応用物理
Online ISSN : 2188-2290
Print ISSN : 0369-8009
79 巻, 1 号
『応用物理』 第79巻 第1号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
巻頭言
企画の意図
総合報告
  • 林 和彦
    2010 年 79 巻 1 号 p. 3-13
    発行日: 2010/01/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    ビスマス系超伝導体が金属材料技術研究所(現物質・材料研究機構)の前田博士らによって発見されて以来,住友電工ではこの物質の線材化,応用製品開発に取り組んできた.この間20年以上が経過し,線材の長尺化,高性能化が着実に進展し,実用規模の応用プロトタイプの試作や実証プロジェクトが世界規模で行われている.線材化では加圧焼結法の開発によりビスマス系超伝導線材が工業材料としての地位を確立し,応用分野として電力ケーブルや船舶用などの大型モーターの開発が実用期を迎えようとしている.超伝導は究極の省エネ技術であり,炭酸ガス排出削減,地球温暖化防止に貢献できる技術として,実用化の促進が期待されている.

解説
最近の展望
研究紹介
  • 山本 明保, グレビッチ アレクサンダー, ラバレスティエ デビッド, 下山 淳一, 岸尾 光二
    2010 年 79 巻 1 号 p. 48-53
    発行日: 2010/01/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    今世紀に入りわが国で誕生した新超伝導体,二ホウ化マグネシウム(MgB2)と鉄ニクタイド系は,「BCS理論の限界」を上回る高い超伝導転移温度をもつほか,マルチギャップ超伝導に由来した特異な性質を示す.さらに電磁的異方性が低く,きわめて高い上部臨界磁場をもつことから,次世代超伝導材料として医療用MRIなどへの応用が期待されている.本稿では,上部臨界磁場と臨界電流密度に及ぼす,マルチバンド効果と結晶粒界の影響に関する著者らの最近の研究を紹介し,従来型金属系や銅酸化物系との比較をもとに,MgB2 と鉄系超伝導体の超伝導材料としての特徴と実用化への展望について議論する.

  • 田部 勢津久
    2010 年 79 巻 1 号 p. 54-58
    発行日: 2010/01/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    白色LED用蛍光体である,Ce : YAG微粒子を析出させた結晶化ガラス材料の開発に成功した.Y2O3-Al2O3-SiO2 系組成にCe2O3 を添加したガラスを溶融法で作製した後,1200°C 以上の高温で熱処理することにより,体積分率約40% でYAG結晶を単一相で含む材料を得ることができる.試料は半透明で,蛍光特性は粉末Ce : YAG蛍光体とほぼ同等であり,460nmの青色光を吸収し,540nmピークのCe3+ : 5d→4f遷移によるブロードな発光を示す.60% がシリケートマトリックスであるため,高温高湿化でも優れた耐久性を有し,今後の高出力一般照明用白色LED構成材としての用途が期待される.

  • 只友 一行, 岡田 成仁
    2010 年 79 巻 1 号 p. 59-63
    発行日: 2010/01/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    サファイア基板上に高品質の無極性面・半極性面GaNを成長する新しい結晶成長技術を考案した.a 面{11-20}サファイア基板およびr面{10-12}サファイア基板の表面に,エッチングによりc 面近傍の側壁が露出したトレンチ構造をストライプ状に形成した.成長条件を選ぶとc 面近傍の側壁から選択的にGaNの成長が起こり,横方向成長を経てa 面サファイア加工基板上には無極性m 面{1-100}GaNが,r 面サファイア加工基板上には半極性{11-22}面GaNが成長することを実証した.サファイア基板の面方位を選択し,GaNの成長条件を最適化すれば,サファイア加工基板のc 面近傍側壁から,従来のc 面GaN成長を行う基本的な操作により,原理的にはすべての成長可能なファセット面のGaNをサファイア基板上に成長することが可能である.

基礎講座
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