソコンのモニター,そしてカーナビなどフラットパネルディスプレイ(FPD)技術の社会貢献度はきわめて高い.FPD技術に関連すると期待されるものとして電界電子放出(Field Emission)によるフィールドエミッションディスプレイ(FED)がある.そして,カーボンナノチューブ(CNT)による電界放出電子素子(エミッター)など,この分野技術の世界的な研究開発が行われてきた.筆者らもCNTに類似のナノ構造をもつ炭素材料であるカーボンナノウォール(CNW)やCNXによる高性能エミッターを開発し,そのFEDへの応用を検討した.しかし,このエミッターは同時にフィールドエミッションランプ(FEL)としての能力,すなわち,高い輝度,省電力性など,を強くもつことが判明した.実際,そのため筆者らによるFELが高知県の一部のトンネル内で交通安全照明システムとして試験使用されている.

    この照明に適している理由を含め,本稿では,これら高性能エミッターの作製と照明システムへの応用の現状と問題点などを紹介する.

研究紹介
オーラルヒストリー
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