応用物理
Online ISSN : 2188-2290
Print ISSN : 0369-8009
80 巻, 11 号
『応用物理』 第80巻 第11号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
巻頭言
企画の意図
解説
  • 平田 岳史, 牧 賢志
    2011 年 80 巻 11 号 p. 935-941
    発行日: 2011/11/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    1990年代初頭までは,ナノグラム(ng),ピコグラム(pg),さらにはフェムトグラム(fg)といった超微量元素の情報は,それを専門とする限られた研究者のみが手に入れることができる情報であった.しかし,プラズマイオン源質量分析法に代表される質量分析技術の急速な進歩により,高度な知識がなくても正確な元素濃度情報を迅速に引き出すことが可能となった.さらに2000年代に入ると,こうした高感度質量分析法の試料導入法が大きな進歩を遂げ,質量分析法の汎用性・拡張性を飛躍的に拡張させることになる.その一つの例がレーザーアブレーション試料導入法である.レーザーアブレーション試料導入法と質量分析計を組み合わせることで,固体試料の高感度多元素同時分析や,固体試料の微小領域の化学・同位体組成分析(局所分析),さらには固体試料中の元素分布分析(元素マッピング分析)が可能となった.今では地球科学,新機能材料開発,原子力,環境,生命・医学などさまざまな応用研究分野でなくてはならない微量元素分析法の一つとなっている.本稿では,高感度質量分析計の一つの高周波誘導結合プラズマイオン源質量分析計(ICP -MS)とレーザーアブレーション試料導入法の動作原理と,その最新の研究開発動向を紹介する.

  • 廣瀬 和之, 服部 健雄
    2011 年 80 巻 11 号 p. 942-947
    発行日: 2011/11/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    半導体研究に不可欠な分析手法である光電子分光法について,主としてSi系材料ナノ構造の評価の観点から解説する.光電子分光法の歴史と光電子スペクトル解析のための実践的手法について述べる.それとともに,最先端のMOSFETの開発に有益な新しい測定・解析手法を紹介する.

  • 大島 真澄, 松尾 基之, 小豆川 勝見
    2011 年 80 巻 11 号 p. 948-954
    発行日: 2011/11/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    多重γ線検出法は放射性核種分析において高分解能,高感度を実現する.この手法を即発γ線分析に適用することにより,この分析法を高度化することができた.本解説では,即発γ線分析および多重γ線検出法の原理と特徴について紹介した後,それによる地球環境試料,特に都市河川底質試料および海洋堆【たい】積【せき】物試料への適用性の検討と分析例について述べる.

  • 大垣 英明, 早川 岳人
    2011 年 80 巻 11 号 p. 955-959
    発行日: 2011/11/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    準単色でエネルギー可変という特徴を有するレーザーコンプトン散乱γ線をプローブとして用いた核共鳴蛍光による物質の非破壊計測法について述べる.この技術は,トラック,貨物などに隠【いん】蔽【ぺい】された爆発物や核物質の検知への応用が期待できる.窒素,炭素,酸素の測定を行うことで隠蔽されている爆発物の種類の同定も可能である.これまで,レーザーコンプトン散乱γ線を用いて,厚さ10〜15mmの鉄で隠蔽された鉛,爆発物の模擬物質であるメラミンなどの検知を行ってきた.また,実用に向けて小型γ線源の開発も行っている.

  • 片野 諭, 上原 洋一
    2011 年 80 巻 11 号 p. 960-965
    発行日: 2011/11/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    走査トンネル顕微鏡(STM)を用いたトンネル電子注入により,試料表面からの発光をアトム・スケール領域で誘起させることができる.このようなSTM発光から得られるスペクトルの微細構造を解析することにより,STM探針直下に存在する吸着種の振動モードを高い空間分解能で検出できることが最近の研究でわかってきた.本稿では,STM発光で誘起される表面吸着種の振動励起現象について実験の現状を我々の結果を交えて紹介する.

研究紹介
基礎講座
  • 土澤 泰
    2011 年 80 巻 11 号 p. 994-998
    発行日: 2011/11/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    シリコンフォトニクスで用いられる光回路は,Si細線導波路と呼ばれるコア幅が500nm程度と非常に小さいSiコアとSiO2クラッドからなる導波路で構成される.その作製には電子デバイス用に開発されたSi加工技術を応用することができるが,ナノメートルレベルの形状誤差でさえも最終的なデバイス特性に大きな影響を与え,また加工面の微小な凹凸も散乱損失の要因となるため,実用的な特性を得るには高度な加工技術が求められる.本稿では,厳しい加工精度を必要とするSi細線導波路の製作方法について述べる.

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